JADEファウンダーの長山です。このエントリーでは、昨年会社で導入してよかったツールやフレームワークをまとめておきます。JADE では常に「より効率的に、よりオープンに、より成長するためにはどうすればよいか?」を考えており、見つかった問題に対してさまざまな解決を試行錯誤しています。その中でも、とくに導入してよかったと思ったものを紹介します。
黙読タイム
- 導入コスト: 低 (会議の仕方を変えるだけ)
- 解決したい課題: 丁寧に資料をつくって説明してもイマイチ共有がうまくいかない
- 起こった効果: 共有レベルが上がり会議における議論が活発化した
これは某企業が資料発表や意思決定の際にやっているということで導入してみたらよかったものです。
通常、何かについて議論を行う場合、スライドを作成してそれをベースにプレゼンテーションをし、そのあとQ&Aや議論、ということが多いと思います。
しかしこの場合、スライドで話されていたことの理解度がまちまちで、議論があまり生産的でない、ということが発生しがちだと感じます。また、スライドでは、情報の詰め込み方についても塩梅が難しく、スライドで全てを説明せずに口頭で話したり、あるはスライドにぎっちり文字が詰め込まれてしまい読みづらい、などの問題もあります。
JADE では、そもそもスライドよりも Notion や Google Doc など、ドキュメントにまとめるようにした上で、発表者が全て話すよりも先にドキュメントを全員で黙読する時間を作っています。こうすることで、資料に関する議論参加者の理解度をできるだけ均一にした上で議論を開始することができます。そうすると、より生産的な議論になりやすい、ということを感じます。特にコンサルティングチーム内でおこなっている Consulting Project Review という案件のレビューを行う時間に活躍しています。
DACIN
- 導入コスト: 中 (仕事の仕方に関する考え方を変える必要)
- 解決したい課題: タスクの持ち主や進捗が迷子になっている
- 起こった効果: やるべきタスクが決めやすくなり、進行が迅速化した
導入して予想以上の反響があったのがこれです。以前働いていた会社で導入されており、なかなか良いと思ったのでそのまま導入しています。
DACIN (だしん、と読みます) は Driver, Approver, Contributor, Informed, Next Action の略で、意思決定と仕事上の責任明確化フレームワークです。「この意思決定やタスク、プロジェクトなど(一律して「ジョブ」と呼びます)において、誰がなにの責任を持つのか?」を明確にすることで、そのジョブが適切に遂行されることを担保することを目標とするものです。
- D: Driver (ドライバー、操縦者)
- ジョブを最後まで「ドライブする」責任を持つ人です。ジョブを最後まで遂行し、完了させることがこの人の責任です。
- 常に1人で、必ず存在します。
- A: Approver (アプルーバー、承認者)
- ドライバーのジョブをレビューし、承認し、結果に対する責任を一緒に持つ人です。
- 必ず存在します。基本的に1人です。
- C: Contributor (コントリビューター、貢献者)
- ドライバーと共にジョブに貢献する人です。
- あるプロジェクトのコントリビューターは、そこで分解されたタスクにおいてはドライバーとなるかもしれません。
- 複数可です。いない場合もあります。
- I: Informed (インフォームド、被通知者)
- ジョブに直接は貢献しないが、ジョブの推移や結果に関して聞く権利をもつ人です。
- 複数可です。いない場合もあります。
- N: Next Action (ネクストアクション、次の行動)
- このジョブを終了させるための次のアクションは何か、あるいは
- このジョブが終了したら、次のジョブは何か、です。
- Dが決定し、Aが承認します。
- 複数可です。必ず存在します。
もともと DACI フレームワークというのはある程度よく知られたもので、そこにさらに Next Action を追加したことで日本語的にも言いやすくなり、ジョブのステータスがわかりやすくなったのが DACIN です。
要はあるジョブにおいてそれぞれの役割がなになのかを明確化する、という当たり前といえば当たり前の話なのですが、意識的にできていない場面も多くありました。例えばアイデアベースで議論をおこなっていて、「それいいね!やろう」という話にはなったものの、それをやるための次のアクションが何であり、責任を持つのが誰かが明確になっていないが故にアクションが起こらない、ということが発生したりしていました。
DACIN を導入したことで、「これやるとしたらドライバーは誰なの?」「これは自分もコントリビューターとして参加したい」などといった会話をする癖がつくようになり、結果として宙ぶらりんになるタスクやジョブが大きく減りました。現在、あらゆるプロジェクトで導入されています。
構造化評価
- 導入コスト: 高 (評価の仕方を根底から考え直す必要あり)
- 解決したい課題: 評価が適切に行われない
- 起こった効果: 納得感のある評価が可能になった
実は JADE では 2022 年になるまで評価サイクルというものが不在でした。それを改め、2022年春から新しく構造化評価のサイクルを始めたことで、メンバーのレベリングやパフォーマンスの評価が可視化されました。JADE でやったことは、以下のようなものです。
- 評価と採用のために利用するジョブラダーを整備する。ここで、それぞれのラダーにおける重要なスキルセットが何なのか、それは具体的にどのようなものかを定義する。
- ラダーに対してレベルを用意し、それぞれのレベルで、パフォーマンスの水準でも、スキルセットの水準でも何が期待されているのかを明確化する。
- メンバーはマネジャー1人ではなく、共に働く複数の同僚からフィードバックをもらう
- その上で評価委員会にて議論した上で、ラダーとレベルが要求しているものとの関連での最終的なメンバーの評価を決定する
評価委員会に真面目に取り組むのは結構大変なのですが、何が評価され、何が評価されないかを明確にすることは企業組織体にとって非常に重要だと考えているので、経営メンバー全員で優先度高くやっています。
すでに2回評価サイクルを回していますが、今のところ評価に対する納得感は高く保たれており、最新の社内調査(匿名アンケート)における評価システムの満足度は平均 4.07 (最大 5) でした。
ほかにもいろいろあります
次回は、2022年会社に導入してよかったツールを紹介したいと思います。Notionは2021年の終わりに導入したので、めちゃくちゃ活躍しているんですが(この草稿も現在 Notion で執筆中)、登場しない予定です。