SEOは死んでいない。進化している――FOUND Conference Tokyo 2025 で示されたAI時代のSEOの未来

FOUND Conference Tokyo 2025のレポート。日本と海外のSEO専門家が集結し、AI時代のSEO戦略を議論。「SEOは死んでいない」というメッセージと、データドリブンSEOの重要性、AI検索時代の実践的アプローチを紹介します。

JADEのアリサです。この記事は、JADE Advent Calendar 2025の3日目の記事になります。

日本と世界をつなぐ2日間

東京では年間を通じて、SEOカンファレンスやウェビナー、ネットワーキングイベントが数多く開催されています。ですが、日本と海外のSEO専門家が実際に同じ会場に集まり、同じステージに立ち、共通の課題について語り合う機会はほとんどありません。FOUND Conference Tokyo 2025は、そんな貴重な場となりました。

DemandSphereが東京・大手町で開催したこのカンファレンスには、2日間にわたり日本と海外のトップスピーカーが集結。同時通訳があったおかげで、日本語と英語のセッションがスムーズに進み、日本のSEO担当者と海外からの参加者が入り交じる空間になりました。

国内外から集まった著名スピーカーたちへの期待は大きく、それぞれのセッションが独自の視点を提供してくれました。そして繰り返し浮かび上がってきたテーマがひとつ。ご存知の通り、AIです。ただしパニックや終末論的な予測ではなく、誰もが真剣に向き合っている問いとして。実際に何が変わりつつあるのか、そしてこの先どこへ向かうのか? いくつかのセッションを駆け足で振り返ります。

DAY 1 オープニング: 長山一石“Google vs. Non-Google”

JADEファウンダーの長山一石が、FOUND Conferenceの2日間の幕開けとして取り上げたのは、誰もが気になっていた噂。「SEO is Dead」です。

状況証拠は明らかに見えます。日本の検索結果ではAI Overviewsが急増し、強調スニペットは大幅に減少。AI Modeが日本でもローンチされ、生成AIを使った大量のコンテンツ制作が爆発的に広がっているのですから。

しかし、長山が実際のデータを見たとき、違う景色が見えてきました。Web上にあふれるAI生成コンテンツは、検索ランキングに大きな影響を与えていない。人が書いた記事が今も検索結果を占めています。そして、AIツールの台頭にもかかわらず、検索エンジンは人々が情報を見つける主要な手段であり続けています。

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真の戦いとは何か?

長山の核となる主張は、本当の競争は「検索 vs. AI」ではないということです。それは「Google vs. Non-Google」、つまりGoogleと、OpenAI、Anthropic、Perplexityといった企業との戦いなのです。 Googleには構造的な優位性があります。AIモデル自体の能力は似通ってきていますが、Googleの本当の強みはディープサーチにあります。リアルタイムでWebを検索し、その情報を回答に統合する能力。これはGoogleが30年間やり続けてきたことです。

Non-Google側には大きな摩擦があります。クローリングにはコストがかかり、パブリッシャーはAIスクレイパーをブロックし、訴訟も積み重なっています。一方でGoogleにはインフラ、既存のインデックス、そしてパブリッシャーとの関係があり、この摩擦を最小限に抑えられます。 Googleはすでに検索、クラウド、サブスクリプションを通じてAIを収益化。他で、Non-Google系のAI企業は、持続可能なビジネスモデルをまだ模索している段階です。

ゾンビではない。フェニックスだ

長山はこう結論づけました。「SEOは死んでいません。SEOはゾンビではなくフェニックスです。死んだのではなく、新しく生まれ変わっているのです。変化しているのです。そして、本当の変化はAI自体ではありません。それは何年もかけて静かに築かれてきたもの。高品質なファーストパーティデータへのアクセスです」

URL検査API(1日最大2,000件のチェックが可能)、Google Search ConsoleのBigQueryへの一括エクスポート、GA4のBigQuery統合といったツールにより、SEO担当者はついに詳細なパフォーマンス指標を追跡できるようになりました。ディレクトリ別のインデックス率、カスタムクエリのグループ化、ユーザー行動パターン。すべてが正確に測定できます。

「これが真の革命です。データドリブンSEOの時代が、ついに到来したのです」

押さえておきたいこと

  • 競争は「Google vs. Non-Google」 - Googleのインフラとパブリッシャーとの関係が、新興AI企業に対する構造的優位性を生む
  • SEOの本質は変わらない - 分散システムの中で認知を得ること。ただし戦術は進化させる必要がある
  • データアクセスこそが真の革命 - ファーストパーティデータツールにより、戦略的でエビデンスに基づくSEOが実現可能

宇田川敦史“SEOの社会的インパクト”

武蔵大学社会学部メディア社会学科准教授の宇田川敦史氏は、「SEOが世界を救うかも!?:SEOの社会的意義と未来を考える」というテーマで、学術的な視点をカンファレンスに持ち込みました。彼の主張は、SEOは単なる「企業のマーケティング手法」ではなく、「インフラ」だということ。

アテンション・エコノミーの問題

現代のWebが直面している核心的な課題を、宇田川氏は「アテンション・エコノミー」と呼びました。情報量は爆発的に増えていますが、人間がそれを処理する能力には限界がある。この注意力の希少性が、クリックベイト、ダークパターン、操作的なコンテンツといったネガティブな行動を生み出しています。プレイヤーたちが、どんな代償を払ってでもユーザーの注意を奪い合うからです。

理想は、質の高いコンテンツ(E-E-A-Tのような原則に従ったもの)が注目を集めること。しかし、近道を探すプレイヤーたちは、常にシステムを出し抜こうとします。検索エンジンは、コンテンツの質とインパクトのバランスを取るという歴史的な努力を続けているのです。

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SEOコミュニティの力

宇田川氏は重要な転換点として、2016年のWELQ問題を取り上げました。この健康情報サイトは、テクニカルSEOを駆使してセンシティブな医療キーワードで上位表示されていましたが、ページの大半はアフィリエイトリンクと未検証のコンテンツでした。SEOコミュニティからの強い批判はGoogleとの協力につながり、YMYL(Your Money Your Life)コンテンツやE-A-T原則に関するポリシー変更に影響を与えました。SEOコミュニティが良質なコンテンツの基準で団結すれば、Googleのようなプラットフォームに品質を優先させる圧力をかけられる――WELQ問題がそれを示しました。

AIの評価基準は人間の好みに近づいていく

AIやプラットフォームが増え続ける今日の不確実な状況では、テクニカルな近道を探したくなる誘惑が強くなります。そんな中、宇田川氏はこう語ります。

「短期的なハックは過去がそうだったようにすぐに無効化されます。AIの進化はコンテンツの質に対する要求を下げるのではなく、むしろ高めるでしょう。ユーザーは良質なコンテンツとは何かについて、より明確な基準を持つようになってきています。そして、AIの評価基準は人間の好みに近づいていくはずです」

彼の提言は、AIが生成できないオリジナルコンテンツや一次情報に投資すること。それこそが、長期的な価値を持ち続ける、と。つまり、「トラフィックの論理」から「品質の倫理」へのシフトが必要だということです。コンテンツを最適化するとき、私たちは社会の情報インフラに貢献している、と宇田川氏は語りました。

押さえておきたいこと

  • SEOは社会インフラ - SEOコミュニティが品質基準を守ることで、プラットフォームのコンテンツ優先順位に影響を与えられる
  • コミュニティには集団の力がある - 品質基準で団結し、プラットフォームに影響を与え、操作的な戦術に対抗した例がある
  • AIはオリジナリティを要求する - AI自身が生成できないオリジナルコンテンツや一次情報に投資し、トラフィックの論理から品質の倫理へシフトする

 

リリー・レイ“AI検索はGoogleを置き換えていない”

リリー・レイは1日目を締めくくるセッションで、AI検索の現状について語りました。

「AI検索はGoogleを置き換えていません。調査によると、ChatGPTユーザーのほとんどは今もGoogleを使っており、LLMを使うことで従来型の検索が減るのではなく、むしろ増えることが多い。AIツールは補完的なもので、置き換わるものではないのです」

「ChatGPTは最も広く採用されているLLMですが、その利用は横ばいになっています。Geminiは急速に成長しており、特に新製品の発表後に伸びている。しかし、Googleの検索ボリュームは今もAIツールを大きく上回っています」

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AIを支えるSEOの基盤

リリーの重要な指摘は「大規模言語モデルがRetrieval Augmented Generation(RAG)に依存して最新情報を提供していること」です。つまり、LLMは検索エンジンの結果に根本的に依存しており、リアルタイムでWebを検索し、トレーニングデータに含まれていない最新情報でプロンプトに答えている。

Googleのダニー・サリバンが言ったように、「良いSEOは良いGEOである」。質の高いコンテンツ、サイト構造、E-E-A-Tといった強固なSEOの基礎は、AI検索の可視性を直接的に高めます。SEOは死んでおらず、AI検索が構築される基盤そのものなのです。

まずは自社コンテンツの見直しから

リリーからの具体的な提言は、まず自社コンテンツの見直しから始まります。ブランドについてのあらゆる質問――リーダーシップ、ミッション、製品の詳細、連携機能――に先回りして答えられるよう、Webサイトを整備すること。明確で簡潔な言葉を使うことが重要です。

測定の面では、従来の順位トラッキングだけでは不十分になってきました。Search Consoleでのブランドインプレッションや、GA4のカスタムセグメントでLLMからのトラフィックを追跡するなど、新しいKPIに注目する必要があります。

プラットフォーム戦略も欠かせません。Wikipedia、Reddit、YouTubeは、LLMが最も引用するドメインです。特にYouTubeは教育コンテンツに適しており、Geminiは特にYouTubeを好む傾向があります。そして、自分のニッチで最も引用されているURLで言及されることを目指す—デジタルPRの重要性も変わりません。

押さえておきたいこと

  • AI検索は補完的なもの - ChatGPTユーザーの95%は今もGoogleを使用しており、AIは検索を置き換えるのではなく拡張している
  • SEOはAEOの基盤 - LLMはRAGで検索結果に依存するため、強固なSEO基礎がAI検索の可視性を直接高める
  • 自社サイトで先回りして答える - ブランドに関するあらゆる質問に明確に答えられるコンテンツを整備し、新しいKPIで測定する

盛り上がったライトニングトーク

リリーのセッション後、カンファレンスの雰囲気が変わりました。懇親会会場にはドリンクとスナックが並び、日本のSEO専門家たちによるライトニングトークがスタート。7人の専門家がLTを行い、JADEからは篠原と村山が登壇しました。

登壇者のファンが最前列に陣取り、手作りのうちわ型ポスターでLTを盛り上げます。笑いと美味しい食事、そして何杯かのドリンク。会場は熱気に包まれ、参加者たちは情報を交換したり、紹介し合ったり、聞いたばかりの話について語り合って1日目が終わりました。

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DAY 2:マイク・キング“AIサーチ・プレイブック”

2日目の幕開けは、iPullRankのCEOマイク・キング。アメリカから来日した彼にとって、日本での初プレゼンテーションは「生涯の夢」だったと言います。

SEOは非推奨、死んではいない

キングのメッセージは明快でした。SEOはAIのために進化する必要がある。さもなければ無関係なものになってしまう。

「従来のSEO手法はまだ機能します。しかし、より良いアプローチが登場している。SEOは死んでいません。非推奨(deprecated)になったのです。つまり、より効果的な何かに置き換えられたということです」

キングの言う「非推奨」とは、SEOの終わりではなく、進化の必要性を意味している、と感じました。

AI Overviewsがクリック率を下げ、トラフィックは減少しています。しかし興味深いことに、コンバージョンは上がることが多い。AIOがより質の高い訪問者を送り込んでいるのです。根本的な変化は明らか。SEOはトラフィックチャネルからブランディングチャネルへと進化しており、インプレッションや引用が、クリックと同じくらい重要になっています。

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Relevance Engineering=関連性設計とは

キングが紹介したのは、AI時代の新しいフレームワーク「Relevance Engineering(関連性設計)」です。AI、情報検索、コンテンツ戦略、UX、デジタルPRを組み合わせたもので、従来のチェックリスト的なSEOアプローチではもう不十分だと言います。

AI検索はRAGで機能します。ユーザーのクエリを複数の小さな質問に分解するプロセス、つまり「Query Fan Out」。AI回答に表示されるには、コンテンツが簡単に抽出できる必要がある。表やリスト、明確な主語-動詞-目的語の文章、そして焦点を絞った情報ブロックです。 キングが強調したのは、密度の高い段落を小さな情報ブロック(チャンク)に分割することの重要性。これにより、コンテンツがAIシステムにとってより関連性の高いものになります。目的は、機械が情報を抽出しやすくすること。

従来のGoogleランキングは、AIの引用をうまく予測できません。ChatGPTが引用するURLの中には、Googleでまったくランクインしていないものもある。古いパターンは崩れています。SEOの専門家は古い制約を手放し、再スタートする必要がある。市場は、ユーザーが情報を収集する状態から、ロボットが私たちのために情報を消費し解釈する状態へとシフトしている。キングはこう語りました。「検索は決定論的なものから確率論的なものへと移行したのです」

押さえておきたいこと

  • SEOは非推奨、死んではいない - 従来の手法はまだ機能するが、より良い方法に置き換わっている。業界は重要な転換点にあり、適応が求められている
  • 抽出可能性を最適化する - AI検索はQuery Fan OutとRAGを使うため、明確な意味構造と焦点を絞った情報ブロックが必要
  • インプレッションが新しいクリック - AIが直接回答を提供する時代、SEOはブランディングチャネルへ進化。引用やシェアオブボイスがトラフィックと同じくらい重要に

ノア・ラーナー“コントロールできることをコントロールする”

ノア・ラーナーは、東京で初めてのセッションを旅の不安の話から始めました。12時間も離れた場所で何もコントロールできない状態は、今のSEO業界がどう感じられるかに似ている。業界は急速に変化し、足元が揺れ続けている。

彼のメッセージはシンプルでした。「コントロールできることをコントロールしよう」。周りの世界が混沌としているとき、実際にできることに集中する。ノアにとって、それはデータと基礎的な分析作業に深く取り組むことを意味します。

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見えないトラフィック

ノアが取り上げた実践的な問題は、大規模言語モデルがGA4のデフォルトチャネルグループで追跡されていないこと。カスタムチャネルグループを使ってLLMトラフィックをキャプチャしていなければ、AI検索がサイトにどう影響しているかは全く見えません。

彼の哲学は、ツールがすべてを教えてくれるのを待たず、自分で作業を行うこと。データの見方を変える(日次、週次、月次で)ことで、異なるパターンが見えてきます。クロスフィルタリングを設定すれば、サイト全体のデータから特定のインサイトへ素早く移動できる。

隠れたチャンス

ノアは、2025年9月のGoogleの変更(Num=100パラメータの無効化)を分析しました。この変更により、Search Consoleで表示されるインプレッションが大幅に減少。特に20位から100位にランクしているキーワードへの可視性が失われました。即座の影響はネガティブに見えました。

しかしノアは問いました。「他に何があるか?」

隠れた結果は、データが少ないということは、ストレージコストが下がるということ。これにより、Google Search Console Bulk Exportがほぼ誰にでも手が届くものになりました。彼のアドバイスは、ウェブサイトオーナーならBulk Exportを設定すること。包括的なデータ(すべての国、デバイス、匿名化されたクエリ)がAPIの制限なしで得られます。

答えは同じ

ノアは最初に戻ってセッションを締めくくりました。すべてが不確実に感じられ、不安が忍び寄るとき――それが見知らぬ場所への長時間フライトであれ、変容するSEO業界であれ――答えは同じ。コントロールできることに集中する。

データに深く入り込む。問題にぶつかったら「他に何があるか?」と問う。仮説を立て、テストし、繰り返す。自分のバイアスを認識する。そして何よりも、徹底的に優先順位をつける。本当に針を動かすことは何か?

これはAIの未来について華やかに語るプレゼンテーションではありませんでした。堅実な分析作業、クリティカルシンキング、そしてコントロールできることをコントロールすること。それが不確実性を乗り越える力になる、というシンプルなリマインダーでした。

押さえておきたいこと

  • LLMトラフィックを可視化する - GA4カスタムチャネルを設定してAI検索トラフィックを追跡。デフォルトレポートには表示されない
  • Bulk Exportが手頃に - データコストの低下により、包括的なトラッキングが現実的に。ウェブサイトオーナーは自分のGoogle Cloudプロジェクトで設定を
  • 収益にフォーカスする - クリックが減少する中、すべてのチャネルでコンバージョン率とAOV(平均注文額)に注目する

ランド・フィシュキン“Build on Rented Land”

2日目の最後は、ランド・フィシュキンでした。

成長は止まった

長年、プラットフォームは爆発的に成長してきました。Google、Facebook、Xは、ユーザーを増やし続け、トラフィックを自由に送っていた。しかし、その時代は終わりました。検索、ソーシャル、コンテンツプラットフォーム全体で、成長は停滞しています。

ユーザーの成長が止まると、プラットフォームは戦略を転換しました。既存ユーザー1人当たりの収益を増やすこと。その方法は、できるだけ長く人々をプラットフォーム上に留めることです。外部リンクを含む投稿は抑制される。リンクはユーザーを外に連れ出してしまうから。プラットフォームはもう、あなたをWebにつなげようとはしておらず、自分たちの壁の中でスクロールさせ続けたい。

AIは敵ではない

ランドは、よくある懸念を取り上げました。AIは従来の検索を殺していない。ChatGPTユーザーのほとんどは、今でもGoogleを定期的に使っています。異なる目的のための、異なるツールなのです。「ピンクはブルーを食べていない」と、彼は自身のデータを示しながら言いました。

本当の脅威は? Google自身です。ゼロクリック検索とは、Googleがあなたのサイトに誰も送らずに、直接クエリに答えること。ほとんどの検索ユーザーは今、何もクリックしないか、もう一度検索し直しています。デスクトップのオーガニッククリック率は下がり続けている。

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成功指標を見直す

ランドが示したのは、私たちが間違った指標を追いかけているということ。

HubSpotは、ブログトラフィックの大部分を失ったと報じられましたが、過去最高の四半期と記録的な収益を達成しました。別の例として、ある発明家は教育的なYouTubeコンテンツで、1週間に数十万ドル相当の超音波シェフナイフを販売した。メールキャンペーンもリファラルトラフィックもありません。ゼロクリックのコンテンツが信頼を築き、人々は直接Googleでブランドを検索したのです。

同じパターンが繰り返されています。トラフィックを失いながら、収益を伸ばす企業。なぜか? 重要なトラフィック、質の高い意図的な訪問者は、今もコンバージョンするからです。ボリュームはもう目標ではありません。影響力です。

オーディエンスが実際にいる場所

ランドは言います。「借りた土地の上に建てよう」と。LinkedIn、YouTube、Reddit、ポッドキャスト。確かに、自社サイトに築いた資産のようにコントロールはできません。しかし、そこにオーディエンスが実際にいるのです。

彼が示した数字によれば、LinkedInに投稿した動画は、自社ブログの同じ動画よりも数万回も多く視聴されていました。自社ブログには大規模なメール購読者がいるにもかかわらず、です。

ここに大きな落とし穴がある、とランドは指摘します。リファラルトラフィックだけを見て予算を決めると、間違ったチャネルにお金を使ってしまう。

例えば、こんなケース。誰かがポッドキャストであなたを知り、カンファレンスであなたを見て、Redditのコメントを読む。そして最後にGoogleでブランドを検索する。アナリティクスには「Googleオーガニック」と表示される。経営陣は「Googleが効いている」と判断し、予算をつける。でも実際は、ポッドキャストやカンファレンスが影響を与えていたのです。

視点を変える

マーケティングの未来には、根本的な転換が必要です。ブランドは、Webサイトよりもはるかに広い場所に存在している。クリックがなくても、人の考えを変えることはできる。

オーディエンスが実際にどこに注目しているか、そして予算をどこに使っているか。この2つが一致していなければ、間違った場所に投資しているということ。

ランドの最後のメッセージは、トラフィックは死につつあり、アテンションが台頭しているということでした。未来は、Webサイトへのクリックを増やすことではありません。人々が実際に時間を過ごす場所で影響力を築くことです。

押さえておきたいこと

  • AIは検索を補完するもの - 従来の検索は今も強い。プラットフォームがユーザーをクリックさせない仕組みこそが、トラフィックへの大きな脅威
  • 影響力はトラフィック量より重要 - 「トラフィック減、収益増」が2025年のストーリー。質の高い意図的な訪問者は、大量で低意図のトラフィックよりもコンバージョンする
  • 予算はアテンションに合わせる - リファラルトラフィック指標は、しばしば間違ったチャネルにクレジットを与える。オーディエンスが実際に時間を使う場所に投資を

世界中で同じ問いに向き合い、似た答えを探している

FOUND Conferenceで印象的だったのは、メインセッションだけではありませんでした。スポンサーエリアやライトニングトーク、終了後の会話。そこで日本と海外の実践者たちが実際に話し、アプローチを比較したり、課題を共有したり、共感できる話を見つけていました。 SEOは死んでおらず、進化していることが、このカンファレンスに参加した方は確認できたことでしょう。そして、その進化を形作る人々は、東京にいてもニューヨークにいても、同じ問いに向き合い、似た答えを探しているのです。

 

明日もアドベントカレンダーは続きます!お楽しみに。