こんにちは、JADEのアソシエイト、アリサです。4月10日・11日にイギリスのブライトンで開催されたBrightonSEO。世界最大級のSEOカンファレンスに、世界中からSEOプロフェッショナルが集まりました。昨年、BrightonSEO San DiegoでJADEのSEOツール「Amethyst」を日本国外に初めて紹介し成功を収めた後、今回JADEはヨーロッパ市場にも進出することになりました。
サンディエゴの時と同じく、JADEは今回もスポンサーとして参加し、ファウンダーCSOの長山が登壇しました。私はブースでの対応と、カンファレンスのさまざまなセッションへの参加を両立させながら2日間を過ごしました。
この記事では、ブースでの対話から得られた気づき、セッションからの学び、そしてこのイベントならではの雰囲気まで、ブライトンでの体験をお伝えします。今後カンファレンスへの出展を考えている関係者や、ヨーロッパのSEO事情に興味がある方にとって、私たちの経験が少しでも参考になれば嬉しいです。
【もくじ】
出展側として学んだこと
ブライトンでのブース設営は、サンディエゴの時と基本的には同じでしたが、今回は大型モニターを導入し、Amethystの実際の挙動をライブデモで見られるようにしました。この改良のおかげで、ヨーロッパ各地からのSEOプロフェッショナルの方々に、実際のツールの動きを通して機能を紹介することができ、反応はとても良いものでした。
アメリカでの経験と同様に、ヨーロッパのSEOコミュニティからの歓迎も温かいものでした。ブースに訪れる方はAmethystに対して純粋な興味を持って話しかけてくれ、現在のSEOの課題について率直に共有してくれました。大陸を越えて共通していたテーマは何だったと思いますか? それはGA4に対する不満です。この共通の悩みのおかげで訪問者とは即座に共感が生まれ、データドリブンなSEOについてのより深い会話へと発展していきました。
ブライトンで特に印象的だったのは、パートナーシップの可能性に関する話題が多く出たことです。プロダクトのデモを見せた後、自然と将来的な協力関係についての会話へと発展することが多く、これは私たちのヨーロッパ展開戦略にとって心強い手応えでした。また、今回のカンファレンス参加の目的とも完全に一致していました。
今回のイベントでは、日本のルーツをより前面に出すことにしました。チームメンバーは伝統的な法被にAmethystのロゴがデザインされたものを着て、日本の扇子をかかげながら、定番の抹茶キットカットも用意しました。この日本文化を感じさせる要素は参加者に強く響き、多くの方が「日本企業がカンファレンスに参加しているのを見るのは新鮮だ」とコメントしてくれました。訪問者の多くは日本製品の高品質さや細部へのこだわりに好印象を持っており、それがAmethystに対する関心にもつながったように感じました。
イベント準備において、市場間の微妙な違いをが分かる予想外の出来事もありました。前回のサンディエゴでの反応では、参加者はデジタル情報を好む傾向があったため、ブライトンには印刷物を持参しないことにしました。その代わり、ウェブサイトやリソースに簡単にアクセスできるようQRコードを掲示したのですが、興味深いことに、ヨーロッパの訪問者の多くは物理的な紙のチラシを求めてきたのです。これは小さいながらも地域ごとの嗜好の違いを示す重要な気づきになったので、今後のイベントでは考慮していきたいと思います。
サンディエゴの時と同様に、ファウンダーCSOの長山がデータドリブンSEOについての魅力的な講演を行いました。彼のプレゼンテーションがきっかけとなり、私たちのブースへの訪問者が目に見えて増えました。多くの参加者が彼のフレームワークを自分たちの状況にどう適用するかについて、より深い洞察を求めてブースを訪ねてくれました。
2日間のカンファレンスを通して、私たちのブースは意義深い会話であふれていました。これらの対話から価値あるリードと地域市場のニーズについての洞察の両方を得られました。そして、Amethystに対するポジティブな反応から、ヨーロッパ市場でも私たちのツールが受け入れられる手応えを十分に感じられました。
参加者として見えたこと
BrightonSEOの特徴的な点のひとつは、初めての登壇者にも発言の場を提供し、新しい才能の育成に力を入れていることです。この取り組みは素晴らしいものです。誰もが最初の一歩を踏み出す必要がありますから。その一方で、参加者として聴講していると、セッションによって内容の濃さに違いを感じることもありました。
1日目のセッションに参加した感想は、少し複雑でした。多くのプレゼンテーションでは豊富なデータが提供されていましたが、その情報を本当に心に響かせるようなストーリーが不足していました。夕方のネットワーキングディナーでは、同じく参加していた方々も似たような印象を持っていたことがわかりました。多くの人が1日目の講演に対して、あまり熱心でない反応を示していました。
この経験から、2日目はより絞ってセッションに参加することにし、特にグレッグ・ギフォード氏のプレゼンテーションを聴くことにしました。世界中のデジタルマーケティングカンファレンスで引っ張りだこの人気スピーカーであるギフォード氏は、エンターテインメントと実用的な戦術を組み合わせた、映画をテーマにした魅力的なプレゼンテーションで知られています。
ベテランのプレゼンターによる洗練されたBrightonSEOのプレゼンテーションがどのようなものか、そして前日のセッションとは異なる体験ができるかどうか、とても楽しみにしていました。
魅力的なプレゼンテーションの例
ギフォード氏のGoogle Sheetsに関するセッションは、まさに私が期待していたものでした。正直なところ、私はGoogle SheetsやExcelがあまり得意ではありません。彼が話し始めた瞬間から、プレゼンテーションスタイルの違いは明らかでした。彼はまず聴衆のスプレッドシートへの馴染み具合を確認し、自信がない人たちに対してユーモアを交えて声をかけ、すぐに話しやすく聞きやすい雰囲気を作り出しました。
このトークが際立っていた理由は、プレゼンテーション全体に映画の引用が自然に織り込まれていたことです。このオリジナリティのあるアプローチにより、本来なら退屈になりがちな技術的なトピックが、楽しく記憶に残る体験へと変わりました。
魅力的な話し方だけでなく、ギフォード氏の内容は実践的な洞察がたっぷりでした。Google Sheetsをマスターするための実用的なヒントを共有し、基本的な機能から、データスライサー、条件付き書式、名前付き範囲などの高度な機能まで幅広くカバー。AIツールの時代であっても、データの正確性と効率性を確保するためにスプレッドシートの基本を理解することの重要性を強調していました。
参加者が学んだことを実践できるように、ギフォード氏はすべての紹介したヒントやテクニックが含まれたGoogle Sheetへのアクセスを提供してくれました。これはカンファレンスを超えてセッションの価値を広げる、気の利いた心遣いでした。
ギフォード氏の人気とインパクトを物語るのは、彼のセッションが終わるとすぐに部屋の半分近くが空になってしまったことです。参加者は明らかに彼のプレゼンテーションのために来ていたのであり、彼の評判と人々が彼の洞察に置く価値の高さを感じました。
ギフォード氏のプレゼンテーションと前日のセッションを比較して学んだ大切な教訓は、「データだけでは不十分だ」ということです。本当に心に残るプレゼンは、しっかりした情報と魅力的なストーリー、そして実践的な内容を兼ね備えています。この気づきは、今後Amethystの教育コンテンツ作りにも活かしていきたいと思います。
BrightonSEOの全体的な雰囲気
イギリスを初めて訪れた私は、BrightonSEOがサンディエゴでの経験とはかなり異なると予想していました。しかし驚いたことに、イベントは同じようなリラックスした海辺の雰囲気を持ちながらも、イギリスらしい特色が加わっていました。会場が海に近いことで爽やかな雰囲気が生まれ、参加者がリラックスして自然な会話が生まれやすい環境になっていました。
サンディエゴでは四足の参加者(犬)も見られましたが、ブライトンでは違った形の包括性を感じました。明らかに子供に優しい環境だったのです。小さな子供を連れて会場を巡る親の姿を何人見たことでしょうか。家族とプロフェッショナルな成長が必ずしも分離されていないヨーロッパのワークライフバランス。そのアプローチを垣間見る興味深い機会となりました。
展示会場はオリジナリティであふれていました。イベントスポンサーは、参加者の興味を引くにはパンフレットや営業トークだけでは足りないことを明確に理解していたようです。最も印象に残ったブースには、訪問者がスキルを試して景品を獲得できるクレーンゲーム、誘惑に耐えきれない香りで空気を満たすポップコーンスタンド、人だかりを集めるインタラクティブなゲーム、そして地元ブライトンのタトゥーアーティストによるエアブラシタトゥーを提供するブースなどがありました。これらは一時的ではあるものの、カンファレンスの印象的な記念品となっていました。




特に私が注目したのは、Amethystの隣のブースでした。オランダのSEOコミュニティが運営するブースで、2日間を通してポッドキャストを録音していました。彼らのスペースが常に賑わっている様子には感心しましたし、活気ある議論とコミュニティの精神は訪問者を引き付けていました。彼らのコミュニティ構築へのアプローチは本当に温かく魅力的で、今後の活動をフォローしようと心に留めました。SEO業界での繋がりと知識共有を生み出す彼らのアプローチから、私たちが学べることは多そうです。
おそらくBrightonSEOの最も特徴的な一面は、ランチタイムの過ごし方かもしれません。会場はさまざまなレストランに囲まれていましたが、参加者の間で明らかに人気だったのは、単純にビーチに向かうことでした。昼休みの間、海岸線は即興のネットワーキングスペースに変わり、参加者たちが小石のビーチに集まり、食事を楽しみながら春の日差しと海の景色を満喫していました。
この専門的な学びと海辺でのくつろぎが融合した環境こそが、BrightonSEOならではの魅力でした。仕事と遊びのバランスが絶妙に保たれていて、技術的な正確さとクリエイティブな発想の両方を大切にする、SEO業界そのものを映し出しているようでした。
ネットワーキングから生まれた再会
サンディエゴでの経験と同様に、ブライトンでのネットワーキングイベントは、カンファレンスの醍醐味の少なくとも半分を占めていました。公式セッションは貴重な知識を提供してくれましたが、こうしたよりリラックスした集まりで生まれた人とのつながりが、最も意味のある成果をもたらすことが多かったのです。 2日目の後に開かれたブライトン桟橋でのネットワーキングパーティーが特に印象的でした。イギリス特有の海辺の桟橋という環境で、ドイツのSEOコミュニティのメンバーと知り合うことができました。ドイツに8年間住んでいた私にとって、ここでの会話は個人的にも仕事の面でも意義深いものでした。
このようなネットワーキングの機会は、カンファレンスを超えた効果をもたらしました。BrightonSEO終了数日後、桟橋パーティーで知り合ったベグム・カヤさんと再会しました。テクニカルSEOを専門とし、BrightonSEOで登壇歴のある彼女とは、おたがいの日本語能力を通じてすぐに打ち解けました。パートナーシップの可能性について話し合うだけでなく、彼女から貴重なキャリアアドバイスや、彼女のキャリアをサポートしてきた Women in Tech SEO Community についての話も詳しく聞くことができました。
オンラインのつながりも大切ですが、直接会って考えや課題を共有することには特別な価値があります。ベグムさんとの出会いはまさにその例で、単なる仕事のつながりから、私のキャリアに影響を与える貴重なメンタリングの機会へと発展しました。
AmethystとJADE、世界への第一歩
BrightonSEOを通じて、新しい市場での成功は製品の品質だけでなく人とのつながりが同じくらい大切だということを私たちは学びました。ブースでの会話やネットワーキングイベントを通じて、さまざまなヨーロッパ諸国の方たちから寄せられた純粋な関心は、今後、非英語圏市場へも展開していく励みとなるものです。 各所からの好意的な反応を受けて、プレゼンテーションのスタイル、マーケティング資料、文化的なニュアンスなど、あらゆる面で私たちのアプローチを洗練させたいという意欲がわきました。それぞれの市場には独自の特性があり、ブライトンでの経験は私たちのグローバル戦略を適切に調整するための貴重な準備となるでしょう。
ブライトンという魅力的な街で迎えたヨーロッパデビューは、これからの国際展開における最初の一歩となりました。
【Amethystについてはこちらをどうぞ】