流入減の原因、本当にAIのせい? ゼロクリックと決めつける前に知っておいてほしいこと

自社サイトの検索流入が減って、原因をAI Overviewによるゼロクリックに求めかけていませんか。コアアップデート、インデックス、コンテンツ競争力、検索需要——AIと並ぶ可能性をデータでどう切り分けるか、そして自社で見ていく限界がどこにあるかを整理しました。

生成AIの普及、AI Overviewの登場、ゼロクリック化の加速——ここ数年で検索をとりまく環境は大きく変わりました。

そのなかで、自社サイトへの検索流入が減っていることに気づいたとき、「これはAIの影響じゃないか」と考えるのは、今のトレンドを押さえた真っ当な仮説だと思います。

ただ、少しだけ立ち止まって考えてほしいことがあります。その仮説、検証をせずに「正直原因はわからんが多分そうだろう」になってませんか?流入減少はAIによる影響だ、と裏付けを持って言えますか?

AIの影響かもしれない。でも、別の原因かもしれない。その要因分析がきちんとできていないまま動いてしまうと、せっかくの対応施策が的外れになってしまうことがあります。

この記事は、自社サイトの検索流入が落ちていて、原因をAI OverviewやAIチャットボットに求めかけている方にぜひ届けたいと思って書いています。「本当にAIのせいなのか」を判断するために、まず手元で何を確認すべきか、そして自社で切り分けるのが難しいラインがどこにあるか、を整理しました。

【もくじ】

 

AIが原因じゃないとしたら、何が考えられるか

検索流入が落ちる原因は、いくつか考えられるものがあります。

① Googleのコアアップデートによるサイト評価の低下

Googleは年に数回、検索結果の質を見直す大規模な更新(コアアップデート)を行っています。このタイミングで、これまで上位に表示されていたページが順位を落とすことがあります。

特に近年は「ユーザーにとって本当に役立っているか」という評価が厳しくなっています。ページを開いてすぐ離脱する、滞在時間が短いといったユーザー行動のシグナルが積み重なると、Googleはそのサイトの評価を下げていきます。

確認方法: Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、順位とクリック数の両方が落ちている時期がないかを確認しましょう。Googleのコアアップデートの実施日は公式に発表されているので、その時期と重なっていれば、アルゴリズム変化を疑う材料になります。

② インデックスされているページ数の減少

Googleに認識されているページ数そのものが、減っていることがあります。

サイトのリニューアルや構成変更をきっかけに、クローラーがページを正しく読み取れなくなるケースがあります。インデックスから外れたページは検索結果に表示されません。表示されなければクリックもされない。当たり前のことですが、日常業務のなかでは気づきにくいポイントです。

確認方法: Search Consoleの「ページのインデックス登録」レポートを開き、「インデックス登録済み」のページ数が過去と比べて減っていないかを確認します。「インデックス未登録」の理由も合わせて確認すると、問題の箇所が特定しやすくなります。

③ コンテンツの競争力の低下

以前は上位を取れていたコンテンツも、時間が経つにつれて情報が古くなったり、より充実した競合ページが増えたりすることで、徐々に順位が下がっていきます。急に流入が落ちるわけではないため気づきにくく、「いつの間にか減っていた」という形で発覚することが多いです。

AIとは関係なく、検索市場は常に競合との戦いです。

確認方法: Search Consoleで流入が多かったページを絞り込み、順位の推移を確認しましょう。順位が下がり続けているページがあれば、コンテンツの鮮度や網羅性の問題が考えられます。

④ そもそもの検索需要の変化

そのキーワードを検索するユーザー自体が減っている、というケースもあります。市場のニーズが変わった、情報収集の手段が多様化した。こういった変化が原因であれば、コンテンツをいくら改善しても根本的な解決にはなりません。

確認方法: Googleトレンドで対象キーワードの検索ボリュームの推移を確認しましょう。サイトの流入が減った時期と、キーワードの検索需要が落ちた時期が一致していれば、市場変化が要因かもしれません。

 

では、AI Overviewが本当に影響しているかはどう判断するか

まず、AI Overview(以下AIO)とは、Googleが検索結果の上部にAIが生成した回答を表示する機能です。ユーザーが知りたいことへの答えを検索結果ページ上で提供してしまうため、わざわざリンクをクリックしてサイトに訪問する必要がなくなります。これが「ゼロクリック」と呼ばれる現象です。特に「○○とは?」「○○の方法」といった情報収集型の検索で表示されやすい傾向があります。

ただし、すべての検索クエリにAIOが表示されるわけではありません。また、GoogleはAIOによるクリックへの影響データを公式には開示していないため、実際にどの程度影響が出ているかをピンポイントで測定することは、現時点では難しい状況です。

そのなかで、AIOの影響を確認するうえで有効だと思われる指標があります。それは「検索順位は変わっていないのに、クリック数だけが落ちているか」という点です。

順位をキープしたままクリックが減っているクエリ群があれば、AIOによってユーザーが検索結果ページ上で情報を得てしまい、サイトへのアクセスが起きていない可能性があります。一方で、順位ごと落ちているなら、それはアルゴリズムや品質評価の問題です。

ただしこれはあくまで「有力な仮説を立てるための指標のひとつ」です。フィーチャードスニペットの変化やSERPレイアウトの変化でも同様の現象が起きるため、「順位が落ちていないのにクリックが減っている=AIOの影響」と断定はできません。常に複数の可能性を念頭に置きながら確認することが大切です。

確認方法: Search Consoleで特定のクエリを絞り込み、「平均掲載順位」と「クリック数」を同じグラフで見比べましょう。順位が安定しているにもかかわらずクリック数が落ちているクエリがあれば、AIOやSERPの変化が影響している可能性があります。Ahrefsなどのサードパーティツールでは、クエリごとのAIO表示状況を確認できる機能もあります。

 

正確に診断するには、長期のデータが必要

原因を特定するうえで欠かせないのが、十分な期間のデータです。直近数ヶ月のデータだけを見て「減っている」と判断しても、それがなにかしらの異常なのか、季節変動なのか、長期トレンドなのかは、短期間のデータだけでは区別がつきません。

最低でも前年比較、できれば2年分以上のデータを見ることをおすすめします。理由は二つあります。

一つは、前年同月との比較がないと、それが季節変動なのか、緩やかな長期トレンドなのか、あるいは何らかの変化(アップデート等)の影響なのかを切り分けにくいからです。 ただ、実務上の阻害要因として、Search Consoleで遡れるのは直近16ヶ月分まで、という制約があります。たとえば2025年8月に流入の変化があった場合、今この瞬間にはすでに2024年8月のデータが参照できず、前年同月との比較ができません。

もう一つは、何らかの変化が起きてから、その影響が数値に現れるまでにタイムラグがあることが多いからです。直近のデータだけを見ていると、変化の本当の起点を見誤りやすい。

2年分以上のデータを確保するには、次に紹介するBigQueryへの蓄積が前提になります。

 

データ基盤として、BigQueryへのエクスポートを

分析に使うデータ環境として特に有効なのが、Google Search ConsoleとGA4のデータをBigQueryに蓄積する方法です。

BigQueryにエクスポートする設定をしておくことで、16ヶ月の制限を超えてデータをすべて保持し続けることができます。

設定していない期間のデータは、あとから取り戻すことができません。 まだ設定していない場合は、今すぐ有効にすることを強くおすすめします。

BigQueryにデータが蓄積されると、次のような分析が可能になります。

  • どのキーワードが、いつから、どのように順位やクリック数が変化したかを細かく追跡できる
  • コアアップデートの実施時期と流入変化を重ねて分析し、影響範囲を特定できる
  • GA4のデータと組み合わせることで、検索流入後のユーザー行動(離脱率・滞在時間・コンバージョン)まで含めた一気通貫の分析ができる
  • 長期間のデータを比較することで、コアアップデートとAI Overviewの影響を切り分けやすくなる

設定にはGCPプロジェクトの用意など、初めての方には少しハードルがある手順も含まれますが、詳しい設定手順は下記の記事にまとめています。

【こちらです!】

blog.ja.dev

 

ただし、自社だけで切り分けるのは思ったより難しい

ここまでの内容を踏まえて、自社のデータを見ていただくと、ある程度の当たりはつけられるはずです。ただし、原因をクエリ単位・ページ単位で精緻に特定しようとすると、実務上の壁にいくつかぶつかります。

ひとつは、複数の要因が同時に起きていることが多い点です。コアアップデートの直後にAI Overviewの表示クエリも増えており、なおかつ一部ページでインデックスが外れている、というように、原因が重なって観測されるケースは珍しくありません。シンプルな前後比較では、どの要因がどれだけ寄与しているかを切り分けにくくなります。

もうひとつは、AI Overview以外のSERP変化との分離です。順位が変わらないのにクリックが減る現象は、AI Overviewだけでなく、動画カルーセルやショッピング枠の挿入、サイトリンクの変動などでも起こります。これらを区別するには、SERPの実際の見え方をクエリごとに確認していく作業が必要になります。

さらに、ChatGPTやPerplexityなどAIチャットボット側の引用状況は、Search ConsoleやGA4には現れません。ここを確認するには別の調査設計が必要になります。

自社で初動の確認をするのは十分意義があります。一方で、ここから先の精緻な切り分けは、専門的な分析リソースが必要になる領域です。

 

「AIかもしれない」という仮説を、データで検証してみてほしい

流入減少が起きた際に、AIの影響を疑うこと自体は、正しいアンテナの張り方だと思います。ただ、その仮説をきちんと検証せずに「きっとそうだろう」で止めてしまうと、判断を見誤った施策となる可能性が高いです。

コアアップデートの影響なのか、インデックスの問題なのか、コンテンツの競争力低下なのか、検索需要の変化なのか、それともAI Overviewなのか——データを見れば、ある程度の判断ができます。

そして、どの原因であっても、対策はまったく異なります。原因を正しく特定できれば、打つべき手が見えてきます。

まずは手元のデータで何が読み取れるか、確かめるところから始めてみてください。

もし「データはあるけど、どう読めばいいかわからない」という場合は、弊社がスポットで分析させていただくことも可能です。

JADEでは、AI時代の検索流入を体系的に診断する AI SEO 診断プラン をスポットメニューとして提供しています。AIクローラーのクロール状況、ChatGPT・Claude・Geminiでの言及状況、AI Overviewの発生・採用状況、そして本記事で扱った流入構造の変化——この4つの切り口で、自社サイトの現在地を可視化するメニューです。

ja.dev

特に流入分析パートでは、「AIに答えられてしまうクエリ」と「AIでは代替されないクエリ」を仕分けたうえで、流入依存度とリスクを評価します。本記事で立てた問いに対して、データで答えを出すアプローチです。

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