聞こえると震えてしまうSEOに関わる10の死語【2024】

どのジャンルにおいても、一時期主流だった用語や手法でさえ、時代とともに「死語」になることがあります。本記事では、かつてSEO担当者たちが注目した10の用語を紹介。text-indent: -9999pxの忍術からグルメなパンダまで、SEOの歴史を彩る用語の意味と変遷を解説します。SEOの過去を振り返り、その本質を再確認する旅にお付き合いください。

こんにちは、JADEブログ編集部です。

ある日、こんな投稿を拝見しました。

JADEはんに書いてもらいたい、と言われたら書かないわけにはいきません。て言うか書きたい。

社内チャットで「SEOの死語募集。集まれば記事化します。」と依頼したところ、瞬時に集まりました。どこか鼻の奥がツーンとなるワードから、記事化できそうにない香ばしいワードまでその数30強。定員オーバー。

世界は常に変化し、かつては絶対的だと信じられていた手法や概念でも、懐かしい思い出となるものもあります。インターネットを良くするために、知識は正しい方向にアップデートしていかねばなりません。

歴代のSEO戦士たちの苦労と工夫、そして時代とともに進化してきた検索エンジンの姿が、この記事から郷愁とともに浮かび上がります。レコードのA面B面よろしく、2方向からの解説になってますので最後までお付き合いください!

 

【死語の世界】

 

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CSSで使用されるテクニックのひとつ。テキストを左マージンの外側に大きく移動させることで、視覚的にウェブページ上から消失させ、HTMLの構造上はテキストが存在し続けることに。

ロゴやボタンなどの画像要素に対して、SEO的に有利なテキストを付与したり、スクリーンリーダーユーザーに追加情報を提供したりといった目的で使用された。

しかしパフォーマンスに悪影響を与える可能性があるのと、また過剰に使用するとSEOスパムと見なされる危険性をはらんでいた。

 

ウェブデザイナーによる忍術。テキストを画面外のはるかかなた(左に9999ピクセル)に追いやる魔法の呪文である。

「消えろ!でも本当は消えないで!」という、デザイナーの矛盾した欲望から生まれたと言われている。人間の目には見えないが、検索エンジンには見える、いわばステルス戦闘機。

SEOに効くと得意げに使っていたが、Googleには「そんなに隠したいなら、検索結果からも隠しておくね」と言われそうで常に冷や汗だったとか。

 

共起語

特定のキーワードと一緒に頻繁に使用される単語や語句を指す。

SEOの文脈では、ターゲットキーワードに関連する共起語を適切に使用することで、コンテンツの関連性と質を向上させる手法として注目された。この概念は、検索エンジンが自然言語処理や意味解析の能力を向上させるにつれて、重要性を増したとされている。

しかし、過度に意識して使用すると不自然な文章になるおそれがあるため、現在では自然な文脈での使用が推奨されている。

 

キーワードに仲間を集結させる、お友だち大作戦。「コーヒー」には「豆」「カフェイン」「ブレンド」といったお友だちが集結してしまうものだから、当時「コーヒー豆のカフェインたっぷりブレンドで朝のコーヒータイム」を嗜まれていた方の何と多かったことか。

かつてはGoogleに気づいてもらう秘訣として熱狂的に使われたが、やりすぎて不自然な文章が大量発生し、Googleも「そんなに頑張らなくていいよ」と徐々に引いていったという噂も。今では「無理に使わなくても、自然に書けばOK」が常識とされている。

 

内部リンク集中

特定のページの重要性を高めるために、サイト内の多くのページからそのページへリンクを張る SEO 手法。

ページランクの概念に基づいており、内部リンクを通じてリンクジュースを特定のページに集中させることで、そのページの検索順位向上を狙う。

しかしながら、過度な内部リンク集中は不自然とみなされ、現在ではユーザーの利便性を考慮した自然な内部リンク構造が推奨されている。

 

ウェブサイトの「水道管工事」。特定のページに「検索エンジンジュース」を集中させる配管技術である。

多くの配管工が「この蛇口とその蛇口とあの蛇口をひねりまくれば、目当てのページが勢いよく吹き出すぞ~!」と意気込んでいたが、Google水道局に「水圧が不自然すぎてアウト」と指摘される事態に。

今では「自然な水流を心がけましょう」が業界標準なので、無理に水を集中させるより、サイト全体でまんべんなく潤う設計が好まれる。過度な内部リンク集中は、「素人工事の痕跡w」と笑われているかもしれない。

 

更新頻度

ウェブサイトにコンテンツが新しく追加されたり、既存のコンテンツが更新されたりする頻度のこと。

高い更新頻度が検索エンジンのクローラーの訪問頻度を上げ、サイトの鮮度や重要性を示す指標になると考えられていた。現在では、単なる更新頻度よりも、コンテンツの質や関連性が重視されているのはご存知の通り。

検索エンジンのアルゴリズム進化により、更新頻度は他の多くの要因の一部として扱われるようになった。過度に頻繁な更新よりも、有意義で価値のある更新が重要視されている。

 

ウェブサイトの「おしゃべり度」。「毎日何か言わなきゃ」と、まるでSNSに依存した10代の若者のようなサイト運営者がなんと多かったことか…!

「黙ってると気づけてもらえなくなる」と信じ、中身のない独り言を連発するサイトも。Googleさんも「そんなに話さなくていいから、面白い話があるときだけ教えてね」と引き気味だった。

今では「発言の頻度より中身」。黙々とクオリティを磨く職人肌のサイトが評価される時代に。毎日更新に固執するより、たまの更新で「久しぶりだけど良いコンテンツだなー」と思わせる方が、おしゃべり過ぎなくてクールかも。

 

成果報酬

SEOに限った用語ではないが、具体的な成果に応じて報酬を支払うビジネスモデル。

SEOの場合は検索順位の上昇や集客数の増加などが成果指標だった。クライアントにとっては一見リスクが少なそうで魅力的に映るが、短期的な結果を追求するあまり、グレーハットやブラックハットSEOの手法が使用されるという高リスクに侵されている。

検索エンジンのアルゴリズムの複雑化により、特定の成果を保証することは困難に。現在では、持続可能で質の高いSEO戦略の重要性が浸透し、この報酬体系は減少傾向にある。

 

「順位が上がらなければお代はいただきません!(`・ω・´)キリッ」どこかダイエット広告ともイメージがかぶる、甘い誘惑のビジネスモデル。

かつては「リスクなし!」と喜ばれたが、実は「危険な急激ダイエットからのリバウンド」並みの副作用が。「とにかく順位上げろ」の精神で、Googleの怒りを買うような裏技を連発してクライアントのサイトにペナルティの危機が発生することも。

今では「健全な食生活と適度な運動」的なSEO対策が主流で、「魔法のダイエット」を信じるより長期的な「デジタル健康管理」にシフト中。

「◯◯だけダイエット」に成功した人、あなたの周りには何人いますか?

 

rel="prev", rel="next"

複数ページに分かれたウェブコンテンツの前後関係を示すためのHTML属性。たとえば

  1. 1ページ目:次のページへのリンクに rel="next" を設定
  2. 間のページ:前のページへのリンクに rel="prev"、次のページへのリンクに rel="next" を設定
  3. 最終ページ:前のページへのリンクに rel="prev" を設定

これにより、検索エンジンがページの順序を理解しやすくなると考えられていた。しかし2019年3月にGoogleは、これらの属性をインデックス作成の参考にしていないことを公表。

現在ではSEO観点では不要とされているが、ユーザビリティやアクセシビリティの面では依然として有用とされることも。

 

ウェブページの「前へ」「次へ」ボタンにつける、Google向けの道しるべ。「ここが1ページ目で、こっちが2ページ目だよ」と丁寧に教えてあげる親切設計で、SEO界隈では「これさえあればGoogleが迷子にならない」と信じられていたが、真相は衝撃的なものだった。

2019年、Googleの「見てなかったけど?」という爆弾発言によりSEO担当者が「今までの努力は…」と肩を落とす事態に。今では「つけてもつけなくても、Googleは賢いからね」が定説に。

 

サーチコンソールのリンクレポート

Googleサーチコンソールで提供されていた、サイトへの外部リンク情報を詳細に表示する機能。リンク元のページ数、ドメイン、アンカーテキストなどの情報が確認できた。

多くのSEO担当者が毎日このレポートをチェックし、バックリンクの変動を細かく追跡していた。

2021年8月に廃止され、簡素化されたリンクデータに置き換えられた。この変更により、SEO実務における外部リンク分析の手法は大きく変化した。

 

SEO界の「人気度チェッカー」。「誰がうちのサイトにどれくらいリンクしてくれたか」を細かくカウントする、デジタル版友だち数調べ。

昔のSEO担当者は「毎日リンクを数えるのが日課だった」と自慢げに語る。2021年にGoogleが「そこまで細かく数える必要ないよ」と言って簡略化され今や「リンクの数より質」が合言葉。かつての「リンク数え」は、「365日半袖半ズボンで学校に通った」レベルの武勇伝になってしまった。

 

ファインダビリティスコア

2000年代中頃に提唱された、ウェブサイトの「見つけやすさ」を数値化する指標。

検索エンジンでの表示順位、ソーシャルメディアでの言及度、ブックマーク数などの要素を組み合わせて算出され、SEO担当者の中には、この指標の向上に熱心に取り組む者もいた。

しかし、要素ごとの指標が単純で重みづけがなく、順位ごとの差分を表現するのが難しかったのに加え、検索エンジンのアルゴリズムと検索結果UIの進化、スマートフォンの登場により、そこまで深く浸透することはなかった。現在では、より直接的な指標が一般的に使用されている。

 

「俺らの人気度を数値化しようぜ。ポイント上げればモテるはず」と、クラスの誰かが言い出した。

「髪型+服装+運動神経×0.5+面白さ÷2=俺の人気度!」みたいな軽い数字をこねくり回した計算式で、「86点!モテそう」「64点!論外」「95点!なんでモテない?」皆が必死にこの数値を上げることに躍起になってたあの頃ーー。

熱心なSEO担当者は「うちのサイトの人気度は89点!」と自慢げに言い歩いていたが、周りは「数字良ければ彼女できるのか?」「人気の差、そんなにあるかなあ?」と冷ややかな目線。

今じゃ「ファインダビリティ?あー、けっこう前に流行ってたね~、懐かしい」と大人に成長した同級生からも言われる始末だとか。

 

(記事)量産

SEO対策の一環として、大量の記事を短期間で作成・公開する手法。検索エンジンのインデックス数を増やし、さまざまなキーワードでの検索結果表示を狙った。

多くのSEO担当者が記事作成に没頭し、「1日100記事」などの目標を掲げることもあったサイトもあったとかなかったとか。

しかし、Googleのアルゴリズム更新により、量より質が重視されるようになり、この手法の効果は薄れた。現在は、ユーザーにとって価値のある高品質なコンテンツ作成が主流となっている。

 

SEO界のジオン公国には、かつて量産型ザク式記事で宇宙を制覇しようという目論見があったーー。「数こそ正義」と没個性な記事を大量生産。

しかし、Googleというアムロに「質こそ正義」と諭される。今では「量産型ザクより、シャア専用ザク」が合言葉。赤く塗って性能3倍の記事で勝負する時代になった。

ただし、見てくれだけでは「なんちゃって赤い彗星」がすぐにバレて撃墜されるので要注意。SEOも、量産からエース級品質の時代に突入している。

 

TBPR(ツールバーページランク)

Google が提供していた、ウェブページの重要度を0から10の数値で表す指標。ブラウザのツールバーに表示されたことから、この名称がついた。

ページランクアルゴリズムに基づき、リンクの数と質をもとに算出された。多くのSEO担当者は不定期に変わるこの数値に一喜一憂していた。

2016年に完全廃止されるまで、サイトの評価指標として広く使用されたが、更新頻度の低さや悪用の増加により、その信頼性は徐々に失われていった。

 

0から10の星でサイトの価値を格付けする、Googleお墨付きのランキング制度。

「うちのサイトは三ツ星獲得!」と、まるで某ミシュラン掲載店のシェフのように誇らしげなSEO担当者が続出。しかし、サクラレビュー製造という名のスパムサイトが高評価を量産し始め、信頼性が徐々に落ちる。

2016年、ついに「星の数なんて主観的すぎるよね」とGoogleが格付け廃止を宣言することに。今では「TBPRで満点だった」という自慢話は、「かつて流行った伝説のレストラン」の思い出話レベルかも。

 

ウェブマスターツール(現:サーチコンソール)

Googleが提供する、ウェブサイト運営者向けの無料ツール。2006年に「ウェブマスターツール」として登場し、2015年に「Search Console(サーチコンソール)」に名称変更された。

サイトのインデックス状況、検索クエリデータ、クロールエラーなどの情報を提供し、SEO施策に不可欠なツールとして広く利用されている。

名称変更後も機能は継続的に拡張され、モバイルフレンドリーテストやリッチリザルト対応など、時代のニーズに合わせた機能が追加されている。

 

2006年デビュー時以来まさにウェブマスターの必携ツール。WebMasterのツールなのかWebのマスターツールなのかはさておき、SEO担当者の万能ナイフ的存在。

最初は「インデックス数チェック」という1本のシンプルな刃だけだったのが、どんどん機能が増えて、今や「サーチコンソール」という名の超多機能ナイフに進化。

名前が変わった時は「えっ、愛着のある呼び名が…」と戸惑ったけど、中身は相変わらず頼れる相棒のまま。刃の数は増えても、ポケットにすっぽり収まるコンパクトさは健在。名前は変わっても、ウェブマスターの心を掴んで離さない、永遠の万能ナイフなのだ。

 

パンダアップデート

2011年2月に初めて実施されたGoogleの検索アルゴリズムの大規模更新。

目的はコンテンツの質を重視し、低品質なコンテンツを多く含むサイトの検索順位を見直すこと。とくに、内容の薄いコンテンツ、重複コンテンツ、広告過多のサイトなどが影響を受けた。

このアップデートにより、多くのウェブサイトの検索順位が大きく変動し、SEO業界に大きな影響を与えた。その後も定期的に更新され、現在ではGoogleのコアアルゴリズムの一部となっている。

 

「超グルメなパンダ」の存在が確認されたのは2011年のこと。SEO担当者たちは一気に腕を磨くシェフに方向転換することとなる。

パンダの大好物は「ユーザー目線の栄養満点コンテンツ」なので、薄味の記事や同じような味付けばかりのサイトは、舌には合わなかった。パンダが登場したおかげでウェブサイトは格段においしくなった。ユーザーにとって本当に価値のある情報を提供するレシピを、世界中が学んだのだから。

パンダが教えてくれた「ユーザーファースト」のレシピは、今のSEOの基本。グルメパンダが登場していなかったら、今見ているウェブの景色も匂いも違うものだったかもしれない。

 

ペンギンアップデート

2012年4月に実施されたGoogleの検索アルゴリズムの大規模更新。主に不自然なリンクプロファイルを持つウェブサイトを対象とし、スパム的なリンク構築手法の抑制を目的としていた。

過剰な相互リンク、低品質サイトからの大量のリンク、アンカーテキストの過剰最適化などが影響を受けた。このアップデートにより、多くのウェブサイトの検索順位が変動し、SEO業界のリンク構築手法に大きな変化をもたらすことに。

2016年9月にGoogleのコアアルゴリズムの一部となり、リアルタイムで動作するようになった。

 

2012年、ウェブ大陸におけるリンクの氷河を調査するペンギンの群れが突如として出現。それに合わせSEO担当者たちもウェブ地質学者への転身を余儀なくされた。

ペンギン調査隊が求めたのは、人工的に積み上げた脆いリンクの氷や、同じパターンばかりの氷の層ではなく「自然で堅固なリンクの氷河」。

ウェブ地質学者たちは、価値あるコンテンツという堅い基盤の上に、時間をかけて自然に形成されるリンクの地層を作り出す技術を、知ることとなった。ペンギンが教えてくれた「自然なリンクの地層形成」の考えは、今のSEOでも踏襲されている。

この真摯なペンギン調査隊が現れていなかったら、今のウェブは人工的で脆弱なリンクの氷河だらけだったかもしれない。

 

マット・カッツ

2004年から2016年までGoogleの検索品質チームで働いたエンジニア。

「Googleのスパム対策の顔」として知られ、ウェブマスターとGoogleの橋渡し役を務めた。ウェブマスターガイドラインの策定やGoogle ウェブマスターセントラル(現サーチコンソール)の立ち上げに貢献。多くのSEO担当者が彼の言動を注視していた。

SEOと直接関係ないものの、「30日間チャレンジ」での彼の言動行動は人間味ある存在としてあまりにも有名。退社後も、SEO分野で尊敬される人物として知られている。

 

2004年、SEOの世界に現れたガイド役。Google社の「スパム対策お助けマン」として、荒波のようなスパムからウェブを守り、正しい方向性を示してくれる存在だった。

彼の言葉は、SEO担当者たちの道しるべとして重宝され、人間味あふれる一面を示したのが有名な「30日間チャレンジ」。30日間毎日新しいことに挑戦する姿勢が多くの人々を魅了した。SEOに関しては、「質の高いコンテンツこそがユーザーへの近道」という彼の教えが、今でも多くの実務者の指針となっている。

「サイトリンクが表示されるようになったよ」と新機能を紹介したり、「低品質リンクには要注意だ」と警告を発したりと、彼の発言はいつもSEO界隈の話題の中心だった。Google社を去った今でも、彼が示した「ユーザーファースト」の考え方は、SEOの世界で生き続けている。

 

【10年後の死語になるまで】

この記事で取り上げたトピックを過去の遺物と言ってしまうのは簡単です。とはいえ、かつての熱狂や苦労を思い出し、苦笑いしたり懐かしんだりしながら、SEOの本質を再確認できた気がします。

それは、ユーザーファーストの精神であり、質の高いコンテンツを作り続けることの重要性です。技術は進化し、アルゴリズムは変わっていきますが、ユーザーに価値を提供するという根本的な目的は変わりません。

これからのSEOも、きっと新しい概念や手法が生まれ、そしてまた死語になっていくことでしょう。でも、それも全て、良いインターネットを作るための過程なのかなと思います。

明日からまた新しいSEOの歴史を作っていきましょう。10年後、20年後、今の私たちの奮闘が誰かの懐かしの死語として語られる日まで!