
こんにちは、JADEのコンサルタントの郡山です。
#現場で役立つGA4、今回はGA4の「カスタムイベントの設計の仕方」について整理してみました。
インターネットを介したビジネスでプロダクトやサービスをグロースさせようとした場合、SEOやWeb広告などのWebマーケティング施策を推進するにはデータの活用は必要不可欠となります。
「Webサイトを訪問するユーザーの行動」を計測するGA4を活用するには、どんなデータを計測すればいいのか? といったデータ設計のお話をしてみたいと思います。
❓️GA4で何を見たらいいのかわからない
❓️GA4を有効活用するにはどんなカスタムイベントを実装すればいいのか
❓️何から始めればいいのか
といった悩みごとを抱えている方のお役に立てば幸いです。
GA4を眺めたけどよくわからない、という方はまずはデータの設計から取り組んでみましょう。
【もくじ】
- Webサービスのグロースのためにデータは必要不可欠
- WebサイトのKGI・KSF・KPI・KDIを考えてみよう
- KPIやKDIとして採用しやすいカスタムイベントの設計例
- カスタムイベント作成時の注意点
- まずはKGI・KSF・KPI・KDIの整理から
Webサービスのグロースのためにデータは必要不可欠
まず「GA4などのアクセス解析ツールを利活用する必要性」について整理してみます。
そもそも、サイト利用者がどんな経路で訪問して、どんな行動をしているのかを何かしらの指標(データ)で判断できない場合はWebマーケティングをどう推進すればいいでしょうか?
施策実行者の勘を頼りに推進するしかないですね。
現状がわからないと施策の効果測定も、目標や改善点も漠然としたまま取り組むしかありません。
一方、Webマーケティング施策や自社のWebサイトにおけるKGI、KPIなどを定義して、定量的なデータで効果測定をするとどうでしょうか。
データをあつかうことができれば
💡 Webマーケティングで接点を持つユーザー行動を定量的に把握できる
💡 そもそもどんなユーザー行動を促進することが事業成長につながるのか、目標設定ができる
💡 目標達成に貢献するデータをモニタリングすることで、現在地がわかる
💡 Webマーケティングで検討することができる視野を広げられる
💡 施策の設計と評価サイクルの精度を向上させる
といった利点があります。
「目標(ゴール)は◯◯である。達成するための施策と期待するユーザーの行動は△△である。提供しているコンテンツは✕✕である。」といった言語化はGA4の知識がなくともできるはずです。
それらを評価するための指標や分析の切り口を考えてみると、GA4でどんなデータを計測すればいいかも見えてきそうですよね。
自分たちが見たい、見るべきデータを定義できていればGA4のどこを見ればいいか迷うことも少なくなるので、まずは自社サイトと利用するユーザーについて整理してみましょう。
WebサイトのKGI・KSF・KPI・KDIを考えてみよう
事業の最終目標(売上アップなど)を目指す上で、
Webサイトを主軸としたWebマーケティングにおける目標設定をする~という文脈で、どんな目標を設定すればいいか言語化してみましょう。
KGI(Key Goal Indicator)
「重要目標達成指標」を指す用語。
一般的には企業の経営戦略やビジネス戦略における「最終目標(ゴール)」のことです。
例)
- Webサイト経由で自社製品の受注件数を100件達成したい
- Webサイト経由で月間売上◯万円達成したい
KSF(Key Success Factor)
「重要成功要因」を指す用語。
「KGIを実現・達成するためになくてはならない要因」として考えてみましょう。
例)
- 質の高いリード獲得
- 長期間サイトを利用する会員ユーザー獲得
KPI(Key Performance Indicator)
「重要業績評価指標」を指す用語。
ビジネスでは「最終目標達成に向けて適切に行動できているかどうかを、計測・評価するための指標」として中間目標に設定されることが多いかと思います。
GA4で計測するデータを設計する文脈においては「Webサイトで達成したいこと=キーイベント」と考えると良いです。
例)
- お問い合わせ数
- 商品購入数
- 新規会員登録数
KDI(Key Do Indicator)
「重要行動指標」を指す。
どのような行動をユーザーにしてもらえるとKPI達成に近づくか、KPIに貢献・関連するユーザー行動を考えてみましょう。
「目標売上(KGI)を達成するためには見積を〇〇件獲得(KPI)する必要があり、そのためには〇〇件商談(KDI)する必要がある」といったように、最終ゴールから具体的な指標(と行動量)を逆算できると候補が見つかると思います。
例)
- 製品の概要ページの閲覧数
- 商品のお気に入り登録数
- キャンペーン概要のバナークリック数
【実例プロンプトつき】生成AIでKPI設計をサポートしてもらう方法
KPIの設計が難しいと感じる方は、ClaudeでもGeminiでもChatGPTでも良いので前述の各指標の定義と自社サイトの要件定義などの情報を渡してサポートしてもらうことをオススメします。
KPIやKSFとして採用できそうなユーザー行動のヒントを貰えるので、サンプルでいくつか設計してもらうと面白いです。

採用する指標が決まったら、図解するのもお願いしちゃうと楽ですよね。
自社が開発する製品の資料請求を重視するサイト
KGI(重要目標達成指標)
- 月間受注件数50件達成
KSF(重要成功要因)
- 質の高いリード獲得
KPI(重要業績評価指標)
- 資料請求数:月500件
- ホワイトペーパーDL数:月300件
KDI(「重要行動指標」)
- 製品の紹介ページ閲覧数
- 問い合わせフォーム到達数
- 記事コンテンツの閲覧数
- 自社開催セミナーの申込数
このようなものを綺麗にまとめたい。
添付画像のように図でおこしてもらえるかな

KPIやKDIとして採用しやすいカスタムイベントの設計例
もっとも基本的な「重要なページの閲覧数」「重要なリンクのクリック数」の2種類だけでもさまざまなユーザー行動を計測することが可能です。
- 特定のページを閲覧:view_hogehoge
- 特定のリンククリック:click_hogehoge
といったように、英数字とアンダースコアのシンプルなイベント名であれば命名規則も簡単です。GA4・GTMどちらでも「どんなユーザー行動を計測しているのか」がわかりやすいのでおすすめです。
※GA4には推奨イベントという「Googleが事前に定義した名称のイベント」があります。
- ユーザーがログインした:login
- ユーザーがカートに商品を入れた:add_to_cart
といったように、計測したいユーザー行動とマッチするものが推奨イベントである場合は推奨イベントの名称で計測するようにしましょう。
【実例つき】特定ページ閲覧数の計測設定
ページの閲覧数は「表示回数」×「ページパス」といった組み合わせの集計でも実績を確認することができますが、view_[コンテンツ名]_[補足情報]といった名称で計測すると以下のようなメリットがあります。
- GA4に詳しくない人でも、コンテンツ別の閲覧数をすぐ確認できる
- フィルタやセグメントなどを作成する工数が削減できる
- クロス集計やセグメント作成をしやすくなる
例)
- 製品紹介ページの閲覧数:view_product
- 記事ページの閲覧数:view_article
- セミナーの概要ページの閲覧数:view_seminar
【実例つき】特定リンククリック数の計測設定
特定のリンククリックをclick_[遷移先を示す情報]_[補足情報]といった名称で計測することもおすすめです。
どのページから問い合わせフォームに遷移しているのか?どのページでバナーやモーダルがクリックされているのか?といったCTAごとにCTRを評価できるようになります。
例)
- 問い合わせフォームのCTAボタン:click_contact_form
- 商品詳細ページへ遷移するリンク:click_products_detail
【プロンプト公開】GA4データ分析の壁打ち手法
カスタムイベントが整っていると、ダッシュボードでモニタリングしやすくなる他にも分析がしやすくなるメリットがあります。
どこをどう分析すればよいか悩んでしまう場合には、生成AIに関連情報を投げて、分析の壁打ちをすることもしやすくなります。
GA4探索レポートで「キーイベント発生ユーザー」などのセグメントを作成し、その他のセグメントと比較して各種イベント数の多寡や推移をまとめてもらうと分析の壁打ちがしやすくなります。


ガッツリ分析する前に、探索レポートやモニタリングしているダッシュボードからエクスポートしたカスタムイベントのデータを生成AIに渡してみて、傾向や仮説、改善点を聞いてみるだけでもヒントが貰えそうですよね。
データを渡して、「view_◯◯」を増やすにはどうすればいい?と聞くだけならGA4よくわからなくてもできそうですよね。
誰でも判断しやすい定量的なデータをKDIとして計測できていれば、KPIを伸ばすための施策設計や効果測定もしやすくなりそうです。
カスタムイベント作成時の注意点
カスタムイベントは便利ですが、作成時には以下の点に注意しましょう。
イベント名は40文字以内で定義する
イベント名は40文字以内でシンプルな名称で名付けするように気をつけましょう。また、40文字を超えた名称のイベントはキーイベントに設定してもキーイベントとして集計されません。
イベント名は英数字とアンダースコアで定義する
イベント名は日本語で名付けすることも可能ですが、Looker StudioなどのAPI経由の集計でエラーが発生するなどの問題が発生します。
Googleが推奨している以下の命名規則に則って定義しましょう。
- イベント名の先頭は英字にする
- 英数字とアンダースコアのみ使用する
- スペースは使用しない
- Googleが予約済みのイベント名を使用しない(page_viewなど)
設定可能な上限数を考慮する
カスタムイベントの設定自体は上限がありませんが、キーイベントやカスタム指標として利用する場合は上限があります。
- キーイベント:無償版プロパティでは30個まで
- カスタム指標:無償版プロパティでは50個まで
- GA4管理画面で作成するpage_viewなどの既存イベントに紐づくカスタムイベント:50個まで
プロパティで計測するイベント数の総数を考慮する
無償版プロパティで計測するイベント数で注意すべきなのは
- 1日あたり100万イベントを超える
- 1ヶ月や3ヶ月など、利用頻度が高い集計期間で1,000万イベントを超える
という観点です。
無償版プロパティでは、100万イベント/日を超えるとBigQueryエクスポートが停止するため注意が必要です。
また、GA4管理画面やLooker StudioなどのAPI経由で集計する際、集計対象となるイベント数が1,000万を超えるとサンプリングが適用され推測値が含まれた集計結果となります。
有償版のGA4 360プロパティへアップグレードすることで上記の規制は緩和されますが、無償版のGA4プロパティで運用する場合は気をつけましょう。
まずはKGI・KSF・KPI・KDIの整理から
KPIはGA4の◯◯の指標を見れば進捗がわかる
サブKPIやKDIは✕✕の指標で個別に確認ができる
といったように、KGIやKPIを明らかにしたうえで、それらを定量的なデータとしてGA4で計測していれば管理画面で見るべきレポートを迷うことは少なくなりそうですよね。
また、それぞれの指標がどんなユーザー行動を計測しているのかがわかれば、GA4に詳しくなくても分析や生成AIへの問いかけに取り組みやすくなることも期待できます。
GA4のデータ整備にこれから取り組んでいくのであれば、まずはKGI・KSF・KPI・KDIを整理してからシンプルなカスタムイベントに落とし込んでみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
それではまた来月の #現場で役立つGA4 でお会いしましょう~。