こんにちは! 株式会社JADEのコンサルタントの郡山です。
この記事は、JADE Advent Calendar 2024の6日目の記事です。
今年のアドベントカレンダーに登場するのは2回目です(前回はポケポケの記事を書きました)。
さて、あと何回登場できるでしょうか。
今回は弊社が開発した「Amethyst」というツールの機能についてお話します。
Google Search ConsoleとGA4を使っている方にイチオシの機能があるので、魅力が伝わるように熱意を込めてご紹介したいと思います!
AmethystでGA4のデータが見られるよ!
Amethystとは、SEOの分析やモニタリングをより簡単に、より活用しやすくしてくれる分析ツールです。
今回は、GA4と連携して活用する「User Analytics(ユーザーアナリティクス)」という機能についてご紹介します。User Analyticは、GA4の探索レポートよりも高速かつわかりやすいUIで「セッションごとの個票」を確認することができるのです。
このように、各ユーザーのセッションごとの個票を簡単に確認できるんです。
「キーイベントが発生したユーザー」や「特定のLPにランディングしたユーザー」のセッションごとのイベント情報がわかりやすくまとまっています。
そして、抽出したいフィルタ条件ごとに抽出結果を保存して、対象のユーザー群ごとの実績もまとめてモニタリングできるんです。便利!
このUser Analyticsを私が使ってみた結果、「ユーザーエクスプローラより使いやすい!」「ユーザーエクスプローラの活用をちょっと諦めていた方にも知ってほしい!」と思い立ち、アドベントカレンダーで紹介することにしました。
GA4利用者の方に、ぜひぜひ知ってほしい機能です!それではどうぞ!
※Amethystの詳細が気になる方はこちらをどうぞ。
GA4のユーザーエクスプローラって、便利だけど使いづらい
この記事を書こうと思ったきっかけは、「GA4のユーザーエクスプローラって、便利だけど使いづらい!」と感じることが多かったからです。365日毎日GA4を見ている私でも、ちょっとわかりづらいUIです。
便利なのに使いづらいとはこれいかに。となりそうですが、実際に使ったことがある方は共感してくださる悩みではないかと思います…。
「各ユーザーごとにイベントをどのタイミングで記録したのか」という個票を確認することができるユーザーエクスプローラですが、下記のような扱いづらさを感じています。
- レポートのUIがわかりづらい
- カスタム設定をしないと、各イベントがどのページで記録されたかわからない
- 探索レポートの仕様上、制限や懸念が幾つかある
- レポートを閲覧権限でしか共有ができない
- サンプリングなどのレポート精度に関する制限がある
- 集計期間が直近14ヶ月までに限られる(360版プロパティは直近50ヶ月)
主にこのような点ですね。
ユーザーがサイトのどのページに流入して、次にどのページを見たのかといった詳細を確認したいのに、どのページのpage_viewイベントなのか確認するのだけでひと手間ひと苦労…
という初心者泣かせの機能です。もっと初心者にやさしいレポートがほしいところです。
GA4の「ユーザーエクスプローラ」とAmethystの「User Analytics」を比較した一覧表
GA4の「ユーザーエクスプローラ」とAmethystの「User Analytics」それぞれの機能について比較した一覧表を提示したのち、各機能について解説していきたいと思います。
各ツールの主な違いはこんな感じです。
比較する機能・項目 | GA4探索レポート | Amethyst 「User Analytics」 |
---|---|---|
ユーザーごとに、どの順序でいつイベントが記録されたのか確認する | 「ユーザーエクスプローラ」形式で確認できる | 「Session Explorer」で対象ユーザーのセッションごとに確認できる |
各イベントがどのページで記録されたのか、URLやタイトル情報を確認する | 標準機能では確認できないため、カスタム設定が必要 | ◯ |
レポートの共有機能 | プロパティごとに閲覧権限で500個までレポートの共有が可能 | 編集権限で共有が可能。任意の抽出条件を「ビュー」という単位で複数保存し、作成上限がない。 |
モニタリング環境・運用方法 |
集計期間の変更など、編集をする場合はレポート作成者のユーザーが更新する必要がある。
|
任意の抽出条件を「ビュー」という単位で複数保存できる。
|
特定の行動をしたユーザー・セッションを抽出する | セグメント、フィルタ機能 | フィルタ機能 |
「ランディングページ」を指定した抽出条件を設定する | URLのパス / 以降の部分のみ条件指定が可能 | プロトコルやドメイン名を含むURLのフルパスを参照して条件指定が可能 |
セッション内の「2ページ目」を指定した抽出条件を設定する | ✕ | ◯ |
「ランディングページ」を任意のルールでグループ化して登録しておく | ✕ | ◯ |
「2ページ目」を任意のルールでグループ化して登録しておく | ✕ | ◯ |
データの保持期間 | 無償版プロパティでは直近14ヶ月、360 プロパティでは50ヶ月までの期間でイベントデータを集計可能 | BigQueryにエクスポートしたデータを参照するため制限がない |
サンプリング等のレポート精度に関する制限の有無 | GA4探索レポートの集計仕様に則り、さまざまな制限が適用される | BigQueryにエクスポートしたデータを参照するため制限がない |
レポートの表示速度 | GA4探索レポートの集計仕様に則る | 1.64秒で7日間で30万セッションを記録したデータセットの処理を完了 |
※現在は、無償版プロパティのみ対応しています。360版プロパティでのご利用は、個別にご相談させていただいております。
GA4探索レポートの「ユーザーエクスプローラ」について
主な機能・使い方
①「◯◯というイベントを発生したユーザー」などのセグメントを作成・適用
②必要に応じて、抽出する対象データをさらに絞り込むフィルタを作成・適用
③条件に一致したユーザーごとのIDがレポートに表示される。
このような設定をして、対象となるユーザーを検索します。
④イベントを指定
⑤イベントごとに紐づいているパラメータの情報を確認
上記のように操作することで、ユーザーごとに記録されたイベントの順序やパラメータ情報の詳細を確認することができます。
懸念点
- page_location , page_title 等の「どのページで記録したイベントなのか」を確認するためのパラメータはカスタム設定をしないと表示されない。
- カスタムディメンションとして登録する場合、ディメンションで記録する値のパターンが1日あたり500パターンを超えるものは「高基数」ディメンションとなってしまう。
主な懸念がこの2点です。
ユーザーエクスプローラでは、「ユーザーごとにどの順序でどのイベントが記録されたか」を確認することは可能ですが、「各イベントがどのページで記録されたのか」を確認できない点は非常に残念です。
回避策としてカスタムディメンションを実装する案がありますが、
高基数ディメンションを実装したGA4プロパティではBigQueryを利用しない各種レポートで(other)行が表示されやすくなる等の集計精度が低下する問題が発生してしまいます。
よって、公式ヘルプでは下記のような代替案が提示されています。
高基数データを測定する必要がある場合は、カスタム ディメンションにデータを登録せずに、イベント パラメータとユーザー プロパティを使用してデータを送信することを検討してください。カスタム ディメンションを登録しないことで、プロパティの上限に影響を与えることなく、BigQuery、オーディエンス、セグメントなどの機能でデータを使用できます。
ここまで整備して、ようやく「各イベントがどのページで記録されたのかわかる」ようになります。
Amethystの「User Analytics」について
便利な機能1:複数の抽出条件を保存・共有・モニタリングできる
Amethystの「User Analytics」はBigQueryにエクスポートしたGA4のデータを参照して、探索レポートのユーザーエクスプローラのように各ユーザーごとの個票を確認することができる機能です。
User Analyticsを使うメリットの1つめが「共有・モニタリングのしやすさ」です。
「商品を購入したユーザー」の個票を抽出したい等、フィルタリングする条件ごとに「ビュー」を作成・保存することができます。
一覧ページでは複数のビューを並べて、実績を確認することができます。
BigQueryにエクスポートされたデータを高速で処理して集計できるので、データの保持期間やレポートの表示速度の面で一切懸念なくモニタリングができます。
個票を見にいく前に、各ビューごとの実績を把握できるとサイト全体の傾向が確認できるので嬉しいですね。
一人ひとりのデータを見るのも大事ですが、対象となるユーザー群がどの程度のボリュームなのか把握できると効果測定などで役立ちます。
GA4は細かいデータに目が行きがちなので、木を見る前に林・森を見るようにしたいですね。
便利な機能2:ランディングページと2ページ目を指定した抽出条件でフィルタリングできる
BigQueryにエクスポートされたデータを参照するため、
- 「ランディングページのドメイン名」を指定した条件を設定する
- 「セッションで閲覧された2ページ目のURL」を指定した条件を設定する
このようなフィルタ機能が利用できます。
また、URLを任意のルールでグループ化する「URL グループ」という機能もあるため、ディレクトリ単位などの分類を事前にしておくことで更にフィルタ機能が使いやすくなります。
URL グループを作成すると「ランディングページ」と「2ページ目のURL」それぞれで、グループごとのフィルタリングが可能になります。
「ディレクトリAにランディングして、2ページ目にディレクトリBを閲覧したセッション」といった条件の定義がしやすくなりますね。
便利な機能3:ディメンションと指標ごと、セッションごとに整理された一覧データから個票を探しやすい
フィルタ設定を適用すると高速でデータ抽出が実行され、指標ごとの一覧とセッションごとの一覧が表示されます。
この中から、気になる個票を探して見にいくことができます。
(クリックするとブラウザの別タブで展開される点も一覧⇔個票を見返しやすくて嬉しいです。)
便利な機能4:セッションごとの個票を確認できる「Session Explorer」機能
User Analyticsではセッションごとの情報を確認できる「Session Explorer」という機能が利用できます。
セッションごとの個票を見る点ではGA4探索レポートのユーザーエクスプローラと粒度が異なります。「セッション概要」と「セッション詳細」の2つを見ることができます。
便利な機能5:イベントが記録されたURLとページタイトルがわかりやすく、フィルタもできるレポートUI
- イベントが記録されたURLのパス、ページタイトル、ページの参照元URLが表示できる
- 指定したイベントのみ表示するフィルタ機能がある
- 指定したURLやタイトルのページ情報のイベントのみ表示するフィルタ機能がある
このようなレポートUIのお陰で、カスタム設定やBigQuery、SQLの知識がないGA利用者でも素早くわかりやすい個票を確認することができます。
便利な機能6:同じユーザーの別セッションも提示される
Session Explorerで個表を確認する際「同一ユーザーの別セッション」もページ下部に提示されます。
これにより、キーイベントが発生したセッションとその他のセッションを個別に見るといったデータ探索もしやすくなっています。
User Analyticsはまだまだ開発途中。
Amethystの「User Analytics」、いかがでしょうか?
まだリリースしたばかりのβ版で、UI・UX含めて機能もどんどんアップデートをしている真っ最中なので、ぜひたくさんの人に使ってみてご意見をいただきたいなと考えています!
個人的には、旧バージョンのGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)にあった、「ナビゲーションサマリー」と同等の機能を作ってほしいと要望を出したりしています。
まとめ
Amethystなら、GA4探索レポートで感じられる懸念や課題を払拭し、すばやくわかりやすいレポートUIでデータ分析をすることができるシーンが今後増えていくと私は期待しています。
「Google Search Consoleのデータを活用できるSEOの分析ツール」としてだけでなく、「GA4のデータをフル活用できる分析ツール」としても興味を持ってくれたらとっても嬉しいです。
- このLPを見たユーザーは次にどのページを見ているのか
- キーイベントが発生した前後のセッション内の行動はどのような傾向なのか
- 特定のイベントが発生したセッションの前後のセッションはどのような傾向なのか
このような、具体的に調査したいユーザー行動がある場合にUser Analyticsが役立つと思います。Webマーケの施策を考案する際のおともに、仮説検証のおともにぜひどうぞ。
BigQueryへGA4のデータをエクスポート・管理する点でもサポートできますので、ぜひお声がけください。
ここまで読んでくださってありがとうございます! アドベントカレンダーはまだまだ続きます!