SEOとは一体何をやっているのか?SEOの素人がSEOスペシャリストの仕事を間近で見て

こんにちは、JADE取締役の小西です。2022年もそろそろ終わるところ、JADEも創業してから3年半、つまりわたしも2019年にJADEに参画してから3年半経つこととなりました。

JADEに参画する前はWeb広告運用代行を請け負う会社を営んできて、それを休止してSEOと広告を中心にコンサルティングをする会社をはじめるということで、周りからは理解ある言葉も、理解ない言葉も聞いたものです。

  • SEOなんて今さら効くの?
  • SEOなんてうまくいってもGoogleに対策される、いたちごっこでしょ
  • 人のサイト上位表示させられるくらいなら自分でサービスやったほうが儲かるでしょ(だから嘘でしょ)

この、理解ないほうの言葉はどこから出てくるのか、それは本来的な(真っ当な)SEOの業務を見たことがなく、世間で発信されている情報あるいは話に聞く内容から得る印象が強いものであって、SEOはブラックボックスである、秘密のノウハウである、素人が口を出してはいけないものである、とにかくなんだか難しいものであるという印象、また、とにかく上位表示どーんトラフィックどかーんとなることであるという印象が、SEOに対して捻じ曲がった理解を生んでしまうのではないかと、今となっては思います(ただしこれは世代によってだいぶ異なるかも知れない)。

正直申し上げると実は当時のわたし自身もSEOの仕事への解像度が低く、そういうことではないとはわかっていながらもそのような理解ない言葉に対しては明確に言い返せるものではありませんでした(個別に言い返したいわけではないですが)。

それからJADEで3年半働き、SEOのスペシャリスト達と一緒に仕事をし、特にこの1年半は長山が「JADE2.0」を掲げて、SEOの分析のフレームワーク化、調査データの民主化(一例がこちら、社内ではたくさんまとめを共有しつつ誰でもデータに触れる)、案件ごとに様々な領域のスペシャリスト同志で取り組むチームとしての動きが取れる業務体制の構築が進んだこともあり、元々ど素人だったわたしでもSEOの仕事への解像度がかなり上がりました。

そして、SEOについて世間で思われているような(理解ないほうの)先入観をぜひ取り除きたいと思うようにもなりました。この記事は施策の具体的な話を書くわけではないですが、「SEOなんて効くの?できるの?うちのサイトなんてもう上位表示無理でしょ?ていうか何やってるの?」くらいに思っている方にぜひ読んでほしいです。

まず課題の設定、目指すべき状態の設定が重要

SEOは、Webサイトの検索に関わる範囲で起きている課題がなんであるのかを的確に抽出し、その一つ一つに淡々と向き合って解決策を示して実施して結果を見て対応していく、あるいは、そのWebサイトのあるべき姿、目指したい将来の姿を的確に定義し、到達するために必要なことをやはり淡々と一つずつ実行していく、というものです。その行程はシンプルなことから複雑なものまでありますが明文化できるようなものです。

どーんと上位表示でトラフィックどかーんは実際目指すことはありますが、これはあくまでSEOで目指せることの一例にすぎませんし、解決すべき課題はこれ以外にたくさんあり、純粋なトラフィック増加を目指す前に現実的に解決すべき課題もたくさんあります。

確かに魔法のような結果は得たいものですが、魔法のようなことではないが解決するべき課題で解決できることはたくさんあります。

「SEOは効かない」「SEOの効果は出るのか」というセリフは、こんなところから出てくるのではないかとも思えます。解決すべきこと、目指すべきことの設定が間違っている、あるいは非現実的なレベルの設定をしているわけです。

「SEOの効果」とはなんなのか、まずこの設定からです。

この課題設定と解決手段さえ間違えなければSEOのアプローチで解決できることはたくさんあるのに、なんだか難しいもの、素人にはできないことと捉えられるのは実にもったいないことです。

ちなみに魔法のような結果というのも、課題がなんであって解決すべきことは何か、そして結果を見て改善していけるか、結局はこの地道なプロセスの先にあることがほとんどです。

ただし、課題の抽出、あるいは目指すべき状態の設定は簡単なものではないですし、解決策を講じるのもそれ相応の学習、経験が必要ではあります。実際に実施していることを見ればその一つ一つは具体的で理解のできることではあるものの、課題を見定めて解決策を発案するスキルは簡単につけられることではありません。

SEOのためにやったほうがいいこと100のことというチェックリストを全部こなそうというものでもありませんし、競合のサイトのコンテンツ量や被リンク数を調べてその数を上回ろうというわかりやすいものでもありません。

スペシャリストの持つスキルはブラックボックスでも何年も修行しないと身につけられないような職人技というわけでもないですが、ハイレベルではあります。

しかしその一方でごく基本的なこと、例えば Google 検索セントラルの基礎部分を一通り読めば得られるくらいの知識で解決できることもあるはずです。

広告周りの業務を依頼してくださる企業との取引が多かったわたしとしては、SEOの専門家ではないけれどSEOに関する問題に向き合っているWeb担当者はかなりたくさんいるということも、JADEで仕事をして実感したことの一つです。そういった方々の支援をすることは我々の仕事のうちの一つですが、ごく簡単なことであれば我々に頼むほどでもなく少し勉強すればご自身でも解決できることはあります。難しそうだから、詳しくないから、素人だからで手を出さないのはとってももったいないことです。

SEOで解決できることはどういったことなのか

当然のことながらSEOで解決できることはSEOの域を出ませんし、Webサイトの集客の課題すべてを解決できるわけではありません。検索広告で対応したほうがいいこともありますし、ディスプレイ広告やSNSなどで集客するべきこともあります。

優秀なSEOのスペシャリストはこれを理解していて、SEOが万能だとは思っていませんし、自然検索以外のトラフィックもよく見ています。

Webサイトの集客全体の中での様々な課題のうちSEOが必要なことにだけSEOを取り入れようということなわけですが、つまりWebサイトの集客全体を見据えているWeb担当者にこそ、SEOを知るとうまく活用できるということです。

話題になるようなプロモーションをSNSで広く展開して検索が発生しても検索エンジンに適切に表示されない、というのは実にもったいないことです。Webサイトをリブランディングするときにこれまでの検索トラフィックを失わないようにする、新しいサイト名でもしっかりヒットするようにするしまだ発生する古いサイト名での検索にもきちんと対応するなど、「SEO」というプロジェクトではない中にもSEOが必要なことはたくさんあります。

ちなみに、SEOに詳しくはないけれども検索周りで起きる、あるいは起きそうな課題に的確に気が付く優秀なWeb担当の方もいらっしゃいます。課題は的確に抽出できるので、あとは調べるか詳しい人に聞くなどすれば、解決策に辿り着くのは早いですしそれこそSEOによる「効果」を出すことができます。

こういった方が常に意識しているのはWebサイトの集客がどういう状況であるべきか、あるべき姿はどういう状態であるかで、SEOを成功させるにはSEOを意識するというよりこれを常に意識できているかが大きいのではないかと思います。

もちろん、知識がなければ気がつけない課題、例えば検索ユーザーの求めることを満たせる良いコンテンツではあるのにページがGoogleに見つからないかインデックスできない技術的な問題が発生している、というようなことに気が付くのはSEOに関することをある程度は学習しなければ難しいでしょう。

自分では認識できないが発生している問題があるかないかは、SEOのスペシャリストに発注して探ってもらうのがいいでしょう。この場合のSEOという仕事は、見た目にわかりやすい結果(上位表示やトラフィック増など)を目指すのではなく、問題が起きているか起きていないかを見極めること、いわば健康診断のようなもので、こういった仕事もあります。

あらゆるWeb担当者に「普通に」広まってほしい

わたしのSEO原体験は、15年くらい前のIPアドレス分散支離滅裂サイト大量作成のうえでリンクをわんさか貼ってドーンと上位表示、ではなくて、6年くらい前の記事コンテンツ大量生産でドラフィックどかーん、でもなくて、12年くらい前に経験した、製品名で検索しても表示されなかったページを表示させることだったと今思い返すと、これだったなと思います。製品のバージョンが更新されるごとに新しいURLを作っていたのを、URLは変えずにページのコンテンツの内容を最新のバージョンに更新し、古いバージョンの情報のほうを新たなURLに移しつつ正規化もする、ということでした。Google、Yahoo!で製品名を検索したら必ず最新バージョンのページがヒットしてほしく、しかし古いバージョンをしばらく利用し続ける顧客もいるのでそのページを消すわけにもいかない、という課題が解決されました。

当時これをSEOだどうだと思うこともなかったのですが、JADEでSEOの仕事に関わる経験した今、あれはSEOだったなと思います。

こういう、特別でもなんでもなく地味で普通なことでいいのだと思います。

SEOは魔法のようなことではなく、秘伝のタレのようなノウハウでもなく、限られた人にしか受け継げない一子相伝のものでもありません。

SEOが普通に定着している企業さまも多くなっているようには思うので、そういう方にとってはこの記事も聞き流してもらえれば程度の話なのですが、ちょっと特殊なこととして認識されてしまっている企業さまにはぜひ普通に認識されて定着されるように、今後ともJADEとしてはコンサルティングに取り組みますし、より安定的に世の中に役立つ情報を(SEOに限らず)発信していけるメディアを作り上げていく所存です。