GA4 の標準イベント計測でも分析できるユーザー解像度の高め方

ユーザーの解像度を高めておくと GA4 で分析する際も失敗しにくくなります。データからユーザーの解像度の高める方法を紹介します。

GA4 の標準イベント計測でも分析できるユーザー解像度の高め方



こんにちはあるいはこんばんは。村山(X id:muraweb_net)です。

2024年2月29日に弊社のウェビナーにて「カスタムイベント不要!ユーザーの解像度を高めるGA4のミカタ」を開催させていただきました。とてもありがたいことに開催後のアンケートで高評価が集まりましたので、今回は簡易的ではありますがセミナー内容をブログでも紹介させていただきます。

 

 

ユーザーの解像度とは?

ユーザーというのはわかりやすいかと思います。Webサイトやアプリを閲覧、利用いただいているユーザーと定義したとします。

アナリティクス上でのユーザーとなると、1st Party Cookie ごとのユニークカウント数なのか、Webサイトやアプリにログインしている会員ユーザーなのか、Google が識別するユーザーという定義なのか、といった複雑な話に関しては今回は横に置いておきます。

もう一方の解像度はいかがでしょうか? Google 検索で確認してみます。

“解像度”

 

完全に液晶です。

ただ、サジェストに気になる表記があります。

 

 

再度、Google 検索で確認してみます。

“解像度 ビジネス”

 

そうです、こちらです。

どうして”解像度”という言葉がビジネスシーンで便利に扱われるようになったのかは謎ですが、高めたい解像度は液晶ではなくユーザーにおける顧客の状況や課題と定義します。

 

私たちはWebサイトやアプリを何らかの目的をもって閲覧、利用していることが多いと思います。その際、閲覧、利用している目的はどのような状況から発生したものなのか、何か課題があるのであれば課題はどのように解決することができるのか、といったことをアナリティクスツールで計測している行動に関するデータから分析し、数値や可視化されたグラフからイメージすることが可能となります。

イメージした結果、打ち手となるアクションプランを立案し、ユーザーの課題を解決しやすくなる改善施策として繋がるかもしれません。

ユーザーの解像度を高めることが分析におけるクオリティにも直結していると言えると考えています。

 

ユーザーの解像度が低いことによる分析失敗例

ユーザーの解像度を高めることが分析におけるクオリティに繋がると記載しましたが、ユーザーの解像度が低いことでどのような失敗に繋がるでしょうか。

実際に体験した例ではないですが、よくありそうでわかりやすい例を紹介します。

 

デスクトップとモバイルでコンテンツが異なる

Webサイトの制作、開発によって異なりますが、モバイルサイトの構築方法には様々な選択肢があります。例えば以下のような選択肢があります。

 

  • デスクトップとモバイルサイトでURLが同一のレスポンシブウェブデザイン
  • デスクトップとモバイルサイトでURLが同一だがコンテンツが異なるダイナミックサービング
  • デスクトップとモバイルサイトでURLが異なりコンテンツも異なるセパレート

 

選択肢の中で気をつけなければいけないのはコンテンツが異なる後者2つのタイプです。

コンテンツが異なるため分析対象のメインコンテンツには大きな差異はないかもしれませんが、動線の数、種類や設置方法が異なる可能性があります。特にダイナミックサービングではデスクトップとモバイルでURLが同一のため気をつけなければいけません。URLが同一なことで分析時もデスクトップとモバイルであわせて分析しやすいですが、コンテンツが異なると分析から確認できる結果も異なる可能性があります。

また、デスクトップとモバイルではユーザーの環境や状況によって利用するデバイスが異なる可能性があり、デバイス別でユーザー行動も異なる可能性があるのも考えておかなければいけません。

 

店舗が存在するビジネスでWeb経由の問い合わせ数のみを分析に使う

他の例としては、Webサイトの中には特定の店舗に関するサービスを紹介していて、かつWebサイトからもお問い合わせが可能なWebサイトも存在します。

Google アナリティクス などのアナリティクスツールでは、お問い合わせ送信後の完了ページをコンバージョンとして計測することが多いはずです。そのコンバージョン自体はWebサイト経由のお問い合わせ数として、モニタリングする指標に利用したり、アドホックに分析することもあるかと想定されますが、その数だけに固執してしまうのも注意が必要です。

店舗が存在するビジネスであった場合、店舗に来店するためにWebサイトを閲覧していたり、もしかするとWebサイトを閲覧した後で Google ビジネス プロフィール を確認しているといった行動もあるかもしれません。

そう考えると、お問い合わせフォーム送信完了ページ以外に下記のデータも気になります。

 

  • モバイルにおける電話タップの発信数
  • サービスページの閲覧数
  • サービスページ内の詳細内容の確認数
  • Google ビジネス プロフィール 上のデータ

 

Webサイトからのお問い合わせだけでなく来店意識のあった行動にはどのようなデータがあり、相関性が見られるのか、そのデータも使って分析できるのか等の検討も行わなければ、重要な視点を欠けたまま分析してしまうかもしれません。

 

GA4 で行う解像度を高めるためのUser(3W1H)分析

ユーザーの解像度が低いことによる分析の失敗例はあくまでも一例ですが、分析する対象についてイメージできているかによって GA4 の分析と分析によるアウトプットも大きく異なる可能性があります。

 

ユーザーの解像度を高めるための問い

GA4 のデータで何を見るべきかをシンプルにまとめると下記のような問いが、ユーザーの解像度を高めるために役に立ちます。

 

  • どのような人が見ている?
  • どのようなタイミングで必要となる?
  • どこで見ている?
  • どのような目的でどのように到達している?

 

英語だと、Who、When、Where、Howと置き換えることができ、3W1H分析と覚えると良いかもしれません。モニタリング分析でもアドホック分析でも、上記が不明瞭なままデータとの向き合いがすすむと思いも寄らない落とし穴がある可能性があります。

 

Webマーケティング施策にも必要

GA4 のデータで何を見るべきかといった問いを紹介しましたが、それらの問いがWebマーケティング施策においても必要な点であるとも言えます。

 

  • どのような人に
  • どのようなタイミングで
  • どこで閲覧している人に
  • 何をどのようにとどければいいのか

 

Webマーケティング施策を行う際の主な打ち手では、流入するチャネルのコントロールや流入時のコンテンツの選定や改修などが挙げられますが、これらは上記4点を確認しながら考えていくものです。

 

標準計測実装の GA4 でも可能なUser(3W1H)分析

さて、重要性を紹介してきたWho、When、Where、Howとなる、3W1H分析ですが GA4 でも分析可能でしょうか?

 

答えは可能です。

 

それも GA4 では必要としばしば言われるカスタムイベントの計測実装を行わず、標準的な計測実装で集計したデータでも可能と言えます。

例えば、Whoのフェーズにおける「どのような人が見ているか?」についてデータからイメージしてみましょう。イメージに必要なディメンションに下記が存在するとします。

 

  • どのような人が見ているか(Who)をイメージしやすくするディメンション
    • 時刻
      • 時間
      • 日付
      • 曜日
    • ユーザー属性(データは限定的)
      • 性別
      • 年齢
    • プラットフォーム / デバイス
      • オペレーティング システム
      • デバイス カテゴリ
      • ブラウザ

 

「どのような人が見ているか?」についてイメージしやすくする際に参考できるレポートとして標準で用意されているレポートUI、もしくはライブラリから作成したレポートが存在します。

 

 

標準レポートのUIでは限定的でデータが見にくいといった方やデータをエクスポートしてBIツールで可視化したい方は探索レポートもオススメです。

 

 

特に探索レポートがオススメなのはセグメントを利用できることが挙げられます。

分析する際、サイトを閲覧しているすべてのユーザーだけを見ていては特徴が捉えにくいことがあげられます。

探索レポートでセグメントを作成し、CVイベントが発生したユーザーであったり、CVイベントが発生したセッションなど、サービスの目的に到達したデータと比較することでユーザー増をイメージしやすくしましょう。

その他、Who以外の3W1H分析に利用できる主なディメンションを以下に紹介します。あくまでも一例となり、Webサイトのサービスやプロダクトによって異なる可能性があります。

 

  • どのようなタイミングで必要となる(When)をイメージしやすくするディメンション

    • 時刻
      • 時間
      • 日付
      • 曜日
    • ユーザー
      • 新規 / 既存
    • ユーザーのライフタイム
      • 初回訪問日
    • カスタムディメンション(別途設定が必要)
      • ga_session_number

 

  • どこで見ている(Where)をイメージしやすくするディメンション

    • 時刻
      • 時間
      • 日付
      • 曜日
    • 地域
      • 地域
      • 市区町村

 

  • どのような目的でどのように到達している(How)をイメージしやすくするディメンション

    • 時刻
      • 時間
      • 日付
      • 曜日
    • トラフィック ソース
      • セッションのデフォルト チャネル グループ
      • セッションの参照元 / メディア
      • セッションのキャンペーン
    • カスタムディメンション(別途設定が必要)
      • ga_session_number
    • ページ / スクリーン
      • ランディング ページ + クエリ文字列
      • ページの参照元 URL

 

上記に紹介した主なディメンションは GA4 の標準的なイベント計測のみで利用できるディメンションが中心なので、1度も確認したことない方は念の為、ご確認をオススメします。

 

だれが、どこで、なにを、どのように分析するかを見極めよう

ユーザーの解像度を高めるための分析として3W1H分析と、その分析でユーザーをイメージしやすくする主なディメンションを紹介させていただきました。

GA4 の標準レポート及び探索レポートにてデータを参照することが可能ですが、懸念としてはクロス集計した結果を参照しにくい点があげられます。クロス集計とは特定の条件でデータを絞り込んだ後、他データにおいてどのような傾向や特徴が見られるかといった視点です。

 

それを解決できるソリューションとして GA4 のデータを接続した Looker Studio が挙げられます。 Looker Studio ではクロス フィルタリングという機能を利用することで、表示しているグラフ間でデータを絞り込むことが可能となります。

 

下記は冒頭で紹介したウェビナーの参加特典で配布した Looker Studio の一部です。

(再度、私にてアナリティクスのウェビナーを開催した際は配布しますね)

 

 

「だれが」の項目内には上段にエンゲージメントのあったセッション数を表示しており、下段にはコンバージョン数を表示しています。下段のコンバージョン数でオペレーティング システムを確認してみると Macintosh におけるコンバージョン数が2番目に多いのに対し、エンゲージメントのあったセッション数は3番目と、コンバージョン率が高いOSと想定できます。

Looker Studio のクロス フィルタリングを設定しているため、下段のコンバージョン数でオペレーティング システムのグラフで表示している Macintosh を選択してみます。すると、 Looker Studio 内の他グラフはオペレーティング システムが Macintosh に絞り込まれたグラフに変化します。

 

 

変化した他グラフを確認してみると、デバイス カテゴリではdesktopが100%に近づき、コンバージョン率であるCVRも変化したことがわかります。特に再訪問セッションである returning ではコンバージョン率が10.71%に上昇しています。

GA4 の標準レポートUIや探索レポートでは比較データを作成したり、セグメントを作成しないと比較するのが難しかったデータですが、 Looker Studio でダッシュボードをうまく作成することでユーザーの解像度を高めるための3W1H分析を行いやすい環境を整えることが可能となります。

ただし、そんな GA4 のデータコネクタを利用し可視化した Looker Studio で気をつけなければいけないのは利用できる GA4 のトークン数です。

 

 

Looker Studio 内で確認することができますが、 GA4 のデータコネクタを介して使用できるトークン数は1日あたりでの上限数が定められています。

 

developers.google.com

 

そのため、 Looker Studio を閲覧するユーザー数や使用頻度、 Looker Studio 内に表示するグラフにおける GA4 のトークン数やデータを絞り込む頻度など様々な点を考慮する必要があります。

下記に寄稿させていただいたコラムでも記載させていただきましたが、 GA4 のデータは様々な方法でデータを参照する手段が用意されています。

 

  • GA4 内ライブラリでのレポート
  • GA4 での探索レポート
  • GA4 のデータコネクトと接続したBIツール
  • GA4 のデータを BigQuery へエクスポートし、成形したデータと接続したBIツール

 

a2i.jp

 

しかし、 GA4 内に用意されたレポートの学習コストであったり、 Looker Studio 内でのデータ使用の制限であったり、 BigQuery へエクスポートした後のデータ成形であったり、 BigQuery におけるコストであったりと、知らなければ判断できない懸念事項も多種多様です。

 

だれが、どこで、なにを、どのように分析するのかデータを分析する人や環境の解像度も高め、今回ご紹介させていただいたような3W1H分析をはじめとする GA4 のデータ活用をすすめていきましょう。

 

なお、JADEでは組織における分析環境を見極めて最適化なデータ活用を支援するコンサルティングも提供中です。よろしければ各支援サポートメニューのリンクより、ご参照ください。(PR)

支援サポートメニュー 各メニュー概要 料金例
01. 計測設計・実装サポート 各企業でのプロダクトの仕様、サービス内容に適したデータの計測が行えるように GA4 の計測環境を設計し、計測するデータの設計とタグ実装のサポートを提供します。 60万円〜 (スポット)
02. 導入・インハウス運用サポート お客さま企業内のご担当者さまと一緒に、 GA4 を安心して利用できる環境を目指していきます。 50万円〜 (月額)
03. データ分析・施策提案 GA4 で計測しているデータで分析し、プロダクトやサービスのグロースに必要なための改善施策を提案します。 80万円〜 (スポット)
04. ダッシュボード作成支援 GA4 で計測しているデータを基に、モニタリング分析やアドホック分析に活用できるダッシュボードの作成を支援します。 100万円〜 (スポット)