その数字、成果ですか? 発信を「振り返れる」状態にする

コンテンツ施策の効果が分かりにくいと感じていませんか。JADEでは散らばった数字を1つのDBに集約し、発信と結果を毎週同じ時間軸で振り返れる仕組みをClaudeで構築しました。継続して運用でき、壊れたら気づける監視のポイントもご紹介します。

こんにちは、日西です。

この記事は「コンテンツ施策の成果がよく分からない/数字が散らばっていて振り返れない」と感じている、マーケ・編集・PMの方向けです。1本(1つのビュー/1枚の表)で振り返れる状態を作るために、何をどう変えたかを、できるだけ再現可能な形で書きます。

先に全体像だけ置くと、こんな変化でした。

  • Before:数字が散在/作業が人依存/欠損しても気づけない → 「効いてる?」に答えられない
  • After:数字を1か所に集約+更新ガード+監視 → 毎週、同じ時間軸で“行動→結果”を振り返れる

メディアやコンテンツをやっていて、いちばん難しいのは、「これ、効いてるんだっけ?」に答えることだと思っています。

発信は、毎週いろいろやっている。記事を出して、SNSに投稿して、動画を撮って、ニュースレターを送って。でも、その一つひとつが何を生んだのかを、ちゃんと結びつけられているかというと、正直あやしい。

そもそも発信の成果って、すぐには出ないし、1つの数字にもなりません。遅れて、いろんな経路に分かれて、間接的に効いてくる。だから、表示回数や順位やクリックを“指標単体のスナップショット(点)”で眺めても、効いているかどうかは、実はよく分からないんですよね。私たちは長いこと、測りやすい数字を、成果そのものと取り違えてきたのかもしれません。

ゼロクリックやAIの回答は、この見えにくさを決定的にした、わりと最近の一例です。クリックすら起きないなら、クリック数を見ても仕方ない。でも根っこは、たぶんもっと前からありました。

 

点で見るか、流れで見るか

本当に知りたいのは、もっと素朴なこと。何をやったら、どの数字が動いたのか。発信という行動と、その結果を、あとからちゃんとひも付けて振り返れること。

なんですが、これがまあ、振り返れない。

メディアの成果って1段じゃなくて、発信、リーチ、オーディエンス資産、流入、コンバージョンと、何段にも重なっています。

しかもその数字、置いてある場所がバラバラなんです。サイトへの流入、X、YouTube、ブログ、ニュースレター、イベントの告知。見るだけで一苦労だし、週次でレポートにまとめるとなると、なかなかしんどい、というのはみんな同意してくれると思います。

 

1本で振り返れるようにしたい

きっかけをくれたのは、代表の伊東さんでした。

ぐるなびのころからコンテンツマーケティングに長く携わってきた方なので、発信したものをちゃんと後から振り返れる状態にしておきたい、という考えを以前から持っていました。その伊東さんから、「うちが発信しているものが、いろんな場所に散らばっていて見えづらい。1本で振り返れるようにしたい」と。それが、この取り組みの始まりです。

作って終わりにせず、行動と結果をきちんと振り返る。言葉にすると当たり前ですが、いざやろうとすると、これがなかなか難しい。

で、まず素直にLooker Studio(旧称: データポータル)を試したんです。うーん、微妙。わたしが見たいのは、行動と結果を、自分たちの見せ方で、1枚で振り返るビュー。既存ツールのテンプレに、その「行動→結果を1枚で追える見せ方」がどうにも収まらない。

じゃあ次は、AIにブラウザを操作させて自動で組ませてみよう、と(Claude in Chrome。人の代わりに画面を見てクリックしてくれるやつです。ログイン後の管理画面を辿って必要な数字を拾うイメージ)。これが結構大変なんですよ。わかる人にはわかると思う。画面越しに作らせるやり方は脆いし、重いし、維持できる気がしない。

そこで、ふと思ったんです。データさえDBに入ってれば、描くのはHTMLで一瞬なんじゃない? だってAI、モックとかUI、爆速で作ってくれるじゃないですか。だとしたら難所は見せ方じゃなくて、バラバラのデータを1つに集めることのほうだ、と。

順番が、ひっくり返りました。まず全部の数字を1つのDB(BigQuery)に集める。見せ方は、そのあとHTMLで好きに描けばいい。

 

1本に集める。描くのは、そのあと

やったことは、そんなに複雑じゃありません。

まず、バラバラだった数字を、ぜんぶ1つの場所(BigQuery)に集めました。X、YouTube、ブログ、ニュースレター、イベントの告知、サイトへの流入。発信からコンバージョンまでを、週ごとに1枚のテーブルにまとめました。

そのうえで、HTMLで描く。発信という行動と、その結果の数字を、同じ時間軸に横並びにして、上から下へ、発信、リーチ、オーディエンス資産、流入、CVと追えるようにしました。

 

 

ここでめちゃくちゃ良かったのが、Claude の Artifact です(HTMLをプレビューとしてそのままレンダリングして、共有までできる機能)。まず、視覚的にちゃんと見やすい。そして何より、いい感じに見せるところを、ある程度まるっと任せられるんですよね。表の並べ方や色みたいな細部を全部自分で詰めなくても、こう見せたいと伝えれば形になる。地味に、いちばんありがたかったところです。

 

 

とはいえ、大事なのは凝ったダッシュボードを作ることじゃなくて、この週こう動かしたらここが動いた、が後から追えるという一点です。それが、わたしたちの言う振り返れる状態の中身でした。

 

「作れた」と「毎週続けられる」は、別の話だった

ここからが、地味に、いや、なかなかに大変でした。

そもそも最初は、こっちもわからなすぎて。とりあえず処理を「スキル」(AIに手順を覚えさせておく仕組み)の形にして配って、それぞれが自分の手元で描画する、みたいなことをやっていました。動くには動く。でも人それぞれバラバラに実行が必要だし、とても1本で解決とは言えない。

次に、スケジュール実行(毎週決まった時刻に、データ取得〜集計までを自動実行する仕組み)で回してみました。が、これがなかなか手強くて。毎週のように、どこかの数字が欠けたり(欠損)、細かい不具合が出たり。おまけに、画面を開かないと取れない仕様のデータまであって、そこは Claude in Chrome に頼っていました。システムとしては、まだ全然不完全でした。

最初は定義をひとつの場所にまとめてバージョン管理する、みたいなこともできていませんでした。定義や手順が、あちこちに散らばっている。そういう状態で毎週ちゃんと回すのは、思っていた何倍も大変でした。

そこで痛感したのが、「作れた」と「毎週続けられる」は、まったく別の話だということでした。続かない仕組みは、実質「無いのと同じ」なんですよね。

だから、腰を据えて、続く形に作り直すことにしました。

 

じゃあ「続く形」って、具体的に何をしたのか

✅先に結論だけ:「毎週回る」ために必要だった要素はこの4つでした(下で詳述)。

 

ざっくり、やったのは4つです。難しく聞こえるかもしれませんが、考え方はシンプルです。

1. 数字を1か所に集める(ちゃんとしたDBに) X、YouTube、ブログ、ニュースレター、イベントの告知、サイトへの流入。バラバラの取得先から、ぜんぶを1つのデータベース(BigQuery)に流し込みます。見る場所を1つにする、を徹底したバージョンです。

2. ブラウザ頼みをやめる さっき書いた、画面を開かないと取れないデータ。あれが毎週の自動運転に乗らない原因でした。人がログインしたパソコンの前にいないと、そもそも始まらないので。だから、取れるものはAPIやコネクタ経由に置き換えて、ブラウザ操作を無くしました。

3. 間違った数字で、良いデータを上書きしない 自動で毎週回すと、怖いのが、間違った数字で、せっかくの良い数字を上書きしてしまうことです。だから、確定した数字への書き込みは1か所にまとめて、そこを通るときに、鮮度(新しい週はまだ仮置き=暫定値で、古い週は確定)や、重複、欠損を必ずチェックするようにしました。人が毎回気をつけるんじゃなくて、仕組みのほうで止める。

4. 壊れたら気づけるようにする(監視) 無人でいちばん怖いのは、静かに失敗していることです。なので、取り込みとは別に、毎週「ちゃんと全部そろったか」を確認する仕組みを回して、結果を Slack に流すようにしました。全部OKの週も、あえて毎回OKと出す。通知が来ないときは、その確認自体が止まっている、と気づけるように。

ここまで来て、ようやく、PCを開かなくても月曜には数字が揃う形になりました。もし壊れても気づける。作れた、の、その先にある、“運用できる(続けられる)”ラインです。

正直に言うと、ここはAIと一緒でも一発ではいきませんでした。設計を何度も見直したり、実際に動かして確かめたり。実は、けっこう手をかけています。でも、いちばん大事だったのは、たぶんここです。

 

で、何が言いたいかというと

発信の成果は、点では測れない。すぐには出ないし、1つの数字にもならない。だからこそ、行動(発信)と結果(数字)をあとからちゃんとひも付けて、同じ時間軸で追える状態を持っておく。これがいちばん効く、というのがやってみての実感です。何が、どの数字に効いたのか。それさえ分かれば、次の一手は変わります。

もうひとつ。今回いちばんの学びは、大変なのは描画じゃなくて集約(データと運用)だ、ということでした。見せ方はAIのおかげで桁違いに軽くなった。だとしたら、いま本当に手をかける価値があるのは、バラバラの数字を1つに集めて、欠けずに、間違った数字で上書きせず、壊れたら気づける「毎週回る状態」まで作ることのほうです。

作って終わりにしない、は「毎週振り返れる状態まで作る」ということ。結局、伊東さんのあのひと言に、ぐるっと戻ってくる話でした。


最後に、もし自分が別の現場で同じことをやるなら、こう始めると思います。

 

まずは最小構成から

全部を一気に揃えなくても、最初はこれで十分スタートできます。

  • 粒度:週次(まずは週次で「行動→結果」が追える状態を作る)
  • 対象:主要チャネル2つ(例:サイト流入+SNS、サイト流入+YouTube など)
  • 指標:5つ以内(例:公開本数/投稿本数、表示/リーチ、クリック/流入、CV、[あれば]指名検索など)
  • ルール:確定値の書き込み先は1つ(スプレッドシートでもDBでも良いが、“最後に信じる場所”を1つに)

役割ごとの「最初の一手」

  • マーケ/編集:まず「行動ログ」の粒度を決める(何をやったかを、後から追える形で残す)
  • 分析/データ:確定値の集約先と、欠損・重複・鮮度チェックを“仕組み”に寄せる
  • PM/マネージャー:運用(誰がいつ見て、止まったらどこまで対応するか)と監視(通知設計)を決める

チェックリスト(自分用)

  • ▢ 「行動」と「結果」を同じ時間軸で並べられる粒度(週次/日次)を決める
  • ▢ 数字の置き場を1か所に寄せる(最低でも"確定値"の書き込み先は1つ)
  • ▢ 欠損・重複・鮮度(仮/確定)のチェックを人の注意ではなく仕組みに寄せる
  • ▢ 監視を入れて「失敗しても気づける」状態にする(通知が来ない=止まっている、が分かる形)

 

おわりに

「効いてる?」に答えるために必要なのは、派手なダッシュボードというより、毎週欠けずに数字が揃い、行動と結果を同じ時間軸で見返せる状態だと思っています。

もし今の現場で、

  • 数字が散らばっていて週次の振り返りがつらい
  • 欠損や更新ミスでレポートが信用できない
  • ブラウザ操作がボトルネックになっている

みたいな状況があれば、まずは本文の「最小構成から」だけでも試してみてください。

必要なら、どの指標から揃えると効くか/どう監視を入れると折れないか、壁打ちもできます。気軽にX(@sunwest1)まで声かけてください。

 

【ほかにも、JADEで毎週続けていることのひとつ】

blog.ja.dev

 

【JADEのコンサルティングサービスはこちら】

ja.dev