DACINフレームワークを導入して、チーム仕事の効率が上がった話

アドベントカレンダー記事。仕事における役割を明確に定義して進めるフレームワーク「DACIN」について。Driver, Approver, Contributor, Informed, Next Actionを定義し、適切な裁量をそれぞれの役割の人に持たせることで効果的に仕事が進みます。

JADEファウンダーの長山です。

昨年DACINフレームワークを導入して良かったという話を書きましたが、最近になって徐々に注目度が上がってきているようなので、再度DACINとは何か、利点は何か、運用上の注意点は何かを書いておこうと思います。

以前に書いた記事はこちら。

blog.ja.dev

特に、弊社で Amethsyt の新規事業立ち上げにおいて BizDev として手伝っていただいているフジイさんのブログで紹介されたことによって、Twitterでも関心の高まりが見られました。

fujii-yuji.net

当初導入したときに思っていたよりもはるかに社内で支持されている仕事のフレームワークなので、みなさんの会社でも導入してみると良いことがあるかもしれません。

DACINを導入すると、仕事を進める上で、「ある仕事における自分の立ち位置と責任範囲が明確化」します。

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元々の役職がなんであったとしても、プロジェクトの性質によって役割が変わることがあると思います。責任を持ってコミットし、プロジェクトを最後まで完遂する立場である時もあれば、部分的に貢献するだけのこともある。DACINは、各々が持つべき責任を、プロジェクトやタスクに応じて明確化するためのフレームワークです。

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DACINは、対象になっているプロジェクトやタスク、仕事(ジョブ、と呼びます)について、以下を定義します。

  • Driver: ドライバー。そのジョブの完遂に対する最終的な責任を持つ人です。このジョブについて操縦席に座っているのはこの人で、アクセルやブレーキ、ホイール操作など、基本的にこの人が全て責任を持つことになります。なので、「ドライバーになる」ことは、そのジョブをどのように進めていくかについての責任と権限を持つことに等しいです。
  • Approver: アプルーバー。ドライバーの操作を承認し、そのジョブの結果に対する責任を共に持つ人です。車であれば助手席に座っているような人でしょうか。基本的な進行と完遂はドライバーがやるものですが、結果どうなったかについての責任は2人で持つことになります。
  • Contributor: コントリビューター。ジョブを分解したときに、その1部分について共に貢献する人です。よくあるのは、プロジェクトのドライバーが、それを複数のタスクに分割し、そのタスクのドライバーとして参画する人がプロジェクトのコントリビューターとして登録されるパターンです。
  • Informed: インフォームド。直接的にこのジョブに関して貢献する事は無いが、現在の進捗やあるいは結果がどうなったかについて知る権利を持つ人です。ポイントは、この人たちはあくまで結果を聞いているだけで、承認するわけではないと言うことです。
  • Next Action: ネクストアクション。このジョブの次に何が待っているかと言う部分です。ドライバーが決定し、アプルーバーが承認します。

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DACINを導入することで、特に誰がドライバーなのかということが明確になり、そのプロジェクトの中で、誰がどういうところでコントリビューターとして貢献するのかが非常にわかりやすくなります。

また、アプルーバーが具体的にいることで、それぞれの意思決定において誰の承認が必要で、それがあるのかないのかが明確になります。

ドライバーが進め方の責任と権限を持っていることがはっきりしているので、どこまでなら自分の判断でやって良いかなどもわかりやすくなるのも良い点です。

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特に、ブレスト段階で出てきたアイディアなどで、それいいねとみんなが言っていても気づいたら立ち切りになっていると言うようなことが、ドライバーをアサインするようになりかなり減ったと思います。

特に奇抜なことを言っているフレームワークではないので、もともと導入した時は、こんなに当然すぎるフレームワークを導入しても、そこまで大きな変化は見られないだろうと思っていたのですが、予想以上の効果が見られたと思います。認知の転換が起こった後では当然のように見えるが、実際にやってみると実態に大きな変化がある、と言うのが良いフレームワークなのだなと再度感じました。

一方で、定義した役割を忠実に実行できない場合は、フレームワークが機能しずらくなるかもしれません。例えば、ドライバーに責任だけあって、権限が裁量を与えられないような場合は、最後まで、自分の成功に責任を持つことが難しくなるでしょう。アプルーバーが承認をするだけにとどまらず、意思決定に対してあまりにも関与しすぎるような場合は、実質的にアプルーバーなきドライバーとして機能してしまう可能性もあります。コントリビューターとして登録するべきなのにインフォームドになってしまっているような場合は、貢献するべきところで、それが難しく、不満が溜まってしまうかもしれません。

当たり前のことですが、フレームワークを導入する以上は、それが機能するように役割を忠実に実行する事を意識するべきです。それができないような場合は、そもそもチームの心理的安全性が低かったり、あるいは社内政治によって組織機能が硬直化しまっている可能性もあります。当然のことですが、組織の中で、お互いを信頼しながら、仕事を進めることができるような環境を整えるということが先にあります。

DACINはうまく使うことができればとても良いフレームワークなので、みなさんのチームでも活用を検討してみてください。

アドベントカレンダーは続くよ、どこまでも。。次回もお楽しみに!

adventar.org