Ahrefs のデータで他サイト競合調査を Tableau で分析する方法

JADEの今年のアドベントカレンダー10日目。Ahrefs が提供しているサードパーティデータを使って第三者である競合調査として他社サイトを外形的に簡易分析する方法を紹介します。

こんにちはあるいはこんばんは。村山(X id:@muraweb_net)です。

この記事は JADE Advent Calendar 2024 10日目の記事です。

今回は、私がときどき行っている Ahrefs のデータを使った分析方法を紹介します。Ahrefs の読み方は“エイチレフス”って公式サイトのtitleに書いてありました。私は過去に“エーエイチレフス”って呼んでいたこともありました。ごめんなさい。プロダクト名って、本当に難しいものですね。

 

【もくじ】

 

なぜ、サードパーティである Ahrefs のデータで分析するのか

ファーストパーティーデータである Google Search Console や GA4 のデータを活用して、自社サイトの価値を伸ばすことが、言うまでもなく最重要です。自社サイトのサービスやプロダクトを磨き続けなければ、得ることができるものも得ることができない環境になってしまうおそれがあります。

しかし、自社サイトにおけるWebマーケティングの戦略を考える際、競合他社もしくは別業界のサイトを参考にすることもあります。

ですが、当然ながら自社サイトではなく別ドメインである他社サイトのファーストパーティデータを取得することはできません。そのため、特定のロジックであることを理解した上で、サードパーティデータを参考データとして利用することもあります。

 

競合他社サイトのなにをどのように調査するのか

Ahrefs を利用するユーザーからは「DR(Domain Rating)」という指標を耳にします。Webサイトのドメインを評価する指標として、 Ahrefs が独自に算出して Rating している指標です。

その指標は今回の調査では使用しません。競合他社サイトのDRが XX だからといって、自社サイトに対する打ち手の参考になりにくいためです。「あくまでも相対的な評価で、そんな指標もあるのね。」といった程度の個人的な感想です。

https://ahrefs.jp/blog/seo/domain-power/

 

では、なにを参考にするのか?

それは、調査したサイトの「どのようにサイト内で(記事型のコンテンツも含めた)コンテンツを展開しているのか。それを時系列でどうリーチしている状況なのか」といった部分です。全体ではなく割合で、点ではなく線での視点にて、取得できるデータから確認します。

そのようなデータから自社サイト内で提供するコンテンツの戦略に組み込むことができるかを検討します。あくまでも参考程度ですが。

 

Ahrefs からデータを抽出し分析する手順

Ahrefs ヘビーユーザーの方は、 Ahrefs のUI内からいろいろな調査を行うかと思います。これから下記にご紹介するのはあくまでも個人的な分析方法の紹介となります。

なお、下記のようなステップですが、データ分析には必要なステップばかりとなります。分析を行ったことがない方は覚えておくとよいでしょう。

  1. データ抽出
  2. データクレンジング
  3. データ加工
  4. データ可視化
  5. 分析と考察

 

1. データ抽出: Ahrefs の上位ページから対象ドメインのデータをCSVエクスポート

Ahrefs の上位ページから調査対象のドメインにおけるデータをCSV形式でエクスポートします。

 

まず上位ページを選択します。

 

抽出したい日付を選択します。

 

たとえば、3ヶ月ごとのデータをエクスポートするのであれば、1月、4月、7月、10月の毎月第2月曜日のデータをエクスポートする。それを可視化したい年数繰り返す。

Ahrefs からエクスポートしたファイル内には日付データがないため、エクスポート時にファイル名へ記載しておくと、後々データ加工時に利用できるので良きです。

 

2. データクレンジング:不要なデータの削除や、分析に必要な項目の整理

Tableau Prep でデータエクスポートしたCSVファイルを結合していきます。分析できるデータにクレンジング、加工ができるのであれば、どのようなツールでも良いです。

 

Tableau Prep へデータエクスポートしたCSVファイルを読み込ませます。


各ファイルをユニオン結合した後、クリーニングステップへすすみます。

 

ファイル名のカラムで「値の分割」から「カスタム分割」を選択します。

 

ファイル名から”.”を取り除く処理を行うなど、利用できるようなデータへクレンジングしていきます。

どのようなカラム構造のデータをエクスポートし、クレンジングすることで加工へすすめるのかを意識してファーストステップのデータ抽出できるようクセづけしておくと分析が捗るようになります。

 

3. データ加工:時系列での傾向を把握するため、月別やカテゴリー別にデータを集計

クレンジングしたデータ内のカラムから時系列データなどへ加工していきます。

 

ファイル名から分割したカラムのデータ形式を「日付」に変更します。

 

新しく追加したカラムが日付形式のデータになります。

 

保存先を適当なフォルダ(下記の例は Ahrefs データをエクスポートしたフォルダと同じフォルダ)に設定し、出力を実行します。

Tableau のみならず、 Tableau Prep も非常に便利ですね。

 

4. データ可視化:グラフや表を作成し、コンテンツの展開状況やトラフィックの推移を視覚化

データ抽出、クレンジング、加工までがデータ分析の8割と言われるぐらい時間も労力も消費したりします。ただし、このステップまで到達すれば後は可視化するだけです。ワクワクしますね。

 

Tableau Prep でエクスポートした Tableau で読み込むのに最適化された”.hyper”ファイルを Tableau で読み込みます。

Tableau で読み込んだ直後は「こんなカラム構造のデータですよ」と確認できます。必要であれば、この画面で再度データクレンジングしてもよいでしょう。

 

可視化したいディメンションと指標を選択し、データから探索する旅に出発します。

 

たとえば、下記は対象ドメイン全体の指標”Traffic”におけるトレンドとなります。

 

ただ、こんなデータは Ahrefs のレポートUI画面でも閲覧できますね。

大きな変化が発生しているように見えるので、ディメンションの”URL”から内訳を確認したくなります。しかし、URL個別で確認してもデータが細かすぎる可能性があるため、”URL”で集計されているデータから”URL”をグルーピングした新たなディメンションを作ってみます。

たとえば、こんな計算フィールドです。


IF 
REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/$') THEN 'top'

//以下、TOP以外

ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/knowledge.*') THEN 'knowledge'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/service.*') THEN 'service'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/team.*') THEN 'team'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/info.*') THEN 'info'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/contact.*') THEN 'contact'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/privacy_policy.*') THEN 'privacy_policy'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/careers.*') THEN 'careers'
ELSEIF REGEXP_MATCH([URL], '^https://ja.dev/amethyst .*') THEN 'amethyst'
ELSE 'other'
END
  

上記のような計算フィールドで新規作成したディメンション”URL Group”で指標”Traffic”のトレンドを確認すると以下のようになります。

Tableau は Looker Studio と違って、目にやさしい配色が多いので時間が溶けていきやすいのが注意です。

 

5. 分析と考察:可視化したデータから、競合サイトのコンテンツ戦略やその効果を読み取る

可視化したデータから洞察していきます。

 

URL Groupだとtopとknowledgeの割合が多かったが、2023年11月頃からtopの割外が大きく増加しつつ、infoの割合も微増だな、とか。

 

Top keyword 別にみると指名検索関連の増加が、前述におけるtopの割合が増加する要因になっていそうだな、とか。

 

指名検索以外だとknowledgeにグルーピングしたURLにて、色々な検索クエリで平均掲載順位の変化が確認できるな、とか。

 

Tableau はいいぞ。大事なことなのでもう一度、言う。 Tableau はいいぞ。

 

調査ドメインの戦略に思いを馳せよう

自社サイトにて注力しているコンテンツに対する競合の状況であったり、特定の検索キーワードに関する検索結果の状況が気になってしまうこともあると思います。

しかし、そこに注力しすぎてしまうと、実はその部分以外で大きな検索トラフィックを獲得できるといった可能性を見逃してしまうかもしれません。

自社ドメインの成長を考える際に、現在で伸びているドメインを探し、内訳を割合や傾向を分析してみることで、良いヒントが落ちているかもしれません。

 

 JADE Advent Calendar 2024、明日はアリサさんが2回目の登場です。