
こんにちはあるいはこんばんは。村山(twitter id: muraweb_net)です。
この記事はJADE Advent Calendar 2025の12日目の記事です。
突然ですが、Webマーケティング関連のお仕事を業務で対応されている皆さん、Googleアナリティクス(GA4)を「使いこなしている」と言い切る自信、ありますでしょうか?
日々の業務でGA4を“触る”機会はあると思います。 ダッシュボードは開けるし、セッションやエンゲージメントといった用語もなんとなく知っている。でも、いざ数字を前にすると、急に手が止まってしまう。
正直、見方が合っているか不安
探索レポートの設定で迷子になる
このデータから何が言える?
次は何の施策を行うべき?
そんな悩みを抱えている方も、少なくないかと思います。GA4はいろいろと分析することができるアナリティクスツールですが自由度が高い分、乗り越えるべき壁がいくつか存在してしまいます。
JADEでは、そんな壁を乗り越え、メンバー全員がデータドリブンな意思決定を行うことができるように社内独自の「Web分析(アナリティクス)カリキュラム」を作成し活用し始めている状況です。まだまだカリキュラム内容をブラッシュアップできる余地はありますが、現状ではその成果がジワジワと見えている気がします。
今日はそのWeb分析(アナリティクス)カリキュラムの概要と、どのように活用されているのかをご紹介します。「今の環境だとGA4のスキルをなかなか高められない……」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
【もくじ】
なぜ今、カリキュラムなのか?
「GA4 、なんとなく触れるけど……」
この「なんとなく」の正体として「GA4 レポート画面を操作する上での不安」や「そのような中で抽出されて表示されたデータから分析することの迷い」などが潜んでいると思われます。 また、ダッシュボードを見て数字を見ることはできているが、そこから「で、どうする?」と問われた瞬間、自信を持って答えられなくなってしまうといった方も少なくないかもしれません。
そこから考えられることは「ツールの使い方」は学べても、「データとの向き合い方」を体系的に学ぶ機会が驚くほど少ないといった背景も考えられそうです。
JADEがGA4を学ぶために独自のカリキュラムを整備したのは、そのような課題を解決するためです。特に分析では下記の3つの視点が重要となります。
1. 分析は前工程が8割
「分析の成否は、集計前の『抽出』と『成形』で決まる」ことが多々あります。 どんなに優れた仮説があっても、その土台となるデータの定義が曖昧だったり、抽出条件が間違っていれば、そこから導き出されるインサイトはすべて無駄になります。 「なんとなく」でデータを抽出して数字を並べるのではなく、「正しいデータを、正しい形で取り出す」 という地味ですが決定的なスキルを徹底する必要があります。
2. 「点」ではなく「線」で戦略を立てる
Webサイトの現状を把握することは、SEOや広告の戦略を立てる上で「必須」です 。しかし、単に「PVが減りました」「CVが増えました」という「点」の報告だけでは、クライアントの事業を動かすことはできません。 「どのボリュームゾーンに課題があるのか?」や「ユーザー体験のどこがボトルネックなのか?」 等の問いに対して、「共通認識」を持って議論するためにはデータ分析における思考の型を活用することができます。
3. 「操作の暗記」から「問いの設計」へ
GA4 は機能が多く、複雑です。しかし、機能をすべて暗記する必要はありません。重要なのは、「何を知りたいから、この機能を使う」という「問いの立て方」です。*GA4 のヘルプページはディメンションや指標を正確に説明しているかもしれませんが、各ディメンションや指標を使って「データから仮説を導き、次のアクションを決める」ためのヒントは書かれていません。
「ツールに使われる」のではなく、「ツールを使いこなし、成果を生み出す」ことが重要です。
3部構成の「JADE式」Web分析(アナリティクス)カリキュラム
私と郡山さんを中心に作成した、実際にJADEのメンバーが学んでいるWeb分析(アナリティクス)カリキュラムの概要を紹介します。

Chapter 1.基礎編 : GA4 を扱えるようになる
まずは基礎知識の習得です。「なんとなく」で覚えている用語の意味や定義、指標の考え方を、正しく学習しなおします。下記のようなメニューが存在します。
- イベントとパラメータの構造: GA4 で集計されるデータの最小単位であるイベントと、それに紐づくパラメータと値の関係性を理解します。
- スコープの違い: ユーザー、セッション、イベントと異なるスコープとなるデータの違いを正確に把握します。
- レポート形式: 標準レポートと探索レポートの違い、BigQueryエクスポートの仕組みなど、データをどこでどう見るべきか判断できるようにします。
Chapter 2.応用編: GA4 で分析できるようになる
集計されているデータをどう料理するかという「分析のアプローチ」を学びます。
- 仮説と探索: 漠然とデータを見る「探索的分析」と、狙いを持って検証する「仮説検証型分析」の違いを理解し、使い分けられるようにします。
- 森から林、そして木を見る視点をもつ:全体像を把握した後、気になる点を深掘りし、具体的な問題を特定することで効率的に改善策を導き出すことが重要です。
- トレンドやセグメントを意識する: データを見る際は、点ではなくトレンド(傾向)やセグメント(比較)を意識する癖をつけます。
Chapter 3.実践編: GA4 で分析する
実際に GA4 で分析する際、参考にします。JADEでは分析フレームワークとしてULSAという独自のフレームワークを作りました。これはユーザー行動を以下の4つのフェーズで捉える考え方です。
① U:User
いきなり「なぜ?」と考える前に、まずは3W1H(Who/When/Where/How)で現状を正しく「観察」します。
- Who: どんなデバイスで?年齢層は?
- When: 平日?休日?時間は?
- Where: 地域に偏りはある?
- How: 自然検索?広告?どのチャネルから?
② L:Land
ユーザーがWebサイトと接点としてスタートする「着地(ランディング)」を分析します。仮説を持ち、特定のランディングページごとのパフォーマンスを評価します。
- スマホユーザーによるランディングページだけ特徴的な動きはないか?
- 広告経由と自然検索経由で、最初の動きに違いはあるか?
- 特定の行動が発生していたユーザーとの違いはなにか?
③ S:Surf
着地した後、ユーザーがサイト内をどう「回遊(Surf)」したかを見ます。単なるPV数ではなく、ユーザーの「体験の流れ」を追うフェーズです。
- 初回訪問だけでなく、再訪問も含めてどのようなページを見ているか?
- 「コンバージョンした人」と「しなかった人」で、閲覧ページに決定的な違いはないか?
- 回遊したページでどのような行動が発生しているのか?
④ A:Acquisition
最終的なCVに関する分析です。ここでは定量分析だけでなく、n=1である定性分析も重視します。 GA4 のユーザーエクスプローラ、Microsoft Clarity や Amethyst を使い、特定のユーザーの具体的な行動を追うことで、「なぜここで離脱したのか?」「何に迷ったのか?」というリアルなヒントを探り当てます。
このULSAのフレームワークにてデータを見ることで、何のデータを見るべきか迷いにくくなり、分析における「次の一手」が見えやすくなると考えています。
社内勉強会「JADE中学」での読み合わせ
いくらカリキュラムとなるドキュメントがあっても、一人で読むとカリキュラムの内容についてディスカッションできない、不明点を解決しにくいといったケースがあります。アナリティクス以外でもSEOや広告での文脈で開催されていますが、JADEでは、「JADE中学」と名付けた勉強会でアナリティクスカリキュラムが活用されています。「基礎となる中学レベルからしっかりやろうぜ」という趣旨で、学びたい有志メンバーが業務時間内に集まります。 やることはシンプル。ドキュメントの読み合わせと、実際のGA4 のレポート画面を使った操作です。
ここでの一番のメリットは、「わからないことをその場で詳しいメンバーに聞ける」ことです。 「この定義って、ユニバーサルアナリティクスだとどういう意味でしたっけ?」、「この分析を行うときに見るべき指標はこれで合ってますか?」といったリアルな疑問が飛び交っています。
現場で起きた「変化」
Web分析(アナリティクス)カリキュラムは2025年の春頃にリリースすることができましたが、少しずつではありますが確実に変化が起きているように見えます。
先日、松尾さんが下記のブログ記事を公開しました。
松尾さんは広告運用未経験から広告運用の業務を中心にお仕事いただいている中、入社1年で一定のレベルで分析できるようになったのはとても良い変化でした。
「なんとなくの分析」から「意志ある仮説検証」へ
「数字を見てから考える」のではなく、「この仮説を検証するために、このデータを抽出する」という順序に変わったように感じます。 例えば、ランディングページの分析一つとっても、「とりあえず全体の直帰率を見る」のではなく、「スマホユーザーかつ初回訪問のユーザーに限って、ファーストビューでの離脱要因を探ろう」 といった、具体的な視点でデータに向き合えるようになりました。
「迷子時間」が減り「思考時間」が増えた
GA4は定義が複雑で、自己流で触っていると「この数字、本当に合ってる?」という不安が常に付きまといます。 Web分析(アナリティクス)カリキュラムでデータ構造に関する共通言語を持てたことで、定義確認のために必要な調査時間や、メンバー間での認識合わせの時間が削減された気がします。
結果として、ツールの操作に悩む時間が減り、その分「なぜユーザーはこの行動をとったのか?」というデータ分析からの考察での時間を割けるようになりました。
「自発的な実践」と「案件ごとの試行錯誤」
これが最も嬉しい変化かもしれません。アナリティクスカリキュラムを自発的に読んでいただき、実際の分析が必要なケースで利用いただいていることが増えました。もちろん、最初から100点満点の分析ができるわけではありません。(100点満点の分析って何?ってのもありますが) 重要なのは、分析する前から手が止まるのではなく、「まずは仮説を持ってデータを出し、違ったら視点を変えてみる」という試行錯誤を、案件ごとに繰り返せるようになったことです。 分析とは正解がないことが多いと思います。ただし、「正解のない問い」に対して自ら手を動かし、悩みながら答えを探すプロセスをスタートできるようになったことに意味があると思います。
これからやりたいこと

現在は「JADE中学」や実際の現場で分析する際に参考とするWeb分析(アナリティクス)カリキュラムとなり、座学と疑問解消がメインですが、今後はさらにレベルの高い分析に関して勉強する時間があっても良いなとイメージしています。 広告ではJADE中学を卒業した方が学ぶ場として「JADE高校」があるのですがアナリティクス版のJADE高校があっても良いかもしれません。その場では、個別の具体的な事例を持ち寄って、「このサイトの課題なら、どの軸でデータを比較するべきか」や「どのような視点からデータを切り分けて見ていくべきか」といったディスカッションも面白そうです。
SEOや広告に関する業務を行っている方で GA4 を学びたいと思った方はJADEでも学べます。カジュアル面談なども可能なので、お気軽にDMください!
アドベントカレンダーはまだまだ続きます。週末はエンジニアリングチームが投稿予定です。お楽しみに。