JADEの経営層や社員は、どうやってタスク管理をしているのか?

JADEの社員たちが実践するタスク管理手法をいくつかご紹介します。「タスク管理をしない」という意外なアプローチから、GTDメソッドの応用、Google Keepの活用、Asanaの効果的な使用法まで、さまざまな視点からの共有となっています。個人の仕事スタイルに合わせたアプローチの重要性や、ツールの適切な活用方法についても言及がありますので、読者の方に参考になる部分もしありましたら嬉しいです。

こんにちは、JADEブログ編集部です。

仕事の効率を上げたい。でも、タスク管理がうまくいかない……。そんな悩みを抱える人は少なくないでしょう。編集子もその一人です。タスク管理は現代のビジネスパーソンにとって避けて通れない課題です。しかし、その方法は人によって千差万別。一体どういったアプローチが効果的なのでしょうか?

このブログでも何回か紹介してますが、チームとしてのタスク管理については、JADEではDACINというフレームワークがベースとなっています。

blog.ja.dev

この文章にもありますが、各々が持つべき責任を、プロジェクトやタスクに応じて明確化するためのフレームワークがDACINです。気になる方はぜひ上のリンクからご覧になってください。

 

では、個人としてのタスク管理についてはどうでしょうか? 弊社で毎週行われている社内勉強会「JADE大学」でも、こういったノウハウがときどき共有されています。今回の共有では「タスク管理をしない」という意外な考え方から、GTDメソッドの応用、Google Keepの活用、そしてワークマネージメントツールの効果的な使い方まで、さまざまなアプローチが共有されました。

この記事では、そんなJADEのメンバーたちが実践する効率化のヒントをいくつか紹介します。あなたのタスク管理に役立つアイデアが見つかれば幸いです。

 

【もくじ】

 

「タスク管理をしない」がベスト? 長山流・即断即決の哲学

ファウンダーの長山のタスク管理に対する考え方は、一般的な概念を覆すものです。彼は「タスクを管理しないことが最強のタスク管理術である」と主張します。この意外なアプローチの背景には、タスク管理を2つの種類に分ける考え方があります。

長山によると、タスク管理には「チームのためのタスク管理」と「個人のためのタスク管理」の2種類があり、その目的は大きく異なります。チームのためのタスク管理が組織的な成果物の遅延なき達成を目指すのに対し、個人のためのタスク管理は自身の業務整理が主目的。そして、JADEではDACINというフレームワークに基づいてチームで動いているのは、上で書いた通りです。

チームのタスク管理は、本質的にプロジェクトマネジメントであり、明確なベストプラクティスが存在します。一方、個人のタスク管理については、長山は従来の方法論と異なるアプローチで臨んでいます。


長山 チーム側はどちらかと言うとコミットメント、約束という方の色が強くて個人のタスク管理は自分がやるべきことの処理ということがフォーカスになってきます。たとえばエンジニアであれば、Linearで「このサイクルはこのタスクをやります」ということに対してコミットメントをするわけですし、コンサルティングであればAsanaで「この案件の次の定例に向けてこれをやります」というようなコミットメントを示すことにほかなりません(※LinearとAsanaはいずれもJADEでも使用しているプロジェクト管理ツールです)。

個人のためのタスク管理は、できるだけしないのが最強です。これはどういうことかというと、私は宿題をやらない派の人間だったのですが、発生しそうな宿題をあらかじめやっておくのです。予想外の宿題が出たら授業中にその場でやることを徹底し、家に帰ってから宿題をやらなくても済む状況を作っておきます。


長山の「タスク管理をしない」方法の秘訣は、タスクを先送りせず、すぐに対応することにあります。タスクをこなすスピードを上げることが何よりも大切、と長山は言います。

この考え方の核心は、タスク処理のためのプロセッサー(つまり自分自身)は一つしかないという認識です。そのため、タスクが発生した瞬間にそれを終わらせてしまえば、タスク管理そのものが不要になるという発想につながります。長山は、常に手持ちのタスクがない状態を目指し、新しいタスクにすぐに対応できる体制を整えているようです。ただし、即座に処理できないタスクについては、カレンダー上の時間ブロックとして扱うという工夫も行っています。


長山 できるだけ処理速度を上げるのが大事で、すぐタスクを処理できるように脳内を整えておくのが一番クリティカルだと思います。たとえば、私がしていることですが、メールやチャット、Notionなどで自分に関係のないものでも見られるものは全部読んでおきます。そうすることで、把握していない文脈をできるだけ少なくします。すると、突然自分がアプルーバーになってコントリビューターを見てくださいという依頼が来ても、文脈を整理する必要がないので、大体の仕事はすぐに終わらせることができます。結果的に、かなりスピーディーに仕事を片付けられるようになります。

タスクを管理するというタスクを作ることなくタスクを終わらせることができるというのが私の考え方です。

 

GTDのキモは「振り返り」:伊東式ハイブリッドタスク管理術

JADE代表の伊東は、有名なタスク管理法「GTD(Getting Things Done)」をベースに、独自のやり方で日々のタスクをマネージメントしています。

GTDとは、頭の中にあるやるべきことをすべて書き出し、整理することで、心の負担を減らし仕事の効率を上げる方法です。伊東は、このGTDの基本的な考え方を20年以上の社会人経験と組み合わせ、自分なりのシステムを構築しようと長年試みていました。

しかし、このシステムも完璧ではありませんでした……。試行錯誤を重ねる中で、伊東のタスク管理システムは一度崩壊の危機を迎えます。その経験から生まれた改善策が、現在の伊東式タスク管理術のキモとなっています。


伊東 社会人になって20何年、やり方というか、どういうふうにやるか、ということを悩んだり考えたり調べたりしてきて、落ち着いたのがGTDメソッドです。これはタスク管理のフレームワークで、ツールではなく考え方です。

GTDメソッドの中で「2つ以上のステップがあるものを『プロジェクト』にします」というのがありますが、そうするとプロジェクトがいっぱい出てきてしまうんです。家庭旅行プロジェクトとか、ブログを書くプロジェクトとか、ニュースレターを始めるプロジェクトとか。プロジェクトの数がたくさんになってしまうので、ある時それが崩壊しました。


システムの崩壊を経験した伊東は、その教訓を活かし、より効果的なタスク管理方法を編み出しました。新しいアプローチの特徴は、時間軸での管理と、仕事とプライベートの統合にあります。


伊東 そこから、プロジェクトの考え方を変えました。今はプロジェクトを時間軸だけにしています。「今週」「来週」「今月」「来月」「長期あるいは保留」「繰り返しタスク」みたいな形で、すべて時間軸の中に放り込むようにしています。そこに対して、時間軸のプロジェクト、要するに今週プロジェクトという中に放り込んだものに対して、次はそのタスクに対してもう一個ラベルをつけます。ラベルのカテゴリは「leads」「media」「consulting」「learning」「personal_family」というような感じです。

もう一つ重要なのは、仕事とプライベートを分けずに管理することです。24時間というのは決まっているので、その中で仕事上のプロジェクトであろうが、家庭のプロジェクトであろうが個人のプロジェクトであろうが、全てを一つのシステムで管理しています。


このシステムでは、定期的な振り返りが非常に重要な役割を果たしています。これにより、タスクの進捗状況を把握し、必要に応じて調整を行うことができます。


伊東 基本的に毎週金曜の午前中に家の近くの図書館に行ってレビューしてます。これがめちゃめちゃ大事な時間で、これをやらないと次の週が不安でしょうがないんです。要するに何をやらなければいけないのか、そういったことが見えなくなってしまうので、振り返りの時間を必ず強制的に作ります。


このシステムを実現するために、伊東は複数のツールを効果的に組み合わせています。デジタルツールとアナログツールを併用することで、柔軟かつ確実にタスクを管理しているのです。


伊東 ツールは、タスク管理の中心はTodoistを使っています。AsanaとTodoistは双方向連携ができるんですね。消し込みもできます。Todoistから消し込みをするとAsanaでも消せるし、Asanaから消してもTodoist側も消せるという感じのことができるので、そういう形で使っています。

加えて、手帳を使っています。フィジカルな手帳ですね。長らくアクションプランナー使いでしたが、コクヨのジブン手帳に2年前から乗り換えました。気に入っています。手帳は週次の振り返りと翌週の計画の作成、中長期での自分なりの目論見を書く、考えるということと、あとは特定の日に関して、たとえば今日の仕事ということに関して9時から10時までは何をやるか、10時から10時半までは何をやるかということをより詳細に書けるので使っています。これって、いちいちGoogleカレンダー書いてられないですよね。MTG以外の時間で自分が何やるかっていうのを手帳で整理してます。


このように、伊東のタスク管理システムは、GTDの基本概念を踏まえつつ、独自の工夫を加えることで、より実践的で効果的なものとなっています。時間軸での管理、仕事とプライベートの統合、定期的な振り返り、そして適切なツールの活用が、そのキモとなっていました。

 

シンプルイズベスト:大井推奨のGoogle Keep活用術

テックリードの大井は、タスク管理ツールとしてGoogle Keepを推奨しています。その理由は、シンプルさと使いやすさ。タスクを発生させる簡便さが、効果的なタスク管理において最も重要な要素の一つだと大井は考えています。


大井 簡単なタスク管理ツールとして、Google Keepが便利だという話をします。X(Twitter)の表示名をタスクにしても良いのですが、1タスクしか使えないという問題があります。それはさすがに厳しいので、Google Keepをおすすめします。スマートフォンにアプリを入れて、ウィジェットを適切な場所に置いておくと、タスクを簡単に追加できます。これが一番重要だと思っています。PC版はGoogle Keepをブックマークするか、Chrome拡張を使うなどして対応しましょう。

便利な点は、まずリマインダー設定ができることです。メモ入力欄に「トイレットペーパー買え」などと書き、リマインダーボタンを押すと基本的に3つの選択肢が表示されます。この選択肢は設定から変更でき、細かい時間指定や繰り返し設定もできます。

「場所を選択」というリマインダー機能が便利です。特定の場所に近づいたらリマインダーを鳴らすという機能で、「トイレットペーパー買え」というタスクに対して薬局を設定しておけば、薬局に行ったときに買い忘れを防げます。

検索機能が充実しているのも良い点です。「薬局」などで検索すると、関連するメモがすぐに出てきます。さらに、Googleが「この軸で検索するのはどうですか」というようなサジェストを提示してくれることがあります。それを押すと、思いがけない古いメモが出てきたりすることもあるので、そこからタスクが発生することもあります。

また、スマートフォンのウィジェットでは音声入力が可能です。タスクが発生したら、話すだけで文字起こしされるので手軽です。ぜひインストールしてみてください。

 

Asanaとの格闘:藤井流・試行錯誤のタスク管理

ジュニアコンサルタントの藤井は、他の社員と同様に、プロジェクト管理ツール「Asana」を使用しています。藤井のタスク管理の取り組みは、Asanaとの格闘の日々でもあるようです。効率的なタスク管理を目指しつつも、いまだ試行錯誤を重ねている様子が分かります。読者のみなさんは、ご自身で使用されているワークマネジメントツールに置き換えて読んでいただければと思います。


藤井 みなさん、Asana使っていますか? JADEではデフォルトでAsanaの使用を指示されますが、多くの人は「マイタスク」と「プロジェクトのタスク一覧」しか見ていないのではないでしょうか。私はAsanaと格闘した結果、Asanaと格闘するより目の前の仕事をした方がいいという結論に至ったこともありました(涙)。でも、使っているうちにいろんな気づきがあったので共有します。

Asanaはいろいろカスタマイズできるんですよ。たとえば、マイタスクに自分用の新しいフィールドを追加して、上司が設定した納期と自分の目標納期を別々に管理したり。これ、結構便利で、プロジェクトの進捗を自分なりにコントロールできる感じがします。

ボードビューっていう見方があって、これがなかなか良いです。

ボードビューは時間軸が横に並び、対象日のタスク量が分かりやすい

「今日の作業」っていうフィールドがデフォルトであるんですが、ここに今やるべきタスクを入れていくと、日々の業務の流れが見えてくるんです。仕事中にふと集中が途切れたり、会議によって作業が中断されたりしたとき、「今やるべきこと、何だっけ?」と思うことがよくあると思います。そんなときに「今日の作業」を見返すことで優先するべきタスクに戻ってくることができるんですよ。

カレンダービューも重要で、ここでは必ず開始日も入れるようにしてます。

カレンダービューは開始日も必ず入れてガントチャート化

開始日を入れることで、いつから着手すべきかの目安がつくし、このタスクにいつから取り掛かれば間に合うかを考える習慣がつきます。点で管理するのではなくて、線で管理できるようになると思います。みなさんも開始日入れるようにしてください。

サブタスクは積極的に記入しています。大きなタスクを細かく分解していくと、複雑な仕事でも取り組みやすくなるんですよね。たとえば一つの仕事をこなすにあたって、まずはこれについて調べる、これをデータを持ってくる、次に誰々さんに意見を伺う、みたいなのも細分化しちゃいます。これは『要領が良くないと思っている人のための仕事術図鑑』っていう本で書かれていたんですが、自分の仕事の手順書を作ることも推奨されてて、めちゃくちゃ参考になりました。

 

あと、私マルチタスクが苦手なんですけど、『SINGLE TASK』っていう本を読んでて。著者によれば、マルチタスクって実は存在しなくて、幻想だそうなんです。シングルタスクに集中することが大切って書いてあって、すごく共感できる内容でした。

Asanaみたいなツールを使いこなすのも大事だけど、それ以上に自分の仕事の仕方を見直すきっかけになるのが重要だなって思ってます。

 

共有後のディスカッションから抜粋

社員A タスク管理をしないっていうのはすごくごもっともですが、優秀な人の話だな、みたいな(笑)。でも、そのためにもスキルは身につけておかなければいけませんよね。つまり、さっさとやれるくらいの能力をしっかりつけておけば、どんどん処理できる。

長山 そうですね。僕はけっこう「今日はAmethyst(JADEで開発したツール)のチケットを処理する日」みたいにテーマを決めて、ひたすらやる、みたいな感じです。今日はこれについて考えよう、って。

社員B 伊東さんのやってた、今週・来週・今月・来月くらいのスパンの分け方が良いなと思いました。僕はだいたい今日やるタスクの一覧と、「今週は何曜日にこれをしたい」みたいなのは書くんですけど、あとは「いつかやる」タスクとして沈めていて、「いつかやる」タスクは一生やらないという問題が(笑)。

伊東 「いつかやる」やつって多分やらなくていいやつですよ(笑)。とりあえず自分の気が収まるまで「いつかやる」に入れておいて、で、やらなかった。だったら半年やらないやつは多分やらない。

長山 さっき言い忘れましたが、僕はとにかくメールに入ってくるメールを全部アーカイブして、Inbox開いたときに見えてるやつは「何か返信しないといけない」とか「何かアクションしないといけない」ってやつだけにしておく、アクションしないといけないチャットもメールボックスに転送してます。

社員A LINEとかだと仕事の案件来ると対応難しいですよね。

長山 仕事中開けないじゃないですか。で、時間外で開いて「あ、でもこれ仕事の内容だな」って思って飛ばすじゃないですか(笑)。いま仕事タイムじゃないからって飛ばす。で仕事中は開かない。一生たどり着けない(笑)。Cさんどうですか?

社員C タスク管理は記憶とブラウザ頼みですね。

一同 強い……!

 

個人のタスク管理、それなりにまとめてみます

ディスカッションを通じて、効果的なタスク管理には個人の仕事スタイルや環境に合わせたアプローチが重要であることも明らかになりました。なんとかまとめてみます。

  1. タスク管理の方法は個人の能力や仕事の性質によって異なり、一つの正解はもちろんない。
  2. ツールの使用は重要。それに振り回されないことも同様に大切。
  3. 時間軸での管理(今日、今週、今月など)が多くの人にとって効果的。
  4. 「いつかやる」タスクは定期的に見直し、本当に必要かを再評価することが重要。
  5. メールやチャットなど、複数のコミュニケーションツールは自分のメインの場に統合管理。
  6. 定期的な振り返りと整理が、効果的なタスク管理の鍵。

タスク管理は単なる作業の整理ではなく、自身の仕事の仕方を最適化するプロセスであると言えるかもしれません。各自が自分に合った方法を見つけ、継続的に改善していくことが、会社全体の生産性向上につながりそうです。

みなさんもよいタスク管理を!