JADE経営について2023

JADEファウンダーの長山です。今日はJADEの経営について、です。自分は経営の専門家というわけではありませんが、JADEを創業して4年ほど経った今、どういう意識でJADEを経営しているかについて少し書こうと思います。

JADE 経営 2023

このブログは、JADEアドベントカレンダーの24日目です。昨日は、小西さんによるぶぶ漬けスライドの話でした。明日は、伊東さんがサンタさんからもらったプレゼントについて書いてくれます。

利益と公益、福利の同時実現

JADEのミッションは、「インターネットを良くする」というものです。JADEが行う事業は、最終的にこのビジョンを達成するものであるべきです。そうでないものは原則として行いません。それがどのように「インターネットを」「良くする」のか、は事業ごとに定義するようにしています。ファウンダーメッセージでも言いましたが、何かを良くするその仕方そのものは多様でありうると考えているからです。

ドラッカーは「利益の最大化概念は無意味である」と言いました。利益はビジネスにとって目的ではなく、制限要因である。利益は、ビジネス上の意思決定の目的であるよりかは、その正当性を後から保証するものであると。この考え方に基づいて、JADEでは「利益を最大化する」というだけの意思決定は基本的に行いません。利益を出す努力をする、ということは前提として、その枷の中でどのように持続可能な形で資源を配分し、公益や福利を最大化するか、ということを考えるようにしています。

もちろん利益が出るに越したことはありません。けれども消費者に損害を与え、会社に対する信頼を毀損しながら出す利益に意味はありません。やっぱり三方よしが一番、と言うことです。近江商人って本当にえらいですね。

チームでの経営

JADEには現在、CEOがいません。最初は自分が、次に伊東さんが勤めていたのですが、現在の体制に移行する際に廃止してしまいました。トップマネジメントというものは基本的にチームで行うべきものであるということが理論的には理解されているにもかかわらず、実践としては「スーパーマンとしてのCEOの神話」がいまだに信じられている、とドラッカーは言います。これは20年以上前になされた指摘ですが、状況は今でも変わっていないと感じます。会社の経営上必要な技能と責任をたった1人の人間で行うことは当然不可能です。そこでJADEでは、CEO職を廃止して、責任を3人の取締役の間で分割してしまいました。

現在の責任分担はこういった感じです。

  • 伊東: 代表取締役、社長、COO (Chief Operating Officer)。総務部長、経理部長、財務部長、広報部長、新規事業部長、メディア事業部長。
    • ビジネス上の意思決定の最終的な承認者。期ごとの予算の策定、経費の承認、広報戦略の決定などなどに加えて、メディア事業の統括を行う。
  • 長山: 創業者、取締役、副社長、CSO (Chief Strategy Officer)。戦略部長、人事部長、法務部長、情報部長、ツール事業部長。
    • ミッション、バリュー、会社の組織体制や中期戦略などを策定。人事の承認、契約書のリーガル・レビュー、情報セキュリティなどの管理、利用可能技術の選定などなどに加えて、ツール事業の統括を行う。Amethyst のプロダクトオーナーでもある。
  • 小西: 取締役、CCO (Chief Consulting Officer)。営業部長、環境部長、コンサルティング事業部長。
    • デジタルおよび物理的な労働環境の構築、コミュニケーションなどを含む文化の形成、新規案件のセールス、既存案件のデリバリー双方に責任を持ち、最大の売上を持つコンサルティング事業部の全体統括を行う。

車で例えるなら、伊東さんがボディ・シャーシ、小西さんがエンジン、長山がドライブトレイン、といったイメージでしょうか。かえってわかりづらいですねこの例え。パーソナリティがそれぞれ異なる3人ですが、隔週で Leads 会議を行いながら密に連携して、円滑に経営できるよう努めています。また、株式については長山が51%を保持する一方、執行体制としては伊東さんがトップという、所有と経営がある程度分離されている点も特徴的かもしれません。

長山としては、ファウンダーではあり会社の方向性や戦略は定義できるものの、日本の商習慣に基づいたその戦略の実装や、コンサルティング事業そのものの統括には経験が浅いため、とてもありがたいと感じています。他の経営陣も同じように考えてくれていると嬉しいですね。

知性の悲観主義と意思の楽観主義

経営を行う以上、日常的に意思決定を行ったり、あるいは他者の意思決定を承認したりすることになります。その際、できる限りその意思決定の根拠を具体的にすることが重要だと感じています。もちろん全てを具体化することはできません。だからといって、それはできる限りの知性を使って、可視化、数値化、そして言語化を試みない理由にはなりません。

けれども知性を使ってさまざまな将来を予測しようとすると、人はしばしば悲観的な未来を考えてしまいます。もちろん最も悪いシナリオを想定しておくことは非常に重要です。明日、自分が居眠り運転のトラックに轢き殺されるかもしれない。最も重要視している契約の相手が倒産して契約が御破算になってしまうかもしれない。あるいは両岸関係が崩壊して突然身近な戦争が始まるかもしれない。その他さまざまなワーストケースシナリオを想定し、そうなってしまった時に被害が最小限になるような手をあらかじめ打っておかなくてはなりません。

一方で、それだけでは人は生きていけません。どんな絶望的な状況にあっても、それを打開するための希望を見出し、その一縷の望みを掬い上げるために必要な手を指す。そういった意志を持ち続けること。歩いているのが薄氷の上であることを認識した上で、それでもなお歩き続けること。我々に必要なのはそういったスタンスであると考えています。

だからわたしは、2023年はとてもいい年だったし、2024年も、きっととてもいい年になる。あえてそう言おう、と思います。どんなことがあったとしても。

今年長山に、JADEに関わっていただいたみなさま、本当にありがとうございました。

それではみなさま、よいお年をお迎えください。