※2023年8月10日追記
この記事の手順通りにレポートを作成して「データセットの設定エラー」になることがあるという連絡を何件かいただきました。
エラーになるケースとならないケースがあるようですが、弊社では再現できていなく、公式の情報も見当たらなく原因はわかっておりません。
推測としてはデータソースを作成するときの条件や、広告アカウントごとにデータソースの仕様が異なることなどが考えられますが、詳細は不明です。
何か判明し次第本記事あるいはSNSなどでお知らせします。
「JADEのブログを見て作った”レスポンシブ検索広告のアセット毎のデータのレポート”が使えなくなってしまった」と困っていらっしゃった方、お待たせいたしました。
改めまして、JADEで広告運用を中心にしている畑田です!
2023年2月に公開した「RSAのアセット毎データを見るためのレポートの作成方法」ですが、2023年6月時点でGoogle 広告スクリプトの仕様が変わったことにより、使用できなくなりました。
新しい仕様に則ったGoogle 広告のスクリプトについて、社内で確認・検証し、RSAのアセット毎のレポートを作成する方法が判明したので内容をご紹介します。
そして今回の方法より、BigQueryを使用しなくても簡単に自動更新のレポートが作成いただけるようになりました!
BigQueryの使用が障壁となって今まで作成できなかった方も簡単に作成いただけるようになりましたので、ぜひご活用いただければと存じます!
前回記事をご覧になっていない方向けに簡単に概要を記載します。
本記事はJADE社内で使用している「レスポンシブ検索広告のアセット毎のデータを見ることができるレポート」の作り方を解説した記事となります。 この方法により、一度レポートを作成すれば新しいアセットを追加しても日次で自動更新されるため、日々の分析がかなり楽になります。
途中でJavaScriptを使う箇所はありますが、知識がなくても作成いただけるよう、極力コピペで作れるようにしております。
ぜひレポートを作成して日々の業務で使ってみてください!
今回のゴール
- Google 広告のレスポンシブ検索広告のアセットごとのデータを、ほぼ自動でLooker Studioに反映させる。
用意するもの
- Google スプレッドシート
- Looker Studioのレポート
今回、BigQueryは不要です。
以下、やり方!
手順まとめ
1. Google スプレッドシートのファイルを新規作成する。
2. Google 広告の管理画面でGoogle Ads Scriptを書き、レスポンシブ検索広告のデータをスプレッドシートに出力する。
3. 手順2でデータ出力したスプレッドシートをLooker Studioにデータソースとして取り込む。
4. Looker Studio上で、Google 広告のデータソースと手順3で取り込んだデータソースとを混合データとして結合し、グラフを作成する。
1.Google スプレッドシートを作る
まずは広告データを出力するためのGoogle スプレッドシートを新規作成してください。
↓Google スプレッドシートのTOP↓
Google Sheets: オンライン スプレッドシート エディタ | Google Workspace
※1広告アカウントごとに作成が必要です!(複数広告アカウントを1つのスプレッドシートで管理することは今回の方法では不可)
スプレッドシートのタイトルを広告アカウント名などの任意の名前に変更しましょう。
タイトル変更以外にシートに何か手を加える必要はありませんので、タイトルを変更したら作成したスプレッドシートのURLをメモ帳などにコピペして保存しておきます。
※スプレッドシートには広告の見出しや説明文などのデータが入るため、見えてはいけないものを見せてはいけない人に共有しないよう、保存場所には注意してください。
2.Google 広告の管理画面でスクリプトを書き、レスポンシブ検索広告のデータをスプレッドシートに出力する。
続いて、Google 広告から先程作成したスプレッドシートへ広告見出しなどのデータ出力をする設定を行います。
Google 広告の管理画面を開き、
ツールと設定 > 一括操作 > スクリプト
を開いて、スクリプトの作成を行います。
スクリプト管理画面内の青い+ボタンをクリックし、スクリプトを新規作成します。
スクリプトを新規作成したら、元々入っていた文字は全て消して、以下のコードをコピペします。
その後、コード内の
SpreadsheetApp.openByUrl("ここをさきほど作成したスプレッドシートURLに置き換え") の「ここをさきほど作成したスプレッドシートURLに置き換え」の文言を、先程①で保存しておいたスプレッドシートのURLに置き換えます。
function main() {
const sheet = SpreadsheetApp.openByUrl("ここをさきほど作成したスプレッドシートURLに置き換え");
AdsApp.report('SELECT asset.id, asset.text_asset.text FROM asset').exportToSheet(sheet.getActiveSheet());
}
スクリプト名を『無名のスクリプト』から任意の名前に変更すれば、スクリプトが完成です。
「実行」ボタンを押すと、先程作成したスプレッドシートにデータが出力されます。
※スクリプトの実行にはアカウントの承認が必要な場合があります。
スクリプト実行後、画像のように2列のデータがスプレッドシートに出力されます。
A列の「asset.id」には説明文
B列の「asset.text_asset.text」には見出し・説明文に設定したテキストデータ
が格納されています。
以前は1つのセルの中にアセットID、見出し、説明文が入っていて、これらを取り出す必要がありました。この処理のためにBigQueryの利用する方法を当ブログで紹介しました。
今回からは出力されているデータがすでに「アセットID」と「見出し・説明文」のみで構成されているため不要となりました。
※出力したスプレッドシートにおいて、「**asset.text_asset.text**」の列で空白行が出てくるのは、レスポンシブ検索広告の見出し、説明文以外の全アセットのIDを出力しているからです。(画像やコールアウトなど)
もし見出し、説明文が正しく抽出できているか不安な場合は、以下のスクリプトを同様にGoogle 広告スクリプトで設定し、データを出力してみてください。アセットタイプも合わせて出力されるため、正しく出力できているかを確認することが可能です。
function main() {
const sheet = SpreadsheetApp.openByUrl("ここをさきほど作成したスプレッドシートURLに置き換え");
AdsApp.report('SELECT asset.text_asset.text, asset.id, asset.source, asset.resource_name, asset.type FROM asset').exportToSheet(sheet.getActiveSheet());
}
自動化のための設定
スクリプトの一覧画面で以下赤枠内の時間設定をすれば、毎日その時間にスクリプトが動きます。
その際に追加した新しいアセットがあれば、スプレッドシートに追加で出力してくれます。
3.Looker Studio上でデータソースを作る
レポートを作成していきます、Looker Studioを開きましょう。
Looker Studio: ビジネス分析情報の可視化 | Google Cloud
まずは「作成」から新しくレポートを作成します。
新しくレポートを作成すると以下の画面になるので、2つのデータソースを追加しましょう。※2つ目のデータは上部メニューの「データを追加」から追加できます。
「データを追加」から、以下の赤枠のデータを追加する。
- Google 広告→Google 広告のデータ(レポートを作成したいGoogle 広告アカウント)
- Google スプレッドシート→先ほど手順2で作成したスプレッドシートを選択
その後グラフを作成し、表を選択して「データを統合」を選択します。
データの統合は、AssetIDをキーとして完全外部結合で結合します。
結合の設定は、「完全外部結合」を選択します。
結合条件は、**asset.id**(手順2で出力したカラム名)とAsset ID(Google 広告のデータソース)を指定します。
ディメンション、指標は確認したい項目を選択してください。
以下は一例です。任意で追加も可能です。(CTRとCVRは後ほど作成するため選択なしでOKです。)
選択が完了したら、「保存」をクリックします。
準備はこれで完了です!
4.Looker Studioでレポートを作る
いよいよレポートを作る工程です!
まずグラフ内にCTRとCVRのフィールドを作成します。
Google 広告のデータソースにもCTR、CVRは存在しますが、そのまま使用すると数値が合わないためCTRとCVRのフィールドを作成します。
作成方法は以下の通りです。
1.「指標を追加」→「フィールドを作成」を選択
2.グラフ内にて、CTR・CVRを計算フィールドでそれぞれ作る(コピペでOK)
CTRの計算式
SUM(クリック数) / SUM(表示回数)
CVRの計算式
SUM(コンバージョン) / SUM(クリック数)
レポートの完成形の例はこちらです!
表には以下のディメンションと指標を設定します。
次に先ほど作成した表を使いやすくするために「コントロール(フィルタのようなもの)」を追加します。
レポート上部のメニュー内にある「コントロール」を選択して、「プルダウン リスト」を選択します。
おすすめは、「Ad ID」・「Asset type」・「Date」・「広告グループ」です。
設定は一例ですが、以下のようにすると使いやすいと思います。
Dateは任意の期間でご自由に設定するのが良いと思います。
コントロールは使いやすいように配置して、広告グループごとにみたり、広告IDごとにみたりと色々とためしてみて、好きな体裁でレポートを作成してみてください。
レポートの作成については以上となります!
あとはご自身で日々確認したいデータなどに合わせてカスタマイズしてみてください!
ご注意・補足事項
過去レポートに出ていたnull表示について
過去作成したレポートでは削除したアセットがnullになってしまう事象がありましたが、今回の内容より削除済みの内容についてもデータを表示できるようになりました。
Looker Studioのレポートにおけるグラフの集計行の扱いについて
作成したレポートの集計行の各数値については、実際の各数値よりも多く表示されます。
そのため集計行は表示しないでください。
レスポンシブ検索広告のアセットは、1回の広告表示のときに複数同時に表示されるものであって、各アセットの表示回数やクリック数などは合算するものではありません。
最後に
JADEでは、このレスポンシブ検索広告のレポートをはじめ、広告のデータやGAのデータなどを様々な切り口から分析できるレポートをテンプレート化し、日々の広告運用に活用しています。
今回のレポートがみなさんの日々の広告運用のお役に立てれば幸いです!