「スーパーのきのこ」しか知らないあなたへ。“週末きのこハンター”のススメ

「ポルチーニだらけのパスタが食べたい」という想いから始まった本格的なきのこ採り。スーパーには並ばない菌根菌を山で探し出す楽しさとは?週末きのこハンターの魅力と、その奥深い世界をご紹介します。

こんにちは! JADEでSEOコンサルをやっている中嶌です。  JADE Advent Calendar 2025で16日目担当の私からは、個人的な趣味である「きのこ採り」について書かせてもらおうと思います。

自己紹介などで「趣味はきのこ採りです」とカミングアウトすると、「農園みたいなところで原木椎茸とか採るの?」とほのぼのした想像をされがちですが、私の場合は違います。採取可能な野山に自ら分け入って探す、かなり本気のスタイルです。

意外に興味を持っていただくことが多いので、この話題について触れようと思います。

 

ポルチーニだらけのクリームパスタが食べたくて

きのこ採りに興味を持ったのは、日本にポルチーニ近縁種が生えていることを知ったことがきっかけです。私はポルチーニのクリームパスタが物凄く好きで、イタリアンなどでよく頼みます。ただ、入っている量の少なさにいつも不満を持っていました。

日本でポルチーニ近縁種が生えていることを知った私は、「自分で採ってパスタを作れば、お店ではありえないくらい『盛り盛り』に入れられるのでは……!」そう思い立ち、探してみようと決意したわけです。

しかしいざ始めてみると、これがなかなか過酷な趣味でした。私は都内に住んでいますが、近場にはポルチーニ近縁種の「シロ(発生場所)」はそう多くありません。 当初は週末の始発電車で山深い奥地まで赴き、山中を10kmほど歩き回った結果、一日の歩行距離が20kmを越えることさえありました……。

さらに、仮に見つけられたとしても、日本では多くの場所で無断採取が禁止されています。鑑札や入林許可証の購入など、エリアに即した準備も不可欠。いくつか抜粋して引用しますと

国有林での山菜・きのこ採りには入林許可証が必要です

市内の5地区(山寺・高瀬・東沢・滝山・蔵王)の国有林から山菜やきのこ等を採取するときは、入林許可証を携帯して入林してください。入林許可証は1地区500円(1年間有効)で森林整備課窓口にて発行しています。
入林するときは、ごみは持ち帰り、たばこの投げ捨てはしないなど、山でのマナーを守りましょう。

入林許可証について|山形市公式ホームページ

第3条 前条の部分林に入山しようとする者は、次の各号を遵守する義務あるものとする。

(1) 当該公庁の入山証を携帯する者のほか、入山鑑札を携帯せずに入山しないこと。

(2) 規定の制限に違反する器具を携帯して入山しないこと。

(3) 入山期間外又は入山区域外に入山しないこと。

鳴沢村恩賜県有財産部分林保護規則

といった具合です。物理的にも法的にも、いくつもの壁を乗り越えた先に、ようやくきのこが待っているわけです。

そんな苦労の末に採れるようになったポルチーニ近縁種(ヤマドリタケモドキ)がこれ。イタリアンの本場のポルチーニとは別種ですが、味は変わらないと言われています。私も味では判別できないと思います。

 

きのこ採りの何が楽しいのか

きのこ採りの一番の醍醐味は、スーパーには並ばないような食材を自力で手に入れられる点にあると思います。

実はきのこは、生態によって「腐生菌」「菌根菌」「寄生菌」の3種類に大別されます。このうち人工栽培されているのは基本的に「腐生菌」のみ。つまり、それ以外のきのこを食べようと思ったら、自分で採るか、山間部の道の駅などで買うしかありません。

ポルチーニや松茸をはじめ、この「菌根菌」に属する美味しいきのこは沢山あります。これらを自ら採取して調理し、どんな料理やお酒に合うかを考える……この過程がたまらなく楽しいのです。

そしてもう一つ、「自分で居場所を特定して探し出す」というプロセス自体も大きな魅力です。

菌根菌は、特定の樹木と共生関係を築いています。例えば松茸が赤松と共生するのは有名ですが、我々きのこ採り愛好家は、無闇に地面を探すのではなく、まずは「赤松林」を探すことから始めます。

共生する植物はきのこの種類によって異なるため、樹木の同定スキルや環境に関する知識を総動員して、当たりをつけていくわけです。

もっとも、場所が合っていても「発生時期」という壁があります。きのこの発生期間は1年のうち極めて短く、その年の気候にも左右されます。「場所は合っているのに、タイミングがズレて1本も生えていない」なんてこともザラにあります。 だからこそ、数多の壁を乗り越えてお目当てのきのこを見つけた時の喜びはひとしおです。

ただこれらの過程は理論的な話で、現実問題としてこんなに綺麗にいくことは稀です。 実際は山の中をひたすら歩き回って目視で発見し、「シロ(発生場所)」のストックを足で稼いでいくことの方が多いです。

ただ、そうやって歩いていると想定外の出会いもあります。知識がついてくると、旅先などで普段行かないエリアの森を見た時に、思いもよらないきのこに出会うことがあります。それが仮に毒キノコであったとしても、「この土地にはこれが生えるのか!」という発見だけで嬉しくなってしまうものです。

(毒)ベニテングタケ:イボテン酸という旨み成分を含む毒キノコ。イボテン酸が旨み成分であり毒でもある。

(可食)クリイロハナイグチ:美味。

一定の知識を蓄えるまでは少しハードルが高いですが、沼にハマると抜け出せない趣味です。

 

意外と日本でも生えているきのこ

きのこ採りを始めてから知った事実ですが、ポルチーニ近縁種以外にも、フレンチやイタリアンで提供されるような高級きのこが、実は日本にも生えています。

下記は主にフランス料理などで珍重されるきのこですが、これらは日本国内でも発生が確認されています(トリュフ以外は、実際に私も山で見つけたことがあります!)。

  • 黒トリュフ・白トリュフ
  • ジロール(アンズタケ)
  • モリーユ(アミガサタケ)
  • トロンペット・ド・ラ・モール(クロラッパタケ)
  • l'amanite des Césars(タマゴタケ)

トリュフについては、イタリアなどでは犬や豚の嗅覚に頼って探すイメージが強いですが、日本では人間が目視で探すのが一般的です。日本のトリュフは土から見えていることも多いため、動物を使わずとも、エリアさえ特定できれば人間が見つけることができるのです。

また白トリュフといえば、昨年、国内で人工的な発生(栽培技術の研究)に成功した事例がニュースになりました。これをきっかけに「日本でもトリュフが採れる(作れる)」ということを知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

\こちらのニュースです/

www.ffpri.go.jp

 

きのこ料理が美味しいレストラン

ここまで熱く語ってきましたが、きのこ採りは楽しい反面、あらゆる危険も伴います。 正直なところ、「美味しいきのこには興味があるけれど、わざわざ山に入ったり調理したりするのは面倒(あるいは怖い)」という方が大半ではないでしょうか。

そこで最後に、今年私が訪れて感動したレストランをご紹介します。ここなら、自ら山に入らなくても、市場には出回らないような希少なきのこを堪能することができます。

 

\こちらのレストランです/

www.ashihana.net

なんとシェフ自らが山で採ってきた天然きのこが料理に登場します。 私が訪れた時もそうでしたが、シーズン真っ只中に行くと、「よくこれだけ集められたな」と驚くほど多種類のきのこを楽しむことができます。美味しいきのこを安全に楽しみたい方はぜひ。

というわけで「週末きのこハンターのススメ」でした。アドベントカレンダー、明日は井上さんの記事になります。おたのしみに!

adventar.org