Looker Studioの自由形式・レスポンシブレイアウト設定についての解説 【#現場で役立つGA4】

今回の「#現場で役立つGA4」では、Looker Studioのレイアウト設定について、「自由形式」と「レスポンシブ」の2種類の特徴と違いを解説します。それぞれの長所・短所や使い分けのポイントを紹介し、レポート作成時の参考になる情報をまとめました。

こんにちは、JADEのコンサルタントの郡山です。今回はLooker Studioの「レイアウト」について解説します。

GA4やSearch Console、Google 広告のダッシュボードを作成する際に利用することが多いLooker Studioですが、皆さんはどんなサイズのレポートを作成していますか?

これからLooker Studioでレポートを作成する際に、利用者が扱いやすいサイズを考えられるように一緒にレイアウトについて学んでみましょう。

【もくじ】

 

Looker Studioのレイアウトとは

Looker Studioのレイアウトとは、「レポートのフォーマット」に関する調整ができる設定です。

レポートの縦横のサイズを設定したり、レポート内の別ページに移動するナビゲーションの表示位置を変更するといったコントロールが可能です。

 

自由形式レイアウト・レスポンシブレイアウトとは

Looker Studioでテンプレートなどを利用せず、空のレポートを新規作成すると「自由形式レイアウト」「レスポンシブレイアウト」のどちらかのフォーマットを選択する項目が表示されます。

それぞれのレイアウトの主な違いは以下のとおりです。

レイアウト 編集モードの操作方法の違い 表示モードの違い
自由形式 レポート上の任意の箇所にコンポーネント(グラフやフィルタ)を配置できる。

レポートの縦幅・横幅のサイズをページごとに設定可能。

レポートを閲覧するユーザーのブラウザのサイズに合わせて横幅を自動でサイズ調整する設定も可能。

レスポンシブ レポート上に「セクション」という段落が自動で区切られる。各セクションにコンポーネントを配置する。 レポートを閲覧するユーザーのブラウザのサイズに合わせて横幅を自動でサイズ調整。

レイアウトを選択する際に表示されるイメージからは「レスポンシブレイアウトならレポートの横幅が自動で調整されるんだな!便利!」と思いがちですが、自由形式でも同じことができます。

どちらかというと、コンポーネント(グラフやフィルタ、図形などのオブジェクト)の配置や編集方法の違いが大きいです。

 

自由形式レイアウトの特徴

自由形式レイアウトは、まっさらなキャンバスに自由にグラフや図形を配置して細かな設定をコントロールすることができます。

 

コンポーネントを任意の場所に配置できる

自由形式レイアウトでは、テキストや画像、グラフやフィルタなどさまざまなコンポーネントを任意の場所に配置することができます。

コンポーネントを複数重ねて配置することも可能です。

スコアカード・画像・棒グラフを重ねてユーザー数を総数と性別ごとに確認できるようにする例

 

コンポーネントのグループ化

グラフやテキストなど、複数のコンポーネントをまとめて選択し「グループ」とすることができます。

グループにまとめられたコンポーネントは、配置箇所やサイズを変更する際にまとめて調節できるので、編集作業が便利になります。

 

特定のコンポーネントを各ページ共通の要素=レポートレベルにする

コンポーネントを右クリックすると「レポートレベルに変更」という設定ができます。

特定のコンポーネントをレポートレベルにすると、全ページに対象コンポーネントが表示されます。

全ページ共通の要素として編集できるようになるため、集計期間のコントロールやヘッダーなどの要素をレポートレベルにすると全ページ一括で編集ができるので便利です。

 

レポート全体のキャンバスサイズの調整

編集モードのヘッダーに表示されている「テーマとレイアウト」では、表示しているレポートの全ページに適用されるレイアウト設定を定義できます。

「キャンバスサイズ」の項目ではさまざまなサイズのプリセットから縦横のサイズを変更できるほか、自分で任意のサイズを指定することも可能です。

 

ページごとのキャンバスサイズの調整

編集モードのヘッダーに表示されている「ページ > 現在のページの設定」では、表示中のページだけに適用されるレイアウト設定をすることが可能です。

レポート全体の設定よりも優先して適用されるため、用途に応じてレポート内の一部のページだけサイズを変更するといった使い分けが可能です。

 

ブラウザのサイズに合わせてキャンバスサイズを自動調整

自由形式レイアウトでは、各ページのキャンバスサイズをそのまま表示する「原寸大」の設定と「幅に合わせる」設定の2つが選択できます。

Looker Studioのレポートを「表示モード」で利用する際に、自動でサイズ調整をしてほしい場合は「幅に合わせる」を選択することをおすすめします。

「原寸大」で作成する場合は、レポートを利用するユーザーが見やすい横幅のサイズを配慮するとよいでしょう。(筆者はノートPCで表示しやすいように設計することが多いです)

また、原寸大では自動でサイズ調整されないもののブラウザ側で拡大・縮小表示をすることができます。

このように、自由形式レイアウトであってもレポートの横幅は自動でサイズ調整するようにできます。レスポンシブレイアウトでないと自動調整ができないということはないのでご安心ください。

 

コンポーネントの配置をサポートする「スマートガイド」「グリッド」

自由形式レイアウトでは、デフォルトでは「スマートガイド」の設定になっています。

グラフなどのコンポーネントを配置する際に、すでに配置されている別のコンポーネントの位置と揃えるような赤いナビゲーションの線を表示してくれるアシスト機能です。

一方、「グリッド」の設定では編集モードのキャンバスに等間隔で「・」が表示されます。

グラフなどのコンポーネントの配置箇所やサイズ感を調整する際の補助をしてくれます。このグリッドの細かさやパディングなどの設定も自由に調整可能です。

 

レスポンシブレイアウトの特徴

コンポーネントをセクションごとに配置する

自由形式レイアウトとの最大の違いが、コンポーネントを配置する「セクション」が定義されていることです。

レポートの任意の場所にコンポーネントを配置するのではなく、12列のレイアウトで1つの段落として構成されたセクションの中にグラフやフィルタなどを配置します。

セクションを追加し、レポートの段落ごとにどんなグラフを配置するか構成を考えていく必要があります。自由形式レイアウトではどのようにグラフを配置すればいいかイメージできないという方はレスポンシブレイアウトの方がレポートのたたき台を作りやすいかもしれませんね。

また、セクションごとに下記の編集が可能です。

  • グラフ配置
  • フィルタ配置
  • セクションの色・配置箇所の調整

 

キャンバスサイズの調整はできない

レスポンシブレイアウトでは、キャンバスの縦幅と横幅のサイズをコントロールすることはできません。

レポートを利用するユーザーのブラウザのサイズに合わせて横幅が自動で調整されます。

また、縦幅はセクションを追加していくことで自動で伸長します。

 

レイアウトを選択する際に覚えておきたい注意事項

レポートを新規作成する際、自由形式レイアウトとレスポンシブレイアウトどちらか選択する際には下記の点を踏まえて判断すると良いでしょう。

 

1. 自由形式レイアウトからレスポンシブレイアウトへ変更はできない

2025年4月時点では、自由形式レイアウトで作成したレポートを途中でレスポンシブレイアウトに変更するといった編集をすることができません。

その場合、レスポンシブレイアウトのレポートを新規作成して既存レポートのグラフをコピペして移行するといった手作業が発生します。

セクションごとに編集したい場合はレポート作成時に「レスポンシブレイアウト」を選択するようにしましょう。

 

2. 自由形式レイアウトではできる編集が、レスポンシブレイアウトではできないといった制限がある

レスポンシブレイアウトでは下記のような編集・設定に関する制限があります。

  • 線や矢印などの図形を挿入できない
  • キャンバスサイズを任意のサイズに設定することができない
  • グリッド設定は12列のレイアウトのみ利用可能
  • コンポーネントを重ねることができない
  • コンポーネントをグループ化できない
  • コンポーネントをレポートレベルにできない

参考:レスポンシブ レポートの制限事項

 

自由形式レイアウトで作成した既存のレポートはどうすればいいか

自由形式レイアウトで作成したGA4やSearch Consoleのダッシュボードを無理にレスポンシブレイアウトに変更する必要はありません。

横幅の調整だけなら「幅に合わせる」の設定にするだけでOKなので、既存のレポート構成をすべて見直してまでレスポンシブレイアウトに移行するメリットはないです。

例)横幅を短くしたブラウザを並列で並べて、横幅が自動調整される自由形式レイアウトのレポートを複数同時に確認するといった使い方もできる

Looker Studioで作成したGA4のダッシュボードを利用する場面では、GA4管理画面の探索レポートや分析資料を編集している画面などを並列で表示させたいケースが多いです。

都度ブラウザのサイズを拡大縮小して調整するのも手間なので、個人的には自由形式レイアウト横幅は自動調整するといったレポートが現状は多いです。

 

まとめ

レスポンシブレイアウトが利用できるようになったことで、キャンバスのどこにグラフを配置すればいいのか迷うユーザーがレポート作成に着手しやすくなったと思います。

一方で、レスポンシブレイアウトは自由形式レイアウトよりも制限が多い点や、独特なUIである点が、初心者には少し分かりづらい印象です。

どちらのレイアウトでもキャンバスの横幅を自動調整する機能は利用できるので、編集のしやすさやレポート構成の考えやすさなどを踏まえて好きな方を利活用できるといいなと思います。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます!

それではまた来月の #現場で役立つGA4 でお会いしましょう~。

 

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