
こんにちは、JADEの郡山です。
「AIに指示を出しても、なんとなくしっくりこない」「毎回同じ説明をプロンプトに書き直している」「人によって使いこなし方に差が出てしまっている」。
そんな悩みを抱えたまま、Claudeと向き合っていないでしょうか。
2026年9月17日(木)に開催したウェビナー『はじめてのClaude活用|AI活用の基礎知識と環境づくり入門』では、Claudeに大事な情報を覚えてもらうための環境づくりについて、初心者の方にもわかりやすいようにお話ししました。
本記事では、その内容をダイジェストでお届けします。
この記事でわかること
- AIへの指示で「文脈」が質を左右する理由
- Claudeのメモリとプロジェクトはどこがどう違うのか
- プロジェクトの指示・コンテキストに何を書けばよいのか
- プロジェクト活用のつまずきポイントと解決策
- コネクタ(MCP)がプロジェクト運用を変える理由
- 「1発で完成」を目指さない。AIは繰り返しで育てるもの
- 質を変えるのは「文脈」の情報
- Claudeは何を、どこまで覚えているのか
- プロジェクトとは何か——専用のワークスペースを作る
- プロジェクトに書くべき2つのもの——指示とコンテキスト
- つまずきポイントは4つ
- 関連して知っておきたい2つの情報——スキルとMarkdownファイル
- コネクタ(MCP)——更新し続けるデータを自分で取りに行かせる
- 本日のまとめ
- 参加者の声
- 明日から試してほしい4ステップ
- 【10/22(木)開催】次回ウェビナーのご案内
「1発で完成」を目指さない。AIは繰り返しで育てるもの
ウェビナーの冒頭では、まずAIへの向き合い方の基本を整理しました。

最初にAIを触ったとき、多くの方が「まずやってみよう」と単発の質問や集計を試したのではないでしょうか。それ自体は悪くありません。ただ、もう一歩先に進むには、AIとの関わり方を変える必要があります。AIに指示を出すときは、1発で何かを完成させるというよりも、繰り返し対応しながら完成に近づけていくアプローチが基本です。
出てきた結果に「もっとこうして」「ここが違う」と注文をつけ、情報を追加し、また返ってきたものを評価する。このループを重ねることで、AIはどんどん精度の高い回答に近づいていきます。
質を変えるのは「文脈」の情報
AIへの指示をどう組み立てるか。Googleが提唱するプロンプトのフレームワークを参照しながら、強調したいのが「文脈」の重要性です。

参考:Google AI Essentials | Coursera
参考:【ウェビナー振り返り】指示の出し方で変わるGA4×AI分析:プロンプトの基本とコツ
プロンプトは
- タスク(どんなアウトプットをするか具体手的な指示)
- 文脈(どんな目的で何をしたいのか、対象となるデータはどんな意味や背景を持つのか)
この2つを渡すことで、返ってくる分析の解像度がまるで変わります。
わかりやすい比較として、ウェビナーではこんな例を紹介しました。

- 雑な指示:「先月の購入イベントを分析して」とCSVファイルをぽんと渡す
- 基本を押さえた指示:「あなたはECサイトのアクセス解析担当。先月売上が落ちた要因の仮説を3つ、根拠データと表で出して」
同じデータ、同じモデルを使っていても、指示の書き方ひとつで返ってくる分析は変わります。たとえば「うちのサイトはECサイトで、主力の商品カテゴリはこれで、昨年度の実績と照らし合わせると今調子がいいのはここ」というように文脈を伝えておくだけで、返ってくる回答の中身はガラリと変わります。
毎回長文のプロンプトを書く必要はありません。ただ、最低限の文脈は渡さないと、精度は上がりにくい。これがプロンプト作りの基本です。
Claudeは何を、どこまで覚えているのか
では、Claudeは何を覚えてくれているのでしょうか。ウェビナーでは、この2つの機能を整理しました。
メモリとプロジェクトです。
メモリ——Claudeが「あなた」を覚える機能
メモリは、会話を重ねる中でClaudeが自動的に蓄積していく記憶です。一言も「覚えておいて」と言わなくても、Claudeは使っているユーザーについて学んでいきます。
参考:Claudeのチャット検索とメモリを使用して以前のコンテキストに基づいて構築する | Anthropicヘルプセンター

ウェビナーでは、実際に自分のメモリに何が蓄積されているかを確認してみました。
名前や所属、担当している業務、よく使うツール、進行中のプロジェクトの概要……といった情報が、しっかり記録されていました。
ただし、メモリで覚えられるのは「あなたがどういう人か」という全体像です。
メモリは、使っている私たちのことを理解してくれる自動保存のメモ帳のような機能ですが、各チャットで相談している重要な情報のディティールまでは把握していません。
AサイトのGA4分析、Bサイトの広告LP分析、新卒採用プロジェクト、サイトリニューアルプロジェクト、などなど…Claudeにはいろんな相談を沢山のチャットで投げかけていますよね?
一つ一つのチャットで相談する際、Claudeには目的に沿った重要な情報を把握してもらいたいです。そのような情報はメモリやプロンプトではなく、プロジェクトという機能で渡す方法がおすすめです。
プロジェクト——「案件の文脈」を覚えさせる機能
例えばGA4のデータ分析の文脈として渡しておきたい情報は、たとえばこういったものです。

- 事業・サイトの概要
- KPI・CVの定義
- GA4の計測定義(イベント名、カスタムディメンションなど)
- 広告配信・外部要因
- 過去の施策・結果
- 分析の目的・読み手
これらはサイトごと、案件ごとで異なります。新卒採用とSEO分析では、背景情報がまったく違う。こうした「目的ごとに違う文脈」は、メモリでは拾えません。だからこそプロジェクトに置いておく必要があります。
整理するとこうなります。
- メモリが覚えるのは:あなた(ユーザー)のこと
- プロジェクトに置くのは:案件や目的ごとの文脈情報
プロジェクトとは何か——専用のワークスペースを作る

プロジェクトは、目的や案件ごとに区切られた、Claudeとの専用ワークスペースです。ここで会話を重ねると、過去のやり取りがそのまま蓄積されていきます。
参考:プロジェクトとは何ですか? | Anthropicヘルプセンター
プロジェクトを使わず普通にチャットしている場合、会話ごとに情報はリセットされます。毎回「うちのサイトはこういうサイトで、キーイベントはこれで……」とプロンプトで書く手間が発生します。
プロジェクトがあれば、その文脈を維持したまま、何度でも会話できます。
さらに、チーム以上のプランであれば、プロジェクトをメンバーと共有して利用できます。GA4に詳しいメンバーが作成した前提情報を、経験の浅いメンバーも同じ品質で使い回せる。Claudeを使いこなしている同僚がいても、自分はうまく使えるか自信がないという方でも、同じプロジェクトの中ですぐに会話を始められる。これがプロジェクト共有の大きなメリットです。
また、無料プランでも5つまでプロジェクトを作成できます。まずは気軽に試してみることができます。
プロジェクトに書くべき2つのもの——指示とコンテキスト
プロジェクト画面の右側には、いくつかの項目が並んでいます。初心者がまず触るべきは2つだけです。

(1) 指示——Claudeが動くときのルールを書く
このプロジェクトでClaudeが作業するときのルール・制約・フォーマットを記載します。たとえばこういった内容です。
- 対象サイトはこのドメイン、サブドメインも含む
- 出力はスプレッドシート形式で、保存先はここ
- GA4の探索レポートを勝手に増やさない
- 必ずこの資料を読んでから作業すること
案件固有のルールをここに書いておくことで、毎回同じことを伝えなくて済みます。
(2) コンテキスト——文脈となる資料を置く場所
分析の前提として把握しておいてほしい情報を、ここにファイルやテキストで置きます。具体的には以下のようなものです。
- カスタムイベントの一覧表
- 過去の施策資料
- 事業・サービスの概要資料
- ターゲットユーザーのペルソナ資料
どんな指示を書けばいいのか、どんなコンテキストを置けばいいのか分からなければ、Claudeに聞いてしまうのもひとつの方法です。「こういう目的のプロジェクトを作ったんだけど、どんな指示を書けばいいかな」と会話を投げてみるだけで、たたき台を一緒に作ってくれます。自分だけでゼロから考える必要はありません。

この2つを整えた上で会話を重ねていくと、プロジェクトごとのメモリも蓄積されていきます。そのプロジェクトでよくやることをClaudeが理解してくれるようになり、どんどん使いやすくなっていきます。
つまずきポイントは4つ
プロジェクトは非常に便利な機能ですが、私自身がつまずいたポイントも正直にお話しします。

01指示が長すぎる
とにかく大量の情報を参照させたらClaudeが良い動きをしてくれるわけではありません。レポート作成の手順や禁止事項、作業をする際にまず見るべき資料についてなど、重要なものだけにしぼりましょう。
02資料を詰め込みすぎる
本当に文脈として必要なものはどんな情報か、人が決めて整理して渡すことが大切です。GA4の分析をするのであれば、サイトの概要やURL構造、キーイベントやカスタム設定などをまとめるとよいでしょう。
03用途を1つのプロジェクトに詰め込む
サイトリニューアル・コンテンツ制作・SEO分析をひとつのプロジェクトにまとめてしまうと、何のためのプロジェクトかわからなくなります。用途ごとにプロジェクトを分けてコンパクトに運用しましょう。
04作ったまま更新しない
サイトがリニューアルしてURLが変わったのに、プロジェクトのコンテキストに保存しているURL一覧が古いまま——こうした情報のズレが、むしろミスリードになることがあります。そのプロジェクトに関わる大きな変更があった際は、Claudeプロジェクトで格納している情報の更新もできているのが理想です。
関連して知っておきたい2つの情報——スキルとMarkdownファイル
プロジェクトの作成方法など、Claudeを活用するために学んでいく中で必ずと言ってよいほど目にするようになる用語があります。
スキルについて
参考:スキルとは何ですか? | Anthropicヘルプセンター
スキルは、繰り返し行う同じ作業の手順を登録しておく機能です。毎月の月次レポート作成など、定期的に同じ流れで進む作業があれば、その手順をスキルとして保存しておけます。プロジェクトとは独立して使えるので、普通のチャットでも活用できます。
Markdownファイルについて
Markdown(マークダウン)は、記号で文章に構造を持たせる書き方です。その書き方で書かれたテキストファイルの拡張子が .md です。中身はただのテキストなので、メモ帳でも開けますし専用ソフトは要りません。
# 見出し
## 小見出し
- 箇条書き
- 箇条書き
**強調したい部分**
Claudeのスキル機能は、SKILL.mdというMarkdownファイルに指示を書くことで動く仕様になっています。AIに手順や前提知識を読ませる用途でMarkdownが選ばれているのは、この点でも確認できます。
Claudeのプロジェクトで、さまざまな文脈情報を渡す際にMarkdownの形式で渡せると人もClaudeも理解しやすいので覚えておきましょう。
ただ、PDFなどMarkdown以外のファイルでも格納できるので固執する必要はありません。これから何か情報を整理する時に、「Markdownでまとめて」とClaudeに依頼すると良いでしょう。
コネクタ(MCP)——更新し続けるデータを自分で取りに行かせる
参考:コネクタを使用してClaudeの機能を拡張する | Anthropicヘルプセンター
プロジェクトの最大の弱点は、コンテキストに文脈や背景となる関連情報のファイルを格納した後も、更新しなければならないことです。
プロジェクトに格納した情報が古くなれば、文脈のズレがミスリードにつながります。
これを解決する一つの手段が、コネクタ(MCP)です。

コネクタとは、ClaudeがGoogleドライブやNotionなどの外部サービスに直接アクセスする権限を渡してあげる仕組みです。「Googleドライブのここにファイルを置いてあるから見てきて」「Notionのこのテーブルビューに過去の提案資料が全部あるから、これを前提に分析して」——そんなふうに頼めば、Claudeが自分でデータを取りに行ってくれます。

たとえばNotionに最新のKPI定義やURL一覧を管理している場合、コネクタでNotionと接続しておけば、Claudeは常に最新情報を参照して動けます。プロジェクトのコンテキストに直接ファイルをアップロードし直す必要がなくなります。
JADEでは、Notionに重要な情報を集約して運用しているため、コネクタ経由でClaudeがNotionを参照できるようにしています。
手作業でのファイル更新に限界を感じたら、早めに「このプロジェクトはNotionのこのデータベースを見てから作業する」という形に切り替えるのがおすすめです。私自身もいろいろ試しているところですが、非常にうまくいっています。
コネクタを使うかどうかは社内のセキュリティポリシーの確認が必要ですが、導入できれば手動更新の手間がなくなり、Claudeはいつでも最新の情報をもとに動けるようになります。
本日のまとめ
ウェビナーの内容を3点に整理します。
1. メモリが覚えるのは「あなた」。案件の前提まではカバーできない。
Claudeのメモリは、使っているユーザーについて自動で学ぶ機能です。しかしサイトごとの計測定義やKPI、案件固有の文脈はメモリでは把握しきれません。正確さと網羅性が必要な情報は、自分でプロジェクトに置きましょう。
2. プロジェクトを目的ごとに作り、目的ごとに最適化したClaudeを育てる。
プロジェクトは1つ作ればすぐ使えるものではありません。指示とコンテキストを整えて、会話を重ねながら育てていくものです。Claudeを育てるような気持ちで、まず1つ試してみることをおすすめします。
3. コネクタでNotionやGoogleドライブに情報を集約し、管理コストを下げる。
プロジェクトに直接ファイルを置く方法では、更新の手間が発生し続けます。コネクタを使えば、Claudeが自分で最新情報を取りに行けるようになるので、導入を検討しましょう。
よい分析は、よい前提から。その前提を整備する環境を、少しずつ作っていくことが大切です。自分の目的に最適化されたClaudeが欲しい、と思う場面はこれからますます増えていくはずです。先につくっておいて、使いやすく育てたら、ぜひ同僚にも紹介してみてください。
参加者の声
ウェビナー後のアンケートでは、ご参加いただいた方全員が「役立ちそうだ」以上と回答してくださいました(うち7割は「非常に役立ちそうだ」)。いただいた感想の一部をご紹介します。
「GeminiやNotionAIを普段利用していますが、Claudeはとっつきにくく使えていなかった中、丁寧に説明いただき非常にわかりやすかったです」
「そろそろClaudeを活用しようと考えていたところで、今回のセミナーを知りました。いま知りたいことが詰まった内容で、とても有益でした。さっそくClaudeとプロジェクト機能を活用します」
「チャットでしかClaudeを使えておらず、力を全然活用できていないと思っていました。まずはプロジェクトを一つ立ち上げて、使ってみようという気持ちになれました」
「プロジェクトを使い出したところだったので、組み立て方が参考になりました」
明日から試してほしい4ステップ
- まずメモリを確認する:「Claudeはメモリでどんなことを覚えていますか」とClaudeに聞いてみましょう。間違っていることがあれば「違うよ」と直してあげましょう。
- プロジェクトを1つ作る:今最もよく分析している案件やサイトに絞って1つ作ってみましょう。
- プロジェクトに自社の前提情報を置く:事業概要・CV定義・イベント定義など、わかる範囲でまずは書いてみましょう。完璧を目指さず、Claudeに相談しながらMarkdownファイルにまとめてもらうのもおすすめです。
- プロジェクト内で普段の質問をしてみる:いつも投げかけている質問を、プロジェクト内のチャットでやってみてください。文脈が引き継がれた状態で返ってくる回答は、これまでとどう違うか体感できます。
Markdownファイルの作り方も、コンテキストの書き方も、「このプロジェクトはどんな指示とコンテキストが必要かな」とClaudeに聞けば一緒に作ってくれます。ゼロから一人で考える必要はありません。
【10/22(木)開催】次回ウェビナーのご案内
「Claudeのプロジェクトに何を書けばいいのか」、ぜひご参加ください。