GA4のデバイス・ブラウザ・OS別実績のモニタリングをしてみよう 【#現場で役立つGA4】

GA4のデバイス・ブラウザ・OS情報をLooker Studioで可視化する方法をご紹介します。環境変化による計測への影響調査や、UX改善・マーケティング施策の設計に役立つレポート作成のポイントを解説します。

こんにちは、JADEのコンサルタントの郡山です。

#現場で役立つGA4、今回はLooker Studioで、GA4で記録している「デバイスカテゴリ」「ブラウザ」「オペレーティングシステム」の実績を可視化してみました。

OSやブラウザのアップデートにより、GA4で計測しているデータへの影響を調査する際の参考になれば幸いです。

【もくじ】

 

自社サイトにアクセスするユーザーの環境を把握する必要性について

自社サイトを計測しているGA4を利活用していく際、

  • デバイス別にどの程度ユーザーがいるのか
  • どの程度キーイベントが発生しているのか

といったことを把握するのは重要です。

「モバイル端末のSafariから記事ページがよく見られている」が、「資料請求はデスクトップ端末のChromeから多く発生している」といった傾向を把握できれば、UX改善やマーケティング施策の設計に役立ちそうですよね。

GA4の管理画面でもテクノロジーなどのレポートでサイトにアクセスしたユーザーのデバイス情報を把握することが可能です。

GA4標準レポートの「ライフサイクル > テクノロジー > ユーザー環境の詳細」

参考:[GA4] ユーザーの環境の詳細レポート

 

OSやブラウザの仕様・アップデートによる影響について

ブラウザ別にセッションを分類するとChromeやSafariのアクセスなどの「デバイスの標準(純正)ブラウザ」が多い印象です。

また、Apple、Android端末を利用しているユーザーがXやInstagram、LINEなどのアプリ経由でブラウジングしているケースでは「Safari (in-app)」や「Android Webview」として識別されています。

Webサイトの特性やマーケティング施策にも寄りますが、純正ブラウザとアプリ経由のブラウジングはそれぞれどの程度のセッション数なのか把握しておくとよいと思います。

Android Webview や Safari (in-app) はアプリ経由のブラウジング

自社サイトを利用するユーザーが利用しているOSやブラウザの仕様によっては、GA4で適切に計測をできているか調査・対応しなければならないケースもあります。

例えば、SafariブラウザのITPによる影響で「ブラウザに保存されるCookieの有効期限が7日間までに制限された」という事例は非常に注目度が高かったですよね。

 

例)iOS 14以降のSafariで、従来のGCLIDパラメータの代わりにwbraidを送信するように変更された

2020年9月16日(日本時間では9月17日)にリリースされたOSであるiOS 14の例です。

2021年4月26日付けの Apple による ATT (App Tracking Transparency) ポリシーの施行により、ごく一部の Google アプリで、広告からの iOS 14 トラフィックに対して Google クリック ID(GCLID)が送信されなくなりました。

iOSユーザーに対してgclidではなくwbraid/gbraidが使われるケースが増え、GA4がそれを認識できないため、適切に参照元を判定できないケースが注目されました。

参考:iOS 14 以降でのキャンペーン測定に関する更新情報 - アナリティクス ヘルプ

参考:iOS 14 でのキャンペーン測定に関する更新情報 - Google 広告 ヘルプ

参考:iOS 14 の変更に関するよくある質問 - Google 広告 ヘルプ

参考:Build trust through better privacy - WWDC20 - Videos - Apple Developer

参考:Google Ads stopped sending GCLID for Safari on iOS 14 — and it probably broke your analytics | by Tim White | Medium

参考:[GA4]iOS 14.5以降のIDFAの取得状況の確認 | アユダンテ株式会社

 

サイト訪問者がよく利用しているブラウザの計測が適切にできない、広告経由のトラフィックを適切に計測できない、といった影響を及ぼすアップデートは気になりますね。

このような大きな変更がされた際にはエンジニアや広告担当者の方と相談して調査・対応するのが望ましいです。一方で、技術に明るくないマーケティング担当者の方もGA4のデータから現状把握ができるようにしておくと安心ですよね。

自分が管理するサイトはどのOS、ブラウザからアクセスされている比率が高いか、即答できるようにしておきたいものです。

 

Looker Studioでデバイスレポートを作る

Looker Studioは主に「定点観測したいKPIをモニタリングする」という用途で向いています。

「毎日、毎週、毎月見たい重要な指標」を可視化しておくことは重要度が高いかと思いますが、「頻度はそれほど高くないけど不定期に確認したい指標」をチェックできるレポートを作っておくのもおすすめです。

管理するGA4プロパティが複数ある場合、データソースを切り替えれば1個のレポートで複数のGA4のデータ可視化ができるので便利なんです。

今回はGA4デモアカウントでサンプルレポートを作ってみたので参考になれば幸いです。

ご自身のGA4プロパティのデータで集計できるので、興味があれば使ってみてください。

https://lookerstudio.google.com/reporting/ce90d929-c797-4970-b3fe-367125ea79f4

 

Sample - 1 : 表グラフと線グラフで可視化

Sample - 1は、セッション・キーイベント・セッションのキーイベント率を構成比を見るためのレポートです。

  • デバイスカテゴリ別
  • ブラウザ別
  • オペレーティングシステム別
  • オペレーティングシステム別(バージョン表記あり)

上記4つのセクションでまとめています。

どのデバイス、ブラウザからのアクセスが多いか確認できれば、サイトのデザイン変更などを実装する際にどのユーザー層向けの改善施策を重要視すべきか判断できますね。

 

Sample - 2 : ピボットテーブルグラフで可視化

ピボットテーブルのグラフで以下2つのセクションにまとめたレポートです。

  • ブラウザ × オペレーティングシステム別
  • オペレーティングシステム × バージョン別

 

ピボットテーブルでは、ディメンションのヘッダーにある「+」をクリックすると、非表示にされていたディメンションを展開(追加表示)できるので便利ですね。

  • 「前月比」などの期間比較をしたい場合は、表グラフ
  • デフォルトで表示する情報量を少なくして配置したい場合は、ピボットテーブルグラフ

といった使い分けができると良いかと思います。

 

その他の集計例

サンプルレポートには含めていませんが、

  • デバイス別のセッションのデフォルトチャネル、参照元/メディアなどのセクションを追加
  • ランディングページ別のセッション実績を集計
  • ブラウザ別のページごとの表示回数実績を集計

といった切り口でもモニタリングできると良いかと思います。

ぜひご自身のサイトに適したレポートを作ってみてくださいね。

 

変化に対応するための準備をしておこう

どのような端末・ブラウザでユーザーはサイトを見に来ているのか把握しておけば、環境の変化によりGA4やGoogle 広告の計測への影響度についても調査しやすくなります。

GA4の標準レポートやLooker Studioを使って自社サイトの健康診断を定期的にしておくことをおすすめします。

直近ではiOS 18.5にアップデートしたユーザーが多くなってきました。

ユーザーのプライバシーを保護する観点から、今後もセキュリティ関連のアップデートを含むトピックスは多そうですね。こういったトレンドをキャッチした際にすぐ自社データを確認できるようになるといいなと思います。

Android Webview や Safari (in-app) はアプリ経由のブラウジング

ここまで読んでくださりありがとうございます!

それではまた来月の #現場で役立つGA4 でお会いしましょう~。