広告運用者として備えておくべき未来とスキルポイントの振り方

AIの進化に伴う広告運用の変化と、これからの運用者に求められるスキルを解説します。また、JADEのような環境がスキルアップとキャリア形成にどのように貢献できるかについても触れています。

はじめましての方も二度目まして以降の方もこんにちは。田中と申します。

僕は Yuwai 株式会社という会社で、事業主に運用型広告をメインとしたデジタルマーケティングの支援を提供したり、広告運用者に対する研修やトレーニングのお手伝いを行っています。

僕のことを知っている方からすれば、おっ?いよいよ田中が JADE にジョインしたのか?と思われると思いますが、ジョインしていないです。ごめんなさい。JADE のみなさんからは、どこかで顔を合わせるごと、二言目には雇用契約書をお送りしますねと言われ続けており、これまでずっとかわしてきましたが、いよいよ逃げられなくなったので、その代わりに寄稿という隠れ蓑を発動しました。

というのは半ば冗談なのですが、方々で「良い人材はいないか?」とお声がけを頂くことが多い一方で、僕にはご紹介できるような人材がいない。それであれば、広告運用者のキャリアを形成する上で JADE と言う選択肢もあるよということをお伝えできれば良いなと思い、キーボードを叩いています。壊れない程度にほどほどに。

【もくじ】

 

AIがすべてを変えた、広告運用のこれから

実は2022年の12月に個人の note で、キャリア形成はスキルポイント制 RPG と似ているといった趣旨の投稿をしていました。

note.com

ただこの投稿をしたころから OpenAI の ChatGPT が話題を集め始め、それからおおよそ2年経ったいま、世の中の流れは生成 AI の活用へと劇的に変化しました。それは生成 AI を使おうといったユーザーの行動を起こすことだけではありませんでした。各企業が生成 AI の性能を上げるために切磋琢磨、結果として本来リソース割くべきものに対する優先順位がガラッと変わってしまい、ちょっと混沌としているのが今のような気もしています。

話がそれました。

今の運用型広告の仕組みは AI ファーストの仕組みになっています。収集されたデータは機械学習で処理し、高い精度のターゲティングや自動入札に活用されていたり、(日本ではまだこれからですが)生成 AI で広告テキストの訴求を生成したり、プロンプトで画像のクリエイティブを生成したりできるようになってきました。

一昔前はすべて手動で行っていた部分が AI にどんどん置き換わってきています。極端な表現ですが、将来的に広告運用と呼ばれるものは、クリエイティブやオペレーション面も含めてほぼ全自動化していくのだろうと思っています。しかもあと数年のうちには。

 

広告運用者としてのキャリアを考える

前述のように、運用型広告に AI が組み込まれていけば行くほど、この業務に従事する運用者がやれることはほとんど無くなっていくのだろうと思います。事実、一昔前に比べれば手を動かす部分はだいぶ減ってきました。

一方で、仕組みが複雑化したりブラックボックス化の進行も気にするべき点です。これによって仕組みに対する理解が難航したり、動かせるレバーが減ってコントロールが難しくなったり、機械学習に必要なデータをどこからどうやって与えるか、そのデータの質はどう担保するかといった部分においては難易度が非常に高くなりました。何となく本質じゃないところに労力を割かれるようになってきている感じがします。

広告を届けるべき人の顔を思い浮かべるというよりも、どう手を動かしたら広告システムが良い感じに広告を配信し広告費用対効果を高めてくれるのか、気がついたら媒体の広告システムの顔色をうかがっている感じです。

とはいえ、広告で大きなリーチが行える主力の広告媒体の Google や Meta、Yahoo! や LINE などから代替できる広告媒体はそうそうありません。システムの仕組みがそうなってきている以上、広告運用者としては、これにどう向き合っていくかを考えていかねばならないでしょう。

 

広告運用者が将来的に求められそうなスキル

では、広告運用者としてこれらだけに向き合っていれば良いか?で言うとそうではないと考えています。僕が思うに、これからの広告運用者は次のようなスキルが必要になってくるのだと思います。

ここからは思いついた項目を列挙してみたいと思います。

 

広告システムの仕組みの理解

例えば、Google 広告の P-MAX はどのようなデータを元に、何をどのように評価して、どのように各チャネルに予算を配分しているかといった仕組みの理解です。仕組みの理解がないと、特定のキャンペーンタイプで行った施策に対する仮説立案からの検証だったり、その事象に再現性があるのかどうか?の判断だったり、なぜそこで急激に高い価格で入札を行ったのか?など、その先の施策立案や実行、データの読み解きかたに誤りが起きかねません。

 

学習データのディレクション

広告運用者が広告媒体のシステム上で触れるレバーがなくなっていく一方で、どのようなデータをどのようにして用意する必要があるのか、そしてどのようにインプットするのかが重要になってきました。

P-MAX のオーディエンスシグナルには何をインプットするべきか、近年推奨される Value-Based Bidding ではどのような値をどのようにしてインポートさせるかなどのディレクションが重要になってきています。

このあたりの仕組み化は仕組みを知る広告運用者しかディレクションができません。

 

プライバシー保護に関する法律や技術への理解

運用型広告を取り巻く環境の中で、個人情報保護やプライバシー保護に関する各国の法律、それに対する技術への理解に対する重要性が高まっています。

各広告媒体のシステムがファーストパーティデータの活用を推奨する中、ファーストパーティデータ収集のために守るべき法律、プライバシーポリシー改定に必要なコミュニケーションの理解は必須になります。さらには個人情報のハッシュ化とはどういうことか?といった技術に関する知識まで求められる事も増えました。

これも広告側特有の事情なので、広告運用担当者が説明できないといけないものです。

 

検索エンジンの仕組み

我々広告運用者は検索広告を利用していることが多いはずです。では、その検索エンジンの仕組みって理解できているでしょうか?

Google の動的検索広告は Google が持つインデックスのデータを活用していますし、ショッピング広告で連携する Google Merchant Center における商品データのチェックには Googlebot というクローラーを使っているので、これらの広告のトラブルシューティングには、検索エンジンの仕組みへの理解が必要になっています。

 

高度化するタグマネジメント

これは運用型広告に限ったことではありませんが、Google 広告や Google アナリティクスで用いられる Google タグ、Meta 広告の Meta ピクセル、Yahoo!広告のサイトジェネラルタグなどは以前に比べると実装の難易度が高まりました。

運用型広告の計測タグはベースコードのタグとイベント計測コードのタグが分かれている仕組みが主流になってきました。それぞれのタグの実行順序を気にしないと正しく測れなかったり、イベントコードをカスタマイズするために要件定義や設計が必要になったり、Google タグマネージャーでイベント値を取得して計測するための技術的実装が必要になったり、かなり高度化してきています。

その上、異なるドメイン間でクロスサイトトラッキングを行うためのクリック ID や Cookie の扱い方、Single Page Application(SPA)で構築されたページにおけるタグマネジメント、Cookie 同意バナー導入時の Cookie コントロールなども求められる事がとても増えてきています。一方で、これらの課題に対し、顧客側がすべて理解して対応できるわけでは無いため、ディレクションできる人材はそう多くはありません。

タグマネジメント一つをとっても、その実装をディレクションを行うためのテクニカルな知識やコミュニケーション能力が必要になってきています。

 

データの集計と統計処理

Google アナリティクスや Google Search Console など、BigQuery へエクスポートすることでデータの集計が簡単になるような仕組みが整ってきました。

耳を疑いたくなる話ですが、Google Search Console では BigQuery にエクスポートしないとみることができないデータが存在することも事実です。

また、モニタリング及びアドホックな分析をきちんとやろうと思えば思うほど、各種管理画面でのレポート機能や UI の成約から思ったような集計ができないというジレンマに陥ることも増えてきています。

必ずしも BigQuery にデータをきちっとエクスポートできる仕組みを作って、思ったレポートを集計できるようにする事を目標するべきとは思いませんが、仮説検証のためにどのような集計をするべきか?を考えたときに BigQuery を利用した方が良い場面の方が多いので、このあたりの知識や経験を持っておくと良いでしょう。

 

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ちなみに、JADE が提供するサービス Amethyst を利用すると、面倒な仕組み化を行わなくてもデータのモニタリングやアドホックな分析が容易にできるので、これらの分析にちゃんと向き合おうと考えている方は導入を検討してみてください。ファウンダーの長山さんがあれやこれやを親切丁寧におしえてくれるはずです。

amethy.st

 

ECのカートシステムに関する知見

広告と小売りは以前から相性が良いとされてきました。それは事実ですし、将来的にも広告と小売りの相性はずっと良いままゆくはずです。そのため、小売業者向けの広告としてショッピング広告(または商品広告)は各広告媒体が引き続き注力していくと考えられます。

そうなったときに、商品データソース(商品フィード)や商品カタログのデータ自体の最適化をどのように進めていくかが問われますが、この点に関しては利用しているカートによってどこまでできるか、カートの仕様ごとに考慮すべき課題などが異なります。

近年人気の Shopify であれば、基本機能が充実している一方で、高いカスタマイズ性からそのECサイト特有の問題が発生することも多く、広告で成果を出すためのカスタマイズやトラブルシューティングのために高度な知識が求められます。

その反面、カスタマイズ性が高くないカートであればECサイト固有の問題は起きにくくなりますが、カスタマイズが難しいので商品データソースの最適化のために外部ツールを導入しないとならないなど成約は受けがちです。

カートの特性、媒体による商品情報のチェックの仕組み、広告効果を高めるための最適化(技術的な課題や人的な仕組み作り)のためのディレクションなど、求められる知識やスキルは高度かつ多岐にわたってきています。

 

広告クリエイティブの作成やディレクション

広告バナーや動画などの制作や編集は、ひと昔前では Adobe の Creative Cloud といったサービスを契約し、ソフトフェアをパソコンにインストールして作業をすることが一般的でした。

今では Canva のように Web ブラウザ上である程度制作や編集ができる環境が整ってきたうえ、生成 AI を活用するシーンも増えてきており、クリエイティブの制作はデザイナーだけのものではなくなってきています。なんなら、広告媒体のシステム上に生成 AI が組み込まれる時代です。便利になったものです。

つまり、クリエイティブ分野における仮説の立案、クリエイティブの制作、仮説の検証までを広告運用者自身ができてしまう環境が整ったと言えます。さらにいうと、広告運用における入札やターゲティングはほぼ自動化されているため、クリエイティブ勝負となる機会も格段に増えてきています。

そうなったときに、少なからずデザインに関する知識を持ち合わせているのとそうでないのとでは大きく差が開くようになってきたと強く感じます。

 

実店舗集客に関する知見

OMO(Online Merges with Offline)という概念が広がってきたこともあり、オフラインとオンラインをデジタルでどう繋ぐかというのも近年ホットなテーマになっています。

店舗集客という視点では、Google マップを活用した施策としてのローカル SEO が注目されています。これは Web サイトのコンテンツをどうするべきかという従来の SEO とは異なり、Google ビジネスプロフィールというサービスをどう運用していくかという視点や知識などが高く求められてきています。

特に Google はそこにショッピングの要素も加えて、店頭商品在庫との連動も推奨してきており、これを実施するために Google ビジネスプロフィールだけではなく Google Merchant Center やオンラインカートシステムとの連携に関する知識やスキルも求められるようになってきました。

 

その他

その他にも挙げればキリがないのですが、運用型広告で高い成果を出すというよりは、デジタルマーケティング全般における知見が求められることが増えてきたように思います。

事業主側のマーケティング担当者は常に広告の領域を見ている訳ではなく、SEO の領域だったり、アクセス解析だったり、CRM だったり多岐にわたります。

ゆえに、これからは広告の文脈だけで話ができる広告運用者よりも、デジタルマーケティング全般を俯瞰して見ることができる担当者、もしくはチームであることに高い価値が見いだされると思います。

AI によって広告システムが進化したことで、管理画面の中でできることはかなり減ってきましたし、今後も減っていくしブラックボックス化はしていくのだと思います(詳説は割愛しますが、広告媒体側からすればレバーを減らしてブラックボックス化した方が収益性も高まるからです)。

と、先々の未来を想像したときに、広告運用者としてどのようなスキルにポイントを振っていくか?というのは今のうちに計画しておかなければいけません。RPGでいうスキルリセットシステムもなければ、取り返しのつかない要素を取り逃がしても回収できる周回システムは、今を生きる人生ゲームにおいては実装されていないので。

 

スキルを伸ばすために、どこで経験を積むのかが大切

ここまで挙げたようなスキルにポイントを振ろう!となった場合に、どの環境で経験値を積んでスキルを伸ばしていくかはすごく重要なポイントになります。

東進ハイスクールで講師をされている林修先生は「努力」についてこう言います。

 『努力は裏切らないという言葉は不正確だ。正しい場所で、正しい方向で、十分な量なされた努力は裏切らない』

つまり、スキルを伸ばすために知識を蓄えたり経験を多く積むことは大切ですが、それは正しい場所かつ正しい方向で十分なす必要があるとも言えます。

そこで、広告運用者として成長し続けるための正しい場所とは?という話になるのですが、僕が知る限り最高の環境で働き、経験を積める場所のひとつがこの JADE だと思っています。

言わずもがな、JADE には高いレベルの専門家がアベンジャーズのごとく集結しており、彼らと一緒に働くことができる素晴らしい環境だと思います。JADE のアベンジャーたちから直接指導を受けたり、プロジェクトに取り組むことで自身のスキルアップに大きくつなげられます。

広告運用に加えて特定の分野にスキルポイントを振ってスペシャリストになることもできますし、幅広い分野にスキルポイントを振り分けてジェネラリストを目指すこともできます。いずれにしても将来的には、運用型広告の運用者の中でもトップレベルで活躍できるようになれる場所です。

一方で、人間が活動できる時間は有限で、人の能力や割り振れるスキルポイントには限度があります。そこで出てくるのがチームという概念です。RPGだって様々な特性をもった仲間と旅をしますよね。

繰り返しにはなりますが、JADE は高いレベルの専門家に囲まれながら経験を積み、スキルを高め、自分の強みや弱みをチームで補いつつ高いレベルのサービスを顧客に提供し、共に成長を実感できる場だと思います。

転職を検討中であれば、JADE はぜひお勧めしたい会社でありますので、ちょっと気になるみたいな気持ちになったらカジュアル面談を申し込み、まずは話を聞いてみるのもいかがでしょうか?

もし、あなたが、AI 時代でも活躍できるスキルを身につけ、市場価値の高い広告運用者を目指したいのであれば、JADEは最適な環境を提供してくれるでしょう。

 

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ja.dev