
「営業切り込み隊長」って一体なんだろう
こんにちは、JADE ジュニアストラテジストの井上です。以前はこんな記事やこんな記事を書きました。
今回の記事は、JADEの公式ラダーには存在しない肩書きを突然おおせつかった筆者が、その意味を自分なりに考えた話です。ご笑納ください。
入社して10ヶ月目に差しかかろうとしていた頃、突然「営業切り込み隊長」なる肩書きを与えられました。
営業切り込み隊長って一体なんだろう、と正直混乱しました。上でも書いた通り、JADEで職務やキャリアの段階を表すラダーの中にも、そんなポジションはどこにも存在しません。ただ、混乱しつつも、コンサルティングサービスを提供する会社において営業組織はどうあるべきなのか、自分なりに考えをまとめてみたいと思います。
インハウス出身者から見たJADEの営業
私は前職で約12年間、中小企業のインハウスWeb担当者として働いていました。営業職としてキャリアをスタートし、Webサイト管理、広告運用、コンテンツマーケティングと、いわゆる「なんでもやる」スタイルで実務経験を積んできた人間です。
そんな私がJADEに入社して最初に驚いたことの一つが、商談の進め方でした。
インハウス時代、支援会社との商談では営業担当が前面に出てくるのが一般的でした。プレゼンが上手で、期待が高まる提案をしてくれる。けれど、いざプロジェクトが始まると、商談に来ていた営業の方は姿を消し、別の担当者が現れる——そんな経験を何度かしたことがあります。
JADEでは、これとはまったく異なる光景がありました。
JADEにおける「営業」とは
弊社の営業とは、お客様からいただいたお問い合わせに対して、JADEとして提案できる内容をお伝えし、最終的に受注に至るまでの流れをマネジメントする役割のことを指しています。弊社ではアウトバウンド型の営業活動は積極的に行っておらず、基本的にはインバウンドで入ってきたお問い合わせへの対応がメインです。
そして何より特徴的なのは、商談の初期段階から現場のコンサルタントが参加するということです。実際にお客様の課題を聞き、サイトを見て、コンサルティングを提供するのと同じ人間が、最初の商談から向き合います。
つまり、「切り込み隊長」といっても、外に切り込んでいくことは想定しづらいわけです。では、一体どこに切り込んでいくのか。この問いが、私の中でずっと引っかかっていました。
コンサルティング会社の営業に潜むジレンマ

コンサルティングサービスを提供する会社の営業で、よく耳にするトラブルがあります。
受注時に営業担当がかなりストレッチした目標をお客様に提示してしまい、実際にコンサルティングを提供する段階でその期待値に応えられない。結果として信頼関係が損なわれ、契約が終了してしまう——という流れです。営業が成果を追い求めるあまり、現場のデリバリーとの間にギャップが生まれてしまうのです。
JADEでは、この問題に対して明確な企業文化で向き合っています。商談の初期段階からコンサルタントが参加し、無理な目標設定や過度な誇張をせず、お客様との間で適切な期待値の擦り合わせを行うようにしているのです。
入社前にインハウスの立場からJADEの発信を見ていたとき、この姿勢にとても共感したことを覚えています。実際に中に入ってみると、その文化は発信で見ていた以上に徹底されていました。
たとえば、ある商談でコンサルタントがお客様に対して「正直に申し上げると、現状では弊社がお力になれる範囲は限られています」と率直にお伝えする場面がありました。売上だけを考えれば受注したほうがいいはずなのに、お客様にとって費用対効果が見合わない可能性があるなら、正直にそれを伝える。インハウス時代に「支援会社はどこも営業トークが上手いけれど、本当に信頼できるのか」と感じていた自分にとって、この誠実さは衝撃的でした。
目先の受注よりもお客様との長期的な関係を優先する。この判断が自然にできる組織であることは、内側にいて改めて感じるJADEの強みです。
この文化は、コンサルティング案件のライフタイムバリュー(生涯価値)を高めることにつながっています。お客様とJADEの双方が納得した上でコンサルティングを進められる。これはまさにWin-Winの関係を築く上でとても大切なことであり、私は非常に良い文化だと感じています。
JADEのコンサルティングについては、畑田が以前書いたこちらの記事もよろしければぜひ。
良い文化の中にある「もう一つの課題」
しかし、この文化にも課題がないわけではありません。
商談をコンサルタントが主導するということは、提案内容がどうしても保守的になる可能性をはらんでいます。たとえば、「できるかもしれないけれど、まだ確信が持てないから提案しないでおこう」とか、「工数が非常にかかりそうな案件だから、なるべく受注しない方向にしよう」といった意識が、無意識のうちに働くことがあるのです。
また、案件の戦略を描ける上位コンサルタントのリソースが埋まっているときには、積極的に新しい案件を受注しにくいタイミングが発生することもあります。JADEではチーム制を採用しており、案件ごとにリーダーと複数のメンバーが組んで対応しています。この体制はコンサルティング品質の担保に不可欠なものですが、裏を返せば、チームを組成できる余力がないと案件を受けづらいという側面もあります。
お客様にとって誠実であることと、営業としてより多くの価値を届ける機会を広げること。この二つは、本来対立するものではないはずです。
切り込むべき先は?

こうした課題を前にして、営業という立場から何ができるのかを考えました。
一つは、コンサルタントのリソース調整です。案件を主導する上位コンサルタントのサポートにつけるメンバーを手配するなど、社内のリソースを最適化することで、受注できる案件の幅を広げることができるのではないか。
もう一つは、お客様が本当に求めていることへの理解です。ご相談内容の表面的な言葉の奥にある、達成したいビジネス上の目標を正しく認識し、そこに対してJADEが提供できるコンサルティングの内容を提案する。JADEにはSEO、Web広告、アクセス解析、コンテンツと幅広い領域の専門家が揃っています。お客様の課題に対して最適な組み合わせを見つけ出し、現場のコンサルタントとは異なる視点からより良い商談の進め方を提案できるのではないか——そう考えています。
インハウス時代の私は、支援会社に相談するとき「SEOをお願いしたい」という形で相談していました。しかし本当の課題は、もしかしたらSEOではなくアクセス解析の整備だったかもしれません。お客様が言語化している課題と、本質的に解決すべき課題は必ずしも一致しない。その橋渡しを、営業という立場だからこそできるのではないかと感じています。
実際にJADEでは、SEOのご相談で入った商談で「まずはアクセス解析の基盤を整えてから、SEOに取り組みましょう」という提案になるケースも珍しくありません。こうした柔軟な対応ができるのは、各領域の専門家がチームとして連携しているからこそです。しかし、そのような横断的な提案の可能性に気づき、社内の適切な専門家をつなぎ合わせるコーディネーションは、コンサルタント個人の判断だけに委ねるのではなく、営業の立場から積極的に働きかけるべきことだと考えています。
そうして思い至ったのは、「営業切り込み隊長」が切り込んでいく先は、実は社外ではなく社内なのではないか、ということでした。
さまざまな事情により積極的なご提案が難しかった案件に対して、営業側が社内調整を行い、より良い提案ができる環境を整えていくこと。それこそが、この役職で求められていることなのではないかと、今は考えています。
この役割を担いたいと感じる理由
こう書くと、大きなことを語っているように見えるかもしれません。しかし私には、12年間のインハウス経験で培った一つの強みがあると思っています。それは「お客様側の目線を持っている」ということです。
支援会社に相談するとき、事業会社の担当者がどんな不安を抱えているか。社内稟議を通すために何が必要か。上長を説得するためにどんな言葉が響くか。決裁者がコンサルティングの費用を前に何を考えているか。それらを肌感覚として知っていることは、営業の立場で大きな武器になると信じています。
JADEのコンサルティングは、決して安くはありません。チーム制による品質担保や、各領域の高い専門性に裏打ちされた価格です。その価値に見合うだけのサービスを提供している自信はありますが、それをお客様にどう伝えるかという点では、まだまだ改善の余地があると感じています。コンサルタントが技術的な強みを語り、営業がお客様のビジネス課題に寄り添った文脈で価値を翻訳する。その連携が、より多くのお客様との出会いにつながるのではないでしょうか。
おわりに
正直なところ、この肩書きの真意は、まだ完全にはつかめていません。名前に込められた想いについては、任命してくださった小西さんにいつか改めて伺ってみたいと思っています。
ただ一つ言えるのは、JADEという会社が大切にしている「お客様との誠実な関係づくり」を守りながら、その枠組みの中で営業としてできることを広げていく。それが、私がこれから果たすべき役割だということです。
インハウスから飛び込み、入社10ヶ月目で与えられた、ラダーにも載っていない不思議な肩書き。まだまだ手探りの挑戦ですが、JADEとお客様の間に立つ者として、双方にとってより良い関係が築けるよう、一歩ずつ進んでいきたいと思います。
JADEが掲げる「インターネットをよくする」というミッション。その実現のために、優れたコンサルティングをより多くのお客様に届ける。それが、この肩書きを与えられた私なりの「インターネットをよくする」への貢献です。(終)
【JADEのサービスはこちらです】