ユーザーの“迷い”が丸見え。月1回の「Clarityを眺める会」でプロダクト改善をする話

Microsoft Clarityを活用した月1回30分の「Clarityを眺める会」。セッションレコーディングからユーザーの声にならない課題を発見し、プロダクト改善につなげる取り組みと、実際の改善事例をご紹介します。

こんにちは!SEO分析ツール「Amethyst」開発チームの川本です。

この記事は、JADE Advent Calender 2025 10日めの記事です。

さて、皆さんはMicrosoft社が提供する完全無料のヒートマップ・セッション分析ツール「Clarity」を使っていますか? 「マーケターがLPの分析に使うものでしょ?」と思っているPMやエンジニアの方、もしいたら非常にもったいないです!

Microsoft Clarity - Free Heatmaps & Session Recordings

私たち Amethyst チームでは、プロダクト改善にClarityを利用しています。今回は、チームで月に一度開催している「Clarityを眺める会」の様子と、そこで見つかった改善事例をご紹介します。

これを読めば、あなたも「今すぐClarityを使ってみたい!」と思うはず!(多分。きっと。)

【もくじ】

「Clarityを眺める会」とは?

私たちのチームでは、PMの私(川本)に加え、フロントエンドエンジニアの淺津・長谷川の3名で、毎月「Clarityを眺める会」を30分間開催しています。

やり方は超シンプル。

  1. 眺める(前半15分): 各自でClarityの「レコーディング(ユーザーの操作動画)」をひたすら見る
  2. シェアする(後半15分): 気づきをNotionに書き出し、ワイワイ議論する

たった30分ですが、ユーザーの感情を反映した定量・定性データを洗い直して、新たな発見につなげています。

Clarityの「レコーディング機能」とは?

Google Analyticsでは「どのページで何人が離脱したか」という数字は分かります。でも「なぜ離脱したのか」までは分かりません。

Clarityのレコーディング機能は、ユーザーの操作を動画として再生できる機能です。カーソルの動き、クリック、スクロール、入力すべてが記録されます。隣でユーザーが操作しているかのような臨場感で、「ユーザーが迷っている瞬間」「諦めた瞬間」が手に取るように分かるんです。

「Clarityを眺める会」の様子

それでは、ある日の「眺める会」の様子を実況風にお届けします。


川本 「はい、では15分間取ります。各自Clarityのレコーディングを見て何か気づいたものがあったらNotionの方に記載していってください。あとでみんなで見ましょう」

3人がそれぞれのPCでClarityを開き、セッションレコーディングの再生を始めます。ミーティングスペースには静かにタイピング音が響きます。15分経過したところで、後半は各自の気づきをシェアします。

その「イライラしたクリック」はなぜ消えた?

Clarityには「イライラしたクリック(Rage Clicks)」というユニークな指標があります。ユーザーが反応しない要素にイライラして連打している状態です。これが減ることは、UX改善の証でもあります。

長谷川 「見てください、先月に比べて『イライラしたクリック』が大きく減ってます」

川本 「ほんとだ。いいですね!」

淺津 「残っている『イライラしたクリック』も、詳細を見ると特定の1つのセッションに集中してますね。これはシステムの問題というより、ユーザー特有の癖かも」

長谷川 「前回の〈Clarityを眺める回〉で、特に『イライラしたクリック』が多かったのは、Search Analyticsの読み込み表示中でしたね。直近のキャッシュ機能の改善で待ち時間が短くなり、ユーザーのイライラも解消された可能性がありますね」

淺津「機能改善がユーザーのストレス軽減として数字に現れるのは、開発のモチベーションが上がっていいですね」

実装した機能、本当に使われてる?

新機能リリース後、Google Analyticsの数字だけ追ってしまうことはないでしょうか? Clarityなら「どう使われているか」まで分かります。

期間比較を選択すると、次回から履歴に積まれて「比較履歴」という機能が使えます

長谷川 「期間比較機能、かなり使われていますね。特に『履歴』から呼び出す機能、ちゃんと活用されてて嬉しいです」

川本 「よかった! 履歴保存を最新の1つだけでなく、複数保存できるようにこだわった甲斐がありましたね」

フロントエンドエンジニアの長谷川

長谷川 「実装大変でしたけど、こうやって実際にユーザーが履歴をクリックしてサクサク分析している画面を見ると、やってよかった〜!と思います」

 

トークン期限切れ時のログイン動線修正

ここからは、Clarityで見つけた不具合を修正につなげた事例です。

ユーザーの動き:久しぶりにログインしようとしたところ、「403 アクセス禁止」の画面が表示されました。ユーザーは戸惑いながら「ホームに戻る」を押し、再びログイン画面へ。

 

淺津 「これ、大変申し訳ない。トークンの期限が切れているだけなのに、ユーザーからすると『何か悪いことしたっけ?』ってなる」

長谷川 「たしかに。エラー画面を経由させて、ホームに戻らせてログインさせる。クリックの無駄ですし、何より体験が悪いです」

淺津 「トークン切れの判定が出たら、403画面を出さずに直接ログイン画面へリダイレクトさせましょう。チケット切っておきます」

【即修正】 自動でログイン画面へ誘導するように改修。ユーザーは何が起きたか意識することなく、スムーズに再開できるようになりました。

カレンダーUIの改善

あるユーザーが「期間比較機能」を使おうとしていたシーンです。期間Aのデータと期間Bのデータを比較する機能です。

「比較」 → 「カスタム比較」を選ぶとこのダイアログが出る

川本  「このセッション、クリック数が異常に多いですね。期間設定で何度もやり直してる」

期間比較設定画面で、ユーザーは開始日と終了日を何度も選び直していました。一度設定して、思った日付を選択できなかったのかリセット。

淺津 「これ、終了日を選ばせる必要あります? 開始日を選んだら、自動で比較期間を決定してあげたほうが親切じゃないですか?」

長谷川  「あー、たしかに! 比較なんだから期間は一致するのが前提。選ばせない方がいいですね」

開発者目線だと「自由度が高いほうがいい」と思いがちですが、ユーザーにとっては「選択肢が多すぎる」ことはストレスになります。

【即修正】 開始日を選んだら終了日が自動で入るように。これでユーザーの迷いは少なくなるはずです。

エクスポート機能の導線改善

CSVエクスポート機能を使っているユーザーの動きも興味深いものでした。

  1. エクスポートボタンを押す。
  2. 処理中のグルグルが出る。
  3. 待ちきれず(あるいは終わったと勘違いして)ダイアログを閉じる。
  4. 「あれ、ファイル落ちてこない?」と思ってもう一度ボタンを押す。
  5. 結果、ファイルが2つダウンロードされる。

フロントエンドエンジニアの淺津

淺津 「これ、ダイアログを閉じた後にもう一度開く動線がないのが問題ですね。あと、ダウンロード期限切れの履歴が大量に並んでるのもノイズです」

【改善案】

  • エクスポートのツールチップに、「実行中のエクスポートを表示」ボタンを設置
  • エクスポート一覧ダイアログの期限切れアイテムをデフォルトで非表示にする

フィルター機能の改善

長谷川 「URLパターンフィルターを付けた状態でテーブルのデータを一つ一つ確認し、ページ送りする動作を繰り返していますね」

淺津 「うん」

長谷川 「で、匿名化じゃないものが出てきた時に別タブでそのサイト見に行くっていう動きをし続けてるっぽい」

川本 「こういう時はぜひ、〈匿名化されていないクエリ〉でフィルターしてほしいですね。しかし、ユーザーが見つけられていないのが問題です」

淺津 「フィルターしなくてもページ送りすれば見られるといえば見られるので、ユーザーの目的は達成されていそうですが、UIの配置の工夫でもっと体験をよくできますね……テーブルから直接、匿名・非匿名のフィルターを追加できるようにしましょう」

長谷川 「ああ、たしかにね。それはいいかも」

【改善案】

  • 匿名クエリセルに「匿名化クエリを除外する」のフィルターアクションを追加する

会を終えて

わたしはこの記事を書いた川本です

川本 「なんだか今回は優先度高いのがあまりなかったですね。これすぐ対応しないとね、みたいなのがなく」

長谷川 優先度が低いということが確認できてよかった

淺津  「こういうもんですよ」

長谷川  「でかいのだったらもっと直接要望が上がってそうなもんですからね」

川本  「はい。Clarityはそういうなんか顧客の声にならない声を拾い上げられるのがいいところですよね」

長谷川  「そういう落としどころになると思います」

 

月1回30分で、プロダクトはもっと良くなる

Clarityを活用することで、直接的な顧客からの声だけでなく、実際の利用状況から改善点を見つけることができます。UIの使いにくさなど、ユーザーが言葉にしない課題を発見し、プロダクト改善に活かしています。

「Clarityを眺める会」から得られたもの

  • ✅ 定量データだけでは見えない定性データ(ユーザーの感情)
  • ✅ 「声にならない声」の発見
  • ✅ 実装した機能が「どう使われているか」の確認
  • ✅ チームの改善モチベーション向上

たった月1回、30分。でもここから生まれる改善は、少しずつですがユーザー体験を良くしています。

「ユーザーの本音が知りたい」「もっといいプロダクトにしたい」と思っているPM・エンジニアの皆さん、まずは1回、チームで「Clarityを眺める会」を開いてみませんか?

そして、この記事からもお分かりのように、 Amethyst は日々進化を続けています。ぜひ公式サイトをご覧いただき、SEO分析ツールの可能性を体験してみてください。資料請求やお問い合わせもお待ちしております!

アドベントカレンダーはまだまだ続きます。明日は日西AIさんの記事です!

 

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