- どのような施策で改善したのか
- 実行いただいたSEOに関する施策
- 広告のデータを活用したSEOに関する施策
- 施策の効果
- 分断とは何か?
- コンテンツを改善するということ
- なぜこんなにも多くの業務ができるのでしょう?
どのような施策で改善したのか
どのような施策で改善したのかの具体の前に、JADEで対応している業務を一覧で記載してみます。
- SEOのコンサルティング
- 運用型広告のコンサルティング
- Google ビジネスプロフィールのコンサルティング
- Google アナリティクス 4(以下、GA4)のデータを利用した分析
- Microsoft Clarity を使った分析
- GA4の計測実装
- データポータルでのダッシュボード作成
SEOや運用型広告のような集客施策だけではなく、施策効果を検証するためのデータ設計からGTMでの計測実装、ダッシュボードの構築も行い、社内外で共通したデータを定常的に観測できる場を整えています。また、そのデータを使ったアドホックな分析はGA4の探索レポートやTableauで定量分析を行い、深堀って定性分析するためにMicrosoft Clarity を使うようなイメージです。
実行いただいたSEOに関する施策
ご提案し、実行いただいたSEOに関する施策の一部をご紹介します。
- ブログの分離
- ナビゲーション動線の改修
- FAQコンテンツの再配置
上記は、SEOを目的としたコンテンツの改善施策ですが、検索広告経由のユーザーも回遊するコンテンツであるため、結果的に検索広告経由のコンバージョン率も改善したと言えます。
それぞれの詳細を迫っていきましょう!
ブログの分離
WebサイトにはJADEの前にSEOの施策を対応していたSEO会社がいました。そのSEO会社は、主にコンテンツマーケティングの側面でブログ内にコンテンツを納品する会社でした。JADEにてブログがコンバージョンに影響しているのかGA4で分析しましたが、セッション単位だけでなくユーザー単位でもコンバージョンに、まったく影響していないことが確認できました。
(GA4はユーザーレベルとセッションレベルのデータが簡単に確認できて便利ですね!)
対象のブログは検索エンジンからのトラフィックは得ているものの、ビジネスに対してはまったく影響がなかったのです。対象コンテンツへの参照元トラフィックとしても0に等しく外部リンクも獲得できていないようでした。そのようなコンテンツがWebサイト内に存在する理由はありません。そのため、主要な導線から削除し、Webサービスとブログを分離しました。
ナビゲーション動線の改修
Webサイトを通してコンバージョンが発生しているユーザーのデータとコンバージョンが発生していないユーザーのデータをGA4で定量的に比較してみると、コンバージョンが発生しているユーザーでは特定のページを閲覧していることがわかりました。実際のページでもコンバージョンするユーザーが気になりそうな情報が記載されているページです。しかし、そのページに対するサイト内の導線は不足しており、検索流入したユーザーは見つけづらい状態でした。
(GA4のセグメントはクセもあるけど便利ですね!)
コンバージョンが発生しているユーザーは、強く比較検討する上でサイト内を一生懸命に回遊し、そのページを見つけ出してくれたのかもしれません。しかし、比較検討が弱いユーザーは見つからない情報は諦めてしまいサイトを離脱してしまった可能性があります。そのようなユーザーに対して、該当のページを見つけやすくすることでサイトからの残念な離脱を防げると想定されます。
そのため、コンバージョンに対して重要と考えられるページをGA4のデータから分析しピックアップを行い、サイト内のナビゲーション改修を行いました。
FAQコンテンツの再配置
サイト内でよくある質問の一覧として、QとAが連続して記載されてまとまっているページはよく見かけます。コンバージョンしているユーザーもFAQコンテンツは閲覧するページの1つでもあります。しかし、その中のどのQとAが長い時間をかけて読まれていたのかを把握している方は多くはありません。というのも、GA4などのヒートマップがないアナリティクスツールでは該当ページの閲覧数はわかりますが、その中の比重を確認することができないのです。
そこで行ったのが、GoogleアナリティクスとMicrosoft Clarityを連携した分析です。Googleアナリティクスでコンバージョンしたユーザーを抽出し、そのユーザーに対する定性分析をMicrosoft Clarity で行いました。
(Microsoft Clarity はレコーディング結果が見られるのが便利ですね!)
Microsoft Clarity にて、コンバージョンしたユーザーがFAQコンテンツをどのように利用しているのか、どのQとAをよりよく読んでいるのかを確認しました。それらの分析結果から、サイト内でFAQページ以外にQとAを設置する場所、その内容を精査し、サイト内へFAQコンテンツの再配置を行いました。
広告のデータを活用したSEOに関する施策
なお、広告のデータをSEOの施策に活用したケースもあります。
広告文を分析し、titleとdescriptionの改善
広告運用で得られたデータをSEOの施策に活用できたケースもあります。Google 広告の管理画面では、様々なディメンションと指標を使い分析を行うこともできます。その分析レポートを利用し、特定のコンテンツに流入する広告のデータを分析しました。
具体的には、日付、広告文、説明文、広告idなどのディメンションとクリック数、表示回数、コンバージョン数などの指標をGoogle 広告の管理画面からデータをエクスポートし、Tableauでビジュアライゼーションした分析です。その際のデータでは、レスポンシブ検索広告ではなく拡張テキスト広告であったため分析も容易でした。
(Tableauで分析する場合はGoogle 広告のレポートがデータ抽出に便利ですね!)
広告文を分析してみると、特定の訴求、単語におけるクリック率が良いと見られたため、そのデータからtitleとdescriptionでの訴求内容を変更しました。訴求内容を変更した結果、SEOである自然検索結果でのクリック率を改善することに成功しました。
施策の効果
お客様に提案したSEO施策をご実施いだいた結果、SEOと検索広告にて同じような改善傾向が見られました。検索広告で設定するリンク先URLは、Google検索やYahoo!検索などの検索結果に表示されるURLが中心でありました。そのため、SEOでの施策である検索体験を向上させた結果、検索広告からユーザー体験も改善できました。
検索広告に関する施策はゼロではなく、この期間に行った広告側の施策もあります。
新しい広告文の追加、キーワードの追加や各種オプション表示などです。しかし、既に高いパフォーマンスを発揮していた広告文に大きく勝つことはできず、検索広告側で成功した施策は特にないと言える状況でした。長年、運用しているアカウントでこれまでにも様々な施策を実行してきた中で、これ以上は成果を上げづらいという段階まで成長させた広告アカウントである、という背景もあります。そのような状態における広告の成果も底上げさせることが、SEOの施策により実現できた、ということが言えます。
SEOにおいて検索結果での順位においてもポジティブな傾向が見られており、施策効果が影響していると想定しています。
(visibility_scoreは、掲載順位をスコアリングしたものscoreが多いほど、獲得した平均掲載順位は高い)
分断されがちなSEOと運用型広告
私は10年以上、検索に関わるマーケティングの仕事をしていますが、SEOと運用型広告は分断されて考えられがちな領域と感じています。運用型広告の中でも検索広告においては、Google検索やYahoo!検索での検索結果に広告が表示されます。SEOと検索広告では検索結果に表示されるリンクの位置は異なれど、検索するユーザーの検索意図や目的は同じ可能性が非常に高いのにも関わらず、分断されがちなマーケティング手法かもしれません。
分断とは何か?
SEOと運用型広告では大企業に限らず、中規模の事業主や代理店でも、予算、部署や担当者が異なることも珍しくありません。小規模の事業主、個人事業主やフリーランスの方であれば、SEOや広告に限らず、制作や保守管理など、その他すべて対応している方もいます。ただし、SEOや広告など、集客を目的とする施策の規模が大きくなると、ひとりでは対応しきれなくなりがちです。すると、SEOや運用型広告などの専門分野は切り出して、外部の他の方に依頼するというフェーズも訪れることがあります。SEOと運用型広告の分断は、こうしてうまれるのかもしれません。
ただし、その分断が間違っているわけでもありません。餅は餅屋とことわざにもあるように、専門分野は専門家にまかせることで、より洗練されたアクションが実行できるかもしれません。ひとりであらゆることに対応することでボトルネックとなっていた有限なリソースを、複数人に分散させることで効率化できるかもしれません。
分断と連携、それぞれの影響
分断された状態だと見えない景色もあるのも事実です。今回、記載したようにSEOにおける施策の1つが検索広告など、多方面に影響することもあります。
例えば、検索広告のリンク先を検索広告からしか流入できない専用のランディングページを用意していたとします。そのようなランディングページ自体はメリットもデメリットもあるかと思いますが、デメリットとしてはSEOと検索広告で同じ検索から流入するユーザーの検索体験が異なる可能性があります。検索体験が分断されていると、Googleアナリティクスなどで分析するデータにも分断されてしまいます。
SEOでも検索広告でも同じ検索意図での検索クエリにおける流入であれば、コンテンツを統一し、施策を連携することがメリットに繋がります。具体的には前述までに記載した内容を中心に、まずは検索広告で試しSEO側の施策への影響を確認する、Search Console で利用できる検索クエリなどのデータを検索広告のキーワードや広告文にも活用する等があげられます。
データも集約して分析することで、アクションプランである施策へ繋げることもできるのです。
コンテンツを改善するということ
ユーザーにとって役に立つ良いコンテンツをつくりましょう。何度も聞いた言葉です。
SEOを目的とした施策を通してWebサイトのコンテンツを改善を繰り返すということは、Webサイトを1つのプロダクトとしてみなすと、プロダクトを磨き上げることに繋がります。磨き上がったプロダクトに対して、コストをかけて運用型広告にて人を多く集めることで、磨き上がったプロダクトに触れていただける機会を増やすことができます。ところどころに穴がある磨き上げる前のプロダクトと磨き上がったプロダクトでは、集客した際のパフォーマンスに差が発生するのは当然と言えます。
なぜこんなにも多くの業務ができるのでしょう?
それは私、村山がスーパーマン…なわけではありません。
JADEでは1つの案件に対して、複数人がアサインされていることが多く、複数人で1つのチームとして対応しています。この案件では3人で1つのチームです。スリーマンセルです。
そのため、ひとりにリソースが集中することなく対応できるため、複数のマーケティング施策を同時に推進できたりもします。詳しくは、こちらの働き方へ!
「そんなこといってもSEO担当がいて、その人は運用型広告やらないでしょ?」と思われたかもしれません。しかし、そんなことはありません。この案件では得意不得意はありますが3人が3人とも、それぞれの施策を推進することができるように思います。
例えば、ユーザーにとってよいコンテンツをめざすべく、分析を行うためにGA4の計測実装を行い、そのデータを活用して分析し、コンテンツの改善立案も行いながらも、運用型広告の日予算調整なども行う、みたいな感じです。
今回の記事では施策の紹介もしつつ、SEOと運用型広告の分断についても触れました。各施策を分断することでのメリットもあることを否定することはできないですが、分断することでのデメリットが存在することも意識しなければと思うのです。
その上で、今のパフォーマンスを今できる範囲内で最大限に引き上げるためには何ができるかを、改めて考えてみるきっかけになりましたら幸いです。