初めてのアメリカ、初めてのbrightonSEO:コンテンツ戦略とAI活用の最前線を体験して

JADEの今年のアドベントカレンダー11日目。brightonSEO San Diegoに参加したアリサが、セッションの内容から会場の雰囲気、美味しい食事まで、いち参加者としての体験をレポート。初めての海外カンファレンスで得た経験をお届けします。

JADEのアリサです。この記事はJADE Advent Calendar 2024 11日目の記事です。

 

前回のbrightonSEOレポートでは、スポンサー目線からお届けしました。でも、実はまだまだ語りたい思い出が……! ということで今回は、美味しい食事の話もふくめて、いち参加者としての体験について皆さんにお届けします。

 

初めてのアメリカ、初めてのbrightonSEO

「アメリカに行く」

この言葉を口にするたび、まだ実感が湧きませんでした。それもそのはず、今まで私の「アメリカ」といえば、映画やドラマ、YouTubeの向こう側の世界。それが今度は、SEOカンファレンスの参加者として、本当に訪れることになったんです。 普段から英語を使って仕事をしているとはいえ、英語圏の国に足を踏み入れるのは人生で初めて。毎日のSEOの仕事が、こんな形で私をアメリカに連れてきてくれるなんて、誰が想像できたでしょう?

 

いよいよbrightonSEOの会場に足を踏み入れた朝。胸の中でいろんな気持ちが入り混じっていました。

私たちのチームはスポンサーとしても参加することになっていたので、ブースの準備は大丈夫かな、忘れ物はないかな、と次々と頭の中でチェックリストを確認。その一方で、これが私の初めてのSEOカンファレンスだという事実に、ドキドキが止まりませんでした。これから始まる2日間で、一体どんな出会いや発見が待っているんだろう。

 

1日目の注目セッション

ブースの対応をしながらも、コンテンツ最適化トラックから2つの興味深いセッションを聴くことができました。最近メディア関連の仕事が増えてきているので、コンテンツ戦略やオーディエンスエンゲージメントについての新しい知見を得たいと思っていたんです。

最初に参加したのは、Melissa Chowningによる「コンテンツ構成とトピックオーソリティによる成長戦略」のセッション。印象に残ったのは、コンテンツの整理は単にユーザーの回遊性のためだけではなく、Googleに対して専門性を示す重要なシグナルになるという考え方です。

特に心に響いたのは、シンプルさを重視する彼女のアプローチ。理想的には、1つのコンテンツは1つのカテゴリーにのみ属し、サイト全体のカテゴリー数は10個以下に抑えるべきだそう。実例を交えながら、コンテンツが豊富で信頼性の高いサイトでも、構成が整理されていないために順位を獲得できないケースを紹介してくれました。「シンプルイズベスト」という言葉の意味を、改めて実感させられましたね。

 

2つ目のセッションは、Misty Larkinsによる「Don't Be a Clickbait Butterfly:実のあるコンテンツでユーザーを惹きつける」でした。私はソーシャルメディアマーケティングにとても興味があります。そのため、注目を集めるコンテンツという永遠の課題に対する彼女の視点に、特に惹かれました。

クリックベイトについて、彼女は面白い指摘をしていました。クリックベイト自体は決して悪くない。でも、中身より順位を気にしすぎると、かえって逆効果になっちゃうんだとか。データを見ても、クリックベイト記事のシェア数が通常のコンテンツの50分の1しかないということ。そして最後の「トラフィックじゃなく、コンバージョンがビジネスを成長させるんだよ」という言葉が、このセッションで一番印象に残りました。

 

この2つのセッションには、大事な共通点がありました。「自分の専門分野を知り、そこに集中する」という考え方です。コンテンツの構成を考えるときも、見出しを作るときも、一時的な注目を集めることより、独自の価値と専門性を大切にする。そんなメッセージが印象的でした。

 

2日目の注目セッション

JADEでは、全部門のメンバーが日常的にClaudeなどのAIツールを活用して業務を効率化しています。そんな私たちだからこそ、水曜日のAIコンテンツトラックには特に興味がありました。

 

最初のセッションは、Jasmine Glasheenによる「AIで作るコンテンツにブランドボイスを残す方法」。業界で増えている悩みに切り込んだ内容でした。AIが生成するコンテンツは、確かにSEOの要件は満たしているかもしれない。でも、人間らしさが足りないことが多いんです。

特に印象に残った数字があります。AIを使用しているマーケターの7割が、自社から適切なトレーニングを受けていないというデータです。Jasmineによると、AIモデルにはそれぞれ特徴的な文章構造やパターンがあるそう。コンテンツクリエイターは、その特徴を見分けて、オリジナリティを保つために調整する必要があります。そして彼女が最も強調していたのは、オリジナルのデータと本物の専門知識こそが、ただのウェブサイトを信頼されるソートリーダーへと変えていく、ということでした。

 

2つ目のセッションは、より実践的な内容でした。Sam Richardsonによる「The Robot Did My Homework」では、タイトルやディスクリプションの書き換えというSEOの日常業務に対して、Google SheetsでChatGPT APIを活用する方法を紹介してくれました。大規模な自動化のライブデモは確かに素晴らしかったのですが、英語以外の言語への応用については少し疑問が残りました。 AIの翻訳精度は確実に上がっていますが、やはり英語のデータ量は他の言語と比べ物にならないほど多いはず。他言語のコンテンツも扱う立場からすると、微妙なニュアンスの違いもある中で、英語ほどうまくいくかどうか、まだ確信が持てないのが疑問が残った理由です。

 

両者の講演で印象的だったのは、AIの効率性と人間の役割のバランスについての考え方です。AIを使ってコンテンツ制作を効率化することは大切。AIを活用してコンテンツ制作を効率化しながらも、ブランドの個性を守るために、人間がしっかりと目を配る必要があるということでした。

 

朝食からワインまで:カンファレンスでの食事事情

会場周辺にはたくさんのレストランがありましたが、私たちのチームはカンファレンスのケータリングパスを選択。会場内で朝食とランチのビュッフェが楽しめることになりました。

さすが日本チーム、朝食会場に着いたのは午前7時半。まだ誰も来ていない会場で、私たちだけがゆっくりとビュッフェを楽しんでいました。

まだだれもいない

 

カンファレンスのビュッフェは、さまざまな魅力的なメニューが揃っていました。野菜料理がとても美味しくて(とくにマッシュルームが絶品!)、日本では高価な果物も、ここではたくさん用意されていたので存分に楽しみました。とくに印象的だったのは、メニューの多様性です。毎食、グルーテンフリーやビーガン向けのオプション、さまざまな種類の代替ミルクが用意されていました。日本ではまだそこまで普通ではないので、様々な食事制限に対するこうした細やかな配慮を目にするのは新鮮でした。

 

 

朝のセッションからランチタイムまで、コーヒーが常に用意されていて、びっしり詰まったスケジュールの中でも皆元気に過ごせました。セッションやネットワーキングで1日を過ごした後は、チームでポキ丼を食べに出かけました。

美味しかったはずなんですが……時差ボケには勝てず、テーブルで居眠りしかけてしまいました。ちょっと恥ずかしい思い出ですが、これも海外カンファレンスならではの体験ですよね!

2日間の熱心な活動を経て迎えた最終日。ドリンクレセプションで、カリフォルニアの赤ワインを片手に、カンファレンスの成功を祝いました。仕事面でも、食事面でも、新しい経験の数々を思い返すのにぴったりの締めくくりとなりました。

 

展示会場の様子

日本のSEO業界から来た私の目に、まず飛び込んできたのは、brightonSEOに出展しているリンクビルディングやランクトラッキング関連の企業の多さです。でも、もっと興味深かったのは、各出展社がこの混み合った展示会場で、どんなユニークな方法で人を惹きつけているかということでした。

 

展示会場は、まさにアイデアの遊び場でした。あるブースではおもちゃの車のレース場を設置して来場者を競わせ、別のブースでは1日中人が途切れないようなゲームを用意していました。

私たちの隣のブースの戦略は、特に印象的でした。イーゼルの前でアーティストが来場者の似顔絵を描くという演出。似顔絵を描いてもらう間、スタッフとの会話が自然と弾み、後でSNSにシェアしてもらえる。一石二鳥とはまさにこのこと。シンプルながら、マーケティングの真髄を見た気がしました。

各出展社の様子を見ていて感じたのは、今のデジタル時代、サービスを見せるだけでなく、人々の記憶に残り、シェアしたくなるような瞬間を作ることの大切さです。

 

1日目のグッズ

2日目のグッズ

 

おわりに

初めてのbrightonSEO体験を振り返ってみると、セッションで得られた知識だけでなく、イベント全体の活気に満ちた雰囲気が特に印象に残っています。

出展者と参加者、両方の立場を経験できたことで、ユニークな視点を得ることができました。セッションではコンテンツ構成やAIの活用方法について学び、展示会場では各企業がどのように来場者と関わっているのかを観察することができました。

 

世界中からSEOのプロフェッショナルが集まり、アイデアや経験を共有する場の空気に、すっかり魅了されました。アメリカでの国際カンファレンス参加という新しいチャレンジは、知見を深めることはもちろん、期待をはるかに超える体験となりました。この経験は、きっと私の中で大切な思い出として残り続けるでしょう。


JADEアドベントカレンダー、まだまだ続きます!