
先日、JADEブログで公開した記事、「LLMOの前に知るべきこと――SEOの基本はAI検索時代でも変わらない」 には、たくさんの反響をいただきました。ありがとうございます!
同時にJADEが日々のSEO分析に使用するフレームワーク「検索インタラクションモデル」についても、読者の皆さんにあらためて詳しく知っていただければと思っています。
この記事は、昨年実施したウェビナー「【これから始めるSEO】絵で見てわかる!検索エンジンにあなたのサイトを見つけてもらう方法」を要約したものです。 「検索インタラクションモデル」について、講師の篠原誠がこれ以上なく分かりやすく、かつ徹底的に紐解きます。この記事を読んで、あなたのサイトが抱える本当の課題をピンポイントで特定し、明日から実践できる具体的な打ち手を見つけてもらえれば嬉しいです。ではまいりましょう!
なぜ「良いコンテンツを作れ」だと評価は5点なのか?
「検索からの集客がうまくいかないんです。どうすればいいですか?」
この切実な問いに対し、あまりにも多く聞かれる答えが「良いコンテンツを作りましょう」です。しかし、篠原は「SEOのテストがあったとしたら100点満点中5点しか取れない答え」と言います。

もちろん、良いコンテンツが無意味なわけではありません。しかし、「集客がうまくいかない」という問題は、コンテンツの質以前に、もっと手前でつまずいているケースが非常に多いのです。
例えるなら、どんなに美味しい料理を作っても、お店の存在が誰にも知られていなかったり、そもそもお店のドアが開かなかったりすれば、お客さんは一人もやってきません。SEOもそれと同じ。問題がどの段階で起きているのかを正しく見極めなければ、努力は空振りに終わってしまいます。
JADE独自のフレームワーク「検索インタラクションモデル」とは
では、どうすれば問題の在り処を特定できるのか。その鍵を握るのが、JADEが日々のSEO分析に活用している独自のフレームワーク「検索インタラクションモデル」です。

【DCIR-QCLSについての記事はこちらです】
英単語が並ぶと、つい身構えてしまいます。が、このモデルの本質は驚くほどシンプルですので安心してください。「検索エンジン側の都合(DCIR)」と「ユーザー側の体験(QCLS)」という2つの側面に分けて、サイトの状態をチェックしよう、という考え方なのです。
JADEでは、SEOを検索エンジン最適化 (Search Engine Optimization) と、検索体験最適化 (Search Experience Optimization) の両面で捉え、このDCIR-QCLSモデルを用いてボトルネックを特定し、優先順位をつけながら施策を実行していきます[※冒頭で紹介した記事にありますが、昨今話題の言葉であるLLMO / GEOや、生成AIによる検索体験の変化においても、その根本的な考え方は変わりません]。
この8つのステップをひとつずつ見ていくことで、「集客がうまくいかない」という漠然とした悩みが、具体的な課題へと姿を変えていきます。
【DCIR編】Googleはあなたのサイトをこう見ている!検索エンジンに嫌われない4ステップ
まずは、検索エンジン側の視点である「DCIR」から見ていきましょう。あなたのサイトが検索結果に表示されるまでの舞台裏です。
Step 1: 見つけてもらう(Discover)
新しいページを作っても、Googleがその存在に気づかなければ、何も始まりません。これが「ディスカバー(発見)」の段階です。
よくある悲劇:「陸の孤島」ページ
最も典型的な問題は、サイト内のどこからもリンクが張られていない「陸の孤島」のようなページが存在すること。Googleのロボット(クローラー)は、リンクを辿ってウェブの世界を冒険しています。どこからも道が繋がっていなければ、そのページにたどり着くことすらできないのです。

対策:
- サイトマップ(sitemap.xml)を送信する: Google Search Consoleからサイトマップを送信することで、Googleにサイト内のページ構造を効率的に伝え、URLの発見率を高めることができます。
- 内部リンクを最適化する: サイト内の重要なページや関連性の高いページ同士を適切にリンクでつなぎ、「陸の孤島」をなくしましょう。ナビゲーション、パンくずリスト、関連記事リンクなどが有効です。
Step 2: 来てもらう(Crawl)
ページを発見してもらえたら、次はロボットが実際にページを訪れ、内容を読み取りに来ます。これが「クロール(巡回)」です。
よくある悲劇:門前払い
せっかくロボットが来てくれたのに、「この先は立ち入り禁止」と書かれた札(robots.txtというファイル)によってブロックしてしまっていることがあります。また、サーバーが落ちていてアクセスできなかったり、サイトの品質が低いと判断されて「後回し」にされたりすることも。
対策:
- robots.txt設定を確認する: 誤って重要なページをブロックしていないかを確認します。また不要なクロールを発生させず、必要な部分のクロール巡回率を高めることも重要です。
- サーバーの安定性を確保する: サーバーダウンや応答速度の遅延は、クロールを妨げる原因になります。安定したサーバー環境を整え、サーバーリソースを確保しましょう。
- サイトの表示速度を改善する: ページの読み込みが遅いと、クローラーの巡回頻度が下がることがあります。画像最適化やコードの軽量化などで表示速度を向上させ、リンクの有用性を主張しましょう。これは、ユーザー体験だけでなく、クローラーにとってもスムーズな巡回を促します。
Step 3: 登録してもらう(Index)
クロールして持ち帰った情報を元に、Googleは「このページを検索結果に表示する価値があるか?」を判断します。価値があると認められて初めて、Googleの巨大なデータベースに登録(インデックス)されます。
よくある悲劇:「価値なし」の烙印
- 低品質コンテンツ: 独自性がなく、情報量も少ないページは価値がないと判断され、インデックスされにくい傾向があります。
- 重複コンテンツ: サイト内に似たような内容のページが複数あると、Googleはどちらをインデックスすべきか判断に迷い、結果的にインデックスさせたいページがインデックスされない可能性があります。正規のURLがインデックスされ、コンテンツやリンクが正しく理解されるようにすることが重要です。

これらの「ディスカバー」「クロール」「インデックス」のどこで問題が起きているかは、Google Search Console の「URL検査」ツールで確認できます。「URLがGoogleに認識されていません」ならDiscoverの問題、「クロールできませんでした」ならCrawlの問題、「クロール済み - インデックス未登録」ならIndexの問題、といった具合です。

Step 4: 順位付けしてもらう(Rank)
無事にインデックスされて、ようやく検索結果に表示される権利を得ました。最後のステップが、特定のキーワードで検索された際に「どの順位に表示するか」を決める「ランク(順位付け)」です。
ここで初めて「良いコンテンツ」が活きる
そう、巷で言われる「良いコンテンツ」の重要性が最大限に問われるのは、この段階なのです。競合サイトと比較して、どちらがよりユーザーを満足させられるか。情報の網羅性、専門性、権威性、信頼性、そして独自性などが総合的に評価され、シグナル分散を避け、必要な形でシグナルを集中させることが重要です。
対策:
- ユーザーの検索意図を深く理解する: どのような情報を求めているのか、どのような疑問を解決したいのかを徹底的に分析し、それに応える高品質なコンテンツを作成します。
- 信頼性を高めるコンテンツ戦略: 経験豊富な専門家が執筆・監修し、その情報源を明確にすることで、コンテンツの信頼性を高めましょう。網羅的で独自性のある情報を提供することが、ランキング向上に繋がります。
【QCLS編】読者はこう動く!クリックされ、愛されるサイトになるための4つの秘訣
DCIRをクリアして検索結果に表示されても、まだ安心はできません。ここからは、ユーザーの心をつかむ「QCLS」の視点が重要になります。生成AIの登場でユーザーの検索体験は変化しましたが、このQCLSモデルで捉えるユーザー行動の本質は変わりません。
Step 5: 検索キーワード(Query)
全ては、ユーザーが検索窓にキーワード(クエリ)を打ち込むことから始まります。
よくある悲劇:独りよがりのキーワード選び
サイト運営者側が「このキーワードで上位表示したい」と考えていても、ユーザーが実際にその言葉で検索していなければ意味がありません。ユーザーがどんな言葉で、どんな意図を持って検索しているのかを理解することが、全ての出発点です。URLがユーザーのクエリに現れるように、検索ジャーニーの想定をした上で、正しいターゲティングを行いましょう。
対策:
- キーワードリサーチを徹底する: Googleキーワードプランナーや関連キーワードツールなどを活用し、ターゲットユーザーが実際に検索しているキーワードを調査します。これにより、Impressionの機会を最大化します。
- 検索意図を分析する: キーワードだけでなく、それらを通してユーザーが何を求めているのか(情報収集、購入、比較など)を深く理解し、それに見合ったコンテンツを提供します。これは、検索最適化の根幹であり、単なるキーワードの羅列ではない、深いユーザー理解が求められます。
Step 6: クリック(Click)
検索結果に表示された数多のサイトの中から、ユーザーはどれかひとつを選んでクリックします。この選択の瞬間に、あなたのサイトは勝てているでしょうか?
よくある悲劇:魅力のないタイトル
検索順位がたとえ1位でも、タイトルが魅力的でなければクリックされません。篠原は、分かりやすい例を挙げています。2025年7月に「SEOとは」と検索したユーザーの目に、以下の3つのタイトルが映ったとします。
あなたはどれをクリックしますか?
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2023年最新SEO対策とは?ポイント・有効な施策50選を紹介します
→情報が古そう。初心者には「50選」が重すぎる。
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SEOとは - 株式会社example
→何が書かれているか全く分からず、クリックする動機がわかない。
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【2025年版】SEOとは?基本と初めにやるべき具体策5つをわかりやすく解説
→情報が新しく、初心者向けで、内容もコンパクトにまとまっていそう。
答えは明白ですよね。検索結果画面は、タイトルと説明文(ディスクリプション)だけで戦う、熾烈なアピールの場なのです。ユーザーのクリックを誘導できるように、検索結果の中で選ばれるような現れ方を管理することが重要です。
対策:
- 魅力的なタイトルとディスクリプションを作成する: 検索キーワードを含みつつ、クリックしたくなるような具体的なメリットや解決策を提示するタイトルと説明文を考案し、クリック数やCTRを向上させましょう。
- 日付や数字を盛り込む: 最新の情報であることを示したり、具体的な数字(例:「5つの方法」「〜選」)を入れたりすることで、ユーザーの興味を引きやすくなります。
Step 7: 着地(Land)
クリックを勝ち取り、ユーザーがページにやってきました。この「着地(ランド)」の瞬間の体験が、ユーザーの満足度を大きく左右します。無事ユーザーが意図されたURLに着地し、その際にもともとの検索意図が充足されるようにすることが重要です。
よくある悲劇:最悪の第一印象
- 表示速度が遅い: ページが表示されるまでに時間がかかると、ユーザーは待たずに離脱してしまいます。
- スマホ対応が不十分: スマホで閲覧した際に、文字が小さすぎたり、レイアウトが崩れていたりすると、読む気をなくします。
- 情報が見つけにくい・分かりにくい: ページを開いても、求めている情報がどこにあるか分からなかったり、文章が読みにくかったりすると、すぐに「戻る」ボタンを押されてしまいます。
こんな体験をしたら、ユーザーは即座にブラウザの「戻る」ボタンを押してしまうでしょう。これは検索結果への直帰に直結します。
対策:
- ページ表示速度を最適化する: 画像の圧縮、サーバーの応答速度改善、キャッシュの活用などを行い、高速表示を目指しましょう。これはGoogleの評価基準でもあり、ユーザーの離脱を防ぐ基本です。
- モバイルフレンドリーを徹底する: レスポンシブデザインを導入し、あらゆるデバイスで快適に閲覧できるサイトにしましょう。
- UI/UXを改善する: 読者が求める情報にたどり着きやすい導線、読みやすい文字サイズや行間、適切な画像配置などを心がけ、エンゲージメント率や読了率を改善しましょう。ユーザーが滞在したいと思えるコンテンツ設計が重要です。
Step 8: 回遊(Surf)
一つの記事を読み終えたユーザーに、「もっとこのサイトの他の記事も読みたい」と思ってもらう。これが最後のステップ「回遊(サーフ)」です。ユーザーがサイト内でジャーニーを継続し、サイト内を回遊するように促すことが目標です。
よくある悲劇:読んだら終わりの一方通行
せっかくサイト内に有益な情報がたくさんあっても、記事から記事への導線がなければ、ユーザーはそれに気づけません。一つの記事を読み終えたら、満足して(あるいは不満で)検索結果に戻ってしまいます。
篠原は、関連コンテンツへのリンクの重要性を具体例で示しています。GA4に関するブログ記事の最後に、ただ「GA4の活用支援もやっています」と書くだけでなく、「具体的な活用事例はこちら」「コンサルティングの詳細はこちら」といったリンクを設置する。この一手間が、ユーザーをサイト内のより深い情報へと導き、ビジネスチャンスにつながるのです。

対策:
- 関連記事へのリンクを設置する: 記事の最後や途中に、関連性の高い内部リンクを設置し、ユーザーが興味を持ったトピックをさらに深掘りできるように促します。これにより、回遊率やコンバージョン率の向上を目指します。
- CTA(Call To Action)を最適化する: 資料ダウンロード、問い合わせ、他サービスページへの誘導など、次にユーザーに取ってほしいアクションを明確に提示し、導線を設計します。
生成AI時代でも「王道」のSEOこそが成果を生む
「検索からの集客がうまくいかない」という漠然とした悩みは、JADE独自の「DCIR-QCLS」というフレームワークで分解することで、対処可能な具体的な課題へと変わります。
- Discover(発見): Googleがサイトの存在に気づいているか?
- Crawl(巡回): Googleクローラーがサイトにアクセスできているか?
- Index(登録): Googleがサイトをデータベースに登録する価値があると判断しているか?
- Rank(順位付け): 適切なキーワードで検索上位に表示されているか?
- Query(検索): ユーザーがどんなキーワードで検索しているか、その意図は何か?
- Click(クリック): 検索結果の中でユーザーはあなたのサイトを選んでくれているか?
- Land(着地): クリック後、ユーザーは快適にページを閲覧し、検索意図が満たされているか?
- Surf(回遊): ユーザーはサイト内で他のページも見てくれているか、次の行動につながっているか?
「良いコンテンツを作る」という施策が有効なのは、主にRank以降のフェーズです。しかし、もしあなたのサイトがその手前のDCIRの段階でつまづいているなら、いくら素晴らしいコンテンツを作っても、その価値は誰にも届きません。
そして、LLMO / GEO という言葉が聞かれるAI検索時代においても、SEOの王道は変わりません。 JADEが提唱する「検索インタラクションモデル」に基づいたSEOは、生成AIの進化とGoogleの構造的優位性を理解した上で、本質的な改善を追求することができます。
まずは、Google Search Consoleを見ながら、あなたのサイトが8つのステップのどこに課題を抱えているのかを診断してみてください。問題の根本原因さえ突き止めれば、打つべき手は自ずと見えてくるはずです。SEOは闇雲な努力ではなく、科学的な問題解決なのです。
JADEのウェビナーアーカイブ(適宜追加予定です)はこちらからどうぞ
「LLMO/GEM」について知るには、まずはここから