
こんにちは、JADEの郡山です。
GA4のデータをAIに渡して分析をしてみたことはありますか?
CSVをアップロードして「集計して」とお願いしてみた。それなりのものは返ってきたけれど、そこから先の使い道が広がらない。気づけば、AIは「集計を代わりにやってくれる人」で止まっている……そんな状態になっていないでしょうか。
もったいないのは、AIができることの幅に対して、私たちの頼み方の引き出しが少ないことです。定期的なモニタリング、要因の探索、計測設定の点検、施策の壁打ち。数字を出す以外にも、AIと一緒に進められる仕事はたくさんあります。
2026年8月20日に開催したウェビナー『GA4×AI活用パターン8選|今日から試せる、MCPを使った分析の具体例』では、GA4データをAIに渡して行う分析を、4つのカテゴリ・8つのパターンに整理してご紹介しました。本記事では、その内容をダイジェストでお届けします。
この記事でわかること
- CSVアップロードとMCP、2つの活用法の比較
- 現状把握・要因分析・点検・壁打ちの4カテゴリ、計8つの活用パターン
- 「集計方法・ロジック」をアウトプットさせて検証しやすくする
- データをAIに渡す2つの方法:CSVとMCP
- 前提:プロンプトの基本
- GA4×AI活用の8パターン
- 8つに共通する設計:「どんな集計をしているか」答えさせる
- プロンプトは、AIと一緒に育てる
- よい分析は、よい「指示」で引き出す
- 【9/17(木)開催】次回ウェビナーのご案内
データをAIに渡す2つの方法:CSVとMCP
具体例に入る前に、GA4のデータをAIに渡す方法を確認しておきます。
かつては、GA4の管理画面でレポートを選ぶか、探索レポートを自分で組み立てるところから始まっていました。「分析したいのに、レポートを作る作業で時間の大半が消えていく」という状態です。
現在は、さまざまな方法でAIと一緒にデータ分析をする手段が登場しました。
ウェビナーでは初心者が試しやすい代表的な手法として、CSVをダウンロードしてAIに貼り付ける方法、MCP(GA4 APIとの連携)を使う方法を紹介しました。
APIを使えば、GA4のデータを管理画面以外でも利用できます。
スプレッドシートのGASから実行する手法はご存じの方も多いと思いますが、そのAPIをAIに実行させるための窓口がMCPサーバーです。「先月のキーイベント数はどうだった?」と自然言語で頼むだけで、AIが必要なデータを取りに行ってくれます。
ウェビナーでは、この2つを6つの評価軸で比較しました。

導入のしやすさという一点では、CSVが圧倒的に優れています。初期設定が一切不要で、ファイルさえあればすぐ試せます。
⚠️一方で、注意点もあります
渡したデータの中に書かれていないことは、AIには一切わかりません。例えば、その時期にサイトリニューアルがあったこと、計測不備でデータが欠損していたこと。あとから伝えても、すでに出てきた分析には反映されていません。渡した範囲の中だけで結論を出すため、ミスリードにつながる可能性があります。
まずはCSVで試し、いずれMCPへステップアップする。これがおすすめの順序です。
前提:プロンプトの基本
GA4×AIで成果を出すには、「必要なデータを計測する」「データの活用手段を整理する」「ユーザーが使いこなす」という3つの階層があります。過去2回のウェビナーでは前の2つを扱いました。今回のテーマは、最も即効性があり、自分でコントロールできる3つ目です。

前回ウェビナーでお伝えしたプロンプトの基本は、タスク・文脈・参照・評価・反復の5ステップ。このうち質を最も左右するのが「文脈」です。
どんなサイトで、どんなお客さんが来ていて、KPIは何なのか。数字が生まれた環境まで伝えることで、返ってくる分析の解像度が変わります。
毎回凝ったプロンプトを作る必要はありません。詳しくは前回の振り返り記事をご覧ください。
GA4×AI活用の8パターン
ここからが本題です。分析や壁打ちのゴールを決めて、プロンプトに必要な情報をまとめる。その具体例を、4つのカテゴリで2種類ずつご紹介しました。

現状把握(KPIのモニタリング)
直近サマリーレポート / 月次モニタリングレポート
探索から検証へ(要因分析・効果測定)
チャネル別実績 / ページ・階層別実績
点検(計測の健康診断)
イベント計測の棚卸し / プロパティ設定の簡易チェック
壁打ち(改善・ネクストアクション)
イベント設計の壁打ち / キーイベント施策出し
なお、以下のプロンプトはMCP経由でのデータ取得を前提にしていますが、「MCP経由でGA4データを取得し」の部分を「添付したCSVを参照し」に置き換えれば、多くはCSVアップロードでも再現できます。
パターン 1直近28日間のサマリーレポート
まずは、直近28日間とその前の28日間を比較するサマリーレポートです。

セッション、ページビュー、キーイベント数、CVR、エンゲージメント率が、増加なら緑、減少なら赤で色分けされ、その数字が何を意味するのかというコメントが添えられています。
GA4の画面には数字がたくさん転がっていますが、「なぜ伸びているのか」を調べるのは自分の仕事です。慣れている人はすぐ動けますが、そうでなければ要因を探すだけで骨が折れますよね。数字と一緒に読み取りのヒントがもらえるのは、想像以上にありがたいものです。
このパターンのプロンプトは、実際にこう書いています。
# 指示
あなたはプロのWebアクセス解析担当者です。
MCP経由でGA4データを取得し、直近28日間のパフォーマンスを
前期(直前28日間)と比較したサマリーレポートを
チャット画面上に出力してください。
# サイト情報(※ {{ }} 内を自社の情報に書き換えてください)
- サイト名: {{サイト名}}(URL: {{<https://www.example.com/>}})
- サイト種別: {{EC / B2Bリード獲得 / メディア / 店舗集客 など}}
- GA4 プロパティID: {{000000000}}
- 最重要キーイベント(CV): `{{最重要イベント名}}`
# 比較ルール(厳守)
- 対象期間: 直近28日間(当日のデータは未確定のため必ず除外)
- 比較対象: 前期(直前28日間)。今期と前期で
「同じ曜日始まり・同じ曜日終わり」になるよう28日間を切ること
- 計算方法: 前期比(%)=(今期実績 − 前期実績) ÷ 前期実績 × 100
- 表記ルール: プラス・増加は緑、マイナス・減少は赤で表示する
# 記述ルール
- チャット画面で完結するテキスト・表形式とする
- 全体で500〜700文字程度の短文で簡潔にまとめる
- 専門用語や曖昧な表現を使わず、結論を先頭に置いて理由を数字で書く
💡 POINT
比較ルールに「同じ曜日始まり・同じ曜日終わり」を入れているのがポイントです。28日間で切るのは、平日20日・土日8日の構成をそろえるためでもあります。ここを指定しないと、曜日構成の違いがそのまま増減として出てしまいます。
また、同じフレームワークのまま文脈と条件を書き込むと、ここまで作り込めます。



指標ごとのスコアカード、今期と前期を重ねた日別推移グラフ(土日は背景に縦帯を入れて識別)、チャネル別・ランディングページ別の増減内訳、そして変化点の解説。
深掘りのさせ方にもコツがあります。「セッションが減ったのはどのチャネルか」「どのページか」「CVはどこで減ったのか」を分けて指示すると、量を失っただけで成果は失っていないチャネルと、本当に手を打つべき箇所を切り分けられます。
パターン 2月次モニタリングレポート
用途はパターン1と近いのですが、比較の軸が変わります。前月比(MoM)と前年同月比(YoY)、そして直近13ヶ月の推移。この3つで整理する形です。


プロンプトで加えたいのは、季節性やビジネス特有の事情です。たとえばJADEの場合、12月は社員が毎日ブログ記事を公開する「JADE Advent Calendar」があるため、アクセス数が跳ね上がります。こうした背景を伝えておくと、前年同月比の解釈が正確になります。
月次の目標値がある場合は、それを渡して達成率まで書かせることもできます。GA4の管理画面では目標値や達成率をすぐには出せないので、集計の手間が省ける使い方です。あわせて「翌月以降も同じフォーマットで出力する」と書き添えておくと、比較も引き継ぎもしやすくなります。
パターン 3セッションのチャネル別実績レポート
ここから、目的が変わります。パターン1と2が定点観測(モニタリング)だったのに対し、パターン3と4は要因を特定するための分解です。

流入元の「量(セッション)」と「質(CVR)」を分解し、どのチャネルの予算・運用を強化するか、見直すか、停止するかを判断するのが目的です。プロンプトにもその意思決定を明記します。
集計はチャネルグループ×ランディングページのクロス集計とし、比較は前月比に加えて過去8週平均も見る。これで、流入は多いのにエンゲージメント率が低いミスマッチや、獲得効率の高いチャネルが浮かび上がります。
パターン 4ページ・階層別実績レポート
セッションベースの集計や分析とは別の切り口で、ページやディレクトリの階層ごとのアクセス数・表示回数を分析するプロンプトも紹介しました。
このパターンでぜひ知っていただきたいのが、オーディエンスの活用です。


GA4のオーディエンス機能、使っているでしょうか。意外と活用されていない印象がありますが、「問い合わせをしたユーザー」「資料をダウンロードしたユーザー」といった単位でユーザーをグルーピングできる機能です。
ポイントは、オーディエンスはAPI/MCP経由でもディメンションとして使えること。GA4の探索レポートではセグメントという機能でユーザーやセッションを抽出することができますが、APIでは利用できません。しかし、オーディエンスなら事前に登録しておくだけで、オーディエンス名(audienceName) を使った比較ができます。
よく使うのは、全ユーザーとコンバージョン達成ユーザーを並べ、閲覧ページの構成比の差分(シェア差分)を見る形です。成果に寄与している高貢献ページと、流入はあるのに寄与していないボトルネックページを識別できます。
ページごとの分析をするプロンプトに入れておきたいポイントとしては、以下のようなものがあります。
- サンクスページやフォームページは、CV達成ユーザーが必ず通過するページ群なので「このページの貢献度が高い」と読み取ってしまわないよう注意する一文を記載
- 「フォームページのPV差分をコンテンツ貢献度の根拠として使用しないこと」と記載
- あわせて、表示回数のシェア差分だけで判断せず、ランディングページ別のCVRと突き合わせて検証させる指示を記載
パターン 5GA4既存イベントの計測設定の棚卸し
ここからは、数字を出すのとは少し違うAIの使い方です。

いま計測されているイベントの一覧は出せても、それが健全な状態なのか、過去の担当者が作ったまま誰も使っていないデータなのか。この棚卸しは、正直かなり骨が折れる作業です。
ここはMCPの出番です。
未使用イベント、重複設定、命名規則から外れているものを検出させます。出力は「資産(継続)」か「負債(不要・修正候補)」かの状態評価つきの一覧表にするのがおすすめです。「2025年9月だけ計測されていて、その後はゼロ」というイベントや、値がすべて (not set) になっているディメンションが見つかります。
新しくサイトの担当になった方、前任者から引き継いだけれど経緯がわからない方には、特に効く使い方です。イベント設計そのものの考え方については、こちらの記事もあわせてどうぞ。
パターン 6GA4プロパティ設定の簡易チェック
「うちのGA4の設定、間違っていないかチェックして」とAIに頼む使い方です。以前ブログでご紹介したところ反響が大きかったので、今回も改めて取り上げました。

点検させるのは、データ保持期間、内部トラフィックの除外、キーイベントの指定、拡張計測機能のオン・オフといった項目です。1つずつ管理画面で確認していくのは骨が折れますが、まとめて取得して「設定漏れや運用リスクがないか簡易ヘルスチェックをしてください」と頼めば一覧化してくれます。
出力は緑・黄・赤のリスク判定つきにするのがおすすめです。GA4の設定にそこまで詳しくないメンバーでも、「まずはここから確認しよう」という当たりをつけられます。なお、API経由では取得できない管理画面の設定もあるため、手動確認が必要な事項は分けて出力させておきましょう。
パターン 7GA4イベント設計の壁打ち
「ブログ記事をカテゴリ別に評価したいけれど、そのためのディメンションがない。どう作ればいい?」
こうした設計の相談を、AIと壁打ちするパターンです。

自分で設計からディレクションまで進められる方には出番の少ないプロンプトかもしれません。
ただ、「こういうデータを取りたいけれど、どうすればいいかわからない」という場合には、案を持ち帰ってエンジニアの方と相談するための材料になります。絶対的な正解を求めるのではなく、論点と懸念点を洗い出す相手として使うのがちょうどいい距離感です。
パターン 8キーイベントを増加させるための施策出し
最後は、成果につなげるための施策出しです。

「コンバージョンを伸ばしたいが、どこから手をつけるべきか」と相談すると、まず現状の実績を整理し、ランディングページ別・チャネル別にボリュームゾーンを特定したうえで、要因を分解していきます。n数の大きいところから切り崩し、インパクトのありそうな箇所に当たりをつける、という至極まっとうな進め方です。
たとえば「メール経由のコンバージョンが非常に多い」「ブログは閲覧数が多いのに、その後のアクションが生まれていない」といった評価が出てきます。そこから導かれた改善施策のひとつが、「ブログ記事の中間や最下部にCTAを配置し、フォームや有益なコンテンツへの導線を作る」というものでした。記事を読んで終わりにしないサイト設計が必要ではないか、という示唆です。
プロンプトで効くのは、次の3つの制約です。
01アイデアを乱発させず、優先度付きで3案に絞る
02各案に、根拠となる定量データと期待される定量インパクトをセットで添えさせる
03予算追加は不可、大規模改修は不可といった実行上の制約を伝える
制約を伝えないと、実行できない施策が並びます。前提情報を書いておくだけで、提案の実用性が変わります。
もちろん、定量データだけから導かれた仮説なので、妥当性は人が責任を持ってレビューする必要があります。それでも、考えるための取っかかりを一緒に作ってくれる相手がいるのは、心強いものです。
8つに共通する設計:「どんな集計をしているか」答えさせる
8つのプロンプトを並べてみると、共通して組み込んでいる出力項目があります。集計方法・ロジックの明記です。
具体的には、次の3つを必ず書かせています。
集計条件
対象期間、比較期間、適用したフィルタ、タイムゾーン、除外設定
計算根拠
CVRなどの算出式(分子と分母)、推計に使ったロジック
確からしさ・懸念点
季節要因の影響、母数不足で判断できない指標、未計測イベントの検出、データ反映の遅延、ディメンション別合計と全体の差分
AIが作ったレポートで一番困るのは、「できあがったけれど、この数字を信じていいのかわからない」という状態です。自分で検算するくらいなら最初から自分で作ったほうが早い、となってしまいます。
集計条件と計算根拠がその場に書かれていれば、レビューは一気に楽になります。加えて、「断定できない推測は懸念点に記載する」「この件数では増減を判断できない場合はそう書く」と指示しておくと、根拠の弱い断言を減らせます。
もうひとつ、地味ですが効くのが造語と曖昧な用語の禁止です。ClaudeやGeminiに分析を任せると、エンゲージメント率を「EG率」、CVRを「転換率」と書き出すことがあります。読み手が戸惑ってしまうような表現は使わせないようにルール化しておくとよいです。
プロンプトには「独自の略語や造語は使わないこと」「CVRを『問い合わせのしやすさ』などと意訳せず、『セッションあたりの {{最重要イベント名}} 発生率』のように定義どおりに書くこと」と明記しておきましょう。一文入れておくだけで、謎の用語まみれのレポートは防げます。
プロンプトは、AIと一緒に育てる
ウェビナー中、視聴者の方から「これらのプロンプトはどう作ったのか」というコメントをいただきました。
正直にお答えすると、8つとも私がゼロから書いたものではありません。「キーイベントを伸ばす施策を出すパートナーになってほしい。どんなプロンプトを書けばいいか」とClaudeやGeminiに相談し、5つのステップに当てはめながら、何度か壁打ちを重ねて作りました。
完成形をいきなり自分で書くのは、私にも難しいです。
おすすめの育て方は、こうです。まず短いプロンプトを投げてみる。出てきたものに「もっとこうして」と注文をつけ、対話を重ねる。納得のいくアウトプットにたどり着いたら、「これを一発で出すためのプロンプトを作って」と頼む。そうしてできたものを、プロンプトやスキルとして保存しておく。
この繰り返しで、少しずつ自分の武器が増えていきます。最初はもっとシンプルなもので大丈夫です。
なお、すべてをスキル化する必要もありません。繰り返し使うもの、他のメンバーにも使ってもらうものはスキル化する価値がありますが、無理に仕組み化しなくてもいいと考えています。
よい分析は、よい「指示」で引き出す
今回のまとめは、実は前回とほとんど変わりません。基本を押さえていれば、結局ここに行き着くからです。
プロンプトの基本は5ステップ
タスク・文脈・参照・評価・反復。まずは「タスク+文脈」から始めれば十分です。
前回の振り返り記事はこちら
質を左右するのは「文脈」
自社の事情を渡せるかどうかで、目的に沿った、解像度の高い「使える分析」に近づきます。8つのパターンの違いも、突き詰めれば「何を目的に、どんな文脈を添えて頼むか」のバリエーションでしかありません。
立派な長文テンプレートは不要
毎回長文を作る必要はありません。必要な要素を意識するところから始めましょう。
GA4のデータをAIに渡して「集計して」と頼んだことがある方は、次にチャットを開いたとき、少しだけ違う頼み方を試してみてください。
「先月の数字を出して」ではなく、「この設定、おかしいところはない?」でも、「このデータから、次に何をすべきだと思う?」でもいい。頼み方をひとつ増やすだけで、AIとの仕事の仕方が変わっていくはずです。
【9/17(木)開催】次回ウェビナーのご案内
「はじめてのClaude活用」、ぜひご参加ください。