Googleの #ハッシュタグ検索 : 基礎調査とその使いどころ

Google検索に導入された「ハッシュタグ検索」機能について、解説します。この日本限定機能の仕組みや使い方、表示される条件、対象となるSNSなどを詳しく紹介しています。なかなか掴みどころが難しい機能ですが、SEO担当者や一般ユーザーにとっての活用法も考えてみます。

JADE伊東です。

Google 検索にいわゆる「ハッシュタグ検索」が導入されてしばらく経ちました。

日本限定の機能ということもあり、英語圏等での本機能の活用研究などはありません。

国内においてもあまり公式発表以降、情報が出回っていないようです。

Google 検索においては、すでにXのツイートの表示枠、動画の表示枠といったユニバーサル検索が存在するため、「いまいちつかみどころがない機能」というのが、SEOをやってらっしゃる皆さんにとっての本音だったりしませんでしょうか。

【もくじ】

 

Google ハッシュタグ検索って何?

Google公式のアナウンスメントはこちら。

blog.google

 

本機能が生まれた背景:

  • 日本人にはハッシュタグでトレンド・流行、共通の関心に関する情報を探す傾向が他国に比べて顕著である
  • テレビなどのマスメディアでもキーワード的にハッシュタグでの表示がよくなされて、検索行動として一般的である
  • ハッシュタグは複数のソーシャルプラットフォームに存在する機能だが、Googleだと一か所で複数のプラットフォームの当該ハッシュタグに関連のあるコンテンツを見られる
  • ハッシュタグがついていなくても、「トレンド・流行」「共通の趣味関心」に沿った情報であれば検索対象となる

鈴木謙一さんブログでの記事はこちら。

www.suzukikenichi.com

 

検索結果画面はどんな感じ?

検索クエリによって通常検索結果画面に出るケース、出ないケースがあります。NHKの朝ドラ「虎に翼」の場合は、このような感じで[虎に翼]で検索すると、通常の検索結果画面1ページ目下部から動線が表示されます。

 

 

リンクになっている「#虎に翼を含む投稿」をクリックすると、検索クエリに「#」が付与されてハッシュタグ検索結果画面に遷移します。

「すべて」の状態では、X / Instagram / YouTube / Facebook / TikTok / Lemon8 のソーシャルプラットフォーム以外にも、ブログプラットフォームやニュースサイトが表示されることもあります。

 

 

発動条件は?

本検索結果UIは、スマートフォン版に最適化されており、デスクトップで見ると少々右側のスペースが広く貧弱な印象(広告出したくなる衝動に駆られる人がいるかも?)。

致し方なしか、でもUIもうちょっと考えられないかなー、が個人的な印象。

 

発動条件は、シンプル。

検索クエリの冒頭に「#」を付与すればOK。通常の検索結果が、ハッシュタグ検索結果に早変わり。

 

[野島崎灯台](#なし)

 

[#野島崎灯台]

 

▼実際の検索結果

www.google.co.jp

ただし、これは日本語版のみでの対応で、英語版など日本語以外のGoogle検索では切り替わりません。

 

[#野島崎灯台](google.com, 言語=英語, 地域=米国)

#は無視され、日本版の検索結果とほぼ同じファーストビューですね。

 

ちなみに「##」をふたつつけると「#野島崎灯台」をキーにしたハッシュタグ検索となるわけではなく、無視されます。

 

[##野島崎灯台]

 

[野島崎灯台#]としても出ません。#があれば良いというものではない。

 

 

数式だと発動しないようです。

[#3-4]

 

ここまでで気づくことがひとつ。

検索ユーザーが意識的に検索クエリに「#」を付けないと、さまざまなクエリで本検索結果に出会うことはありません。

多くのGoogle検索ユーザーにとって、「ハッシュタグをつけて検索する」行動はまだ習慣化はされていないと思います。

よって、ハッシュタグ検索結果に多くの国内Google検索ユーザーが到達するシナリオは通常検索結果画面に時折差し込まれるハッシュタグ検索結果動線となります。

 

ハッシュタグ検索結果動線が表示されやすい言葉は?

次にハッシュタグ検索結果に出会いやすい言葉、ハッシュタグ検索と相性の良さそうな検索キーワードについて考えてみましょう。

ハッシュタグの発祥は、ソーシャルメディアですので「既にソーシャルメディアで一般的に使われる言葉でありながら、かつ検索エンジンでも使われる検索キーワード」がすなわち、「Google検索でハッシュタグ検索と出会いやすいキーワード」になりそうですね。

社内でキーワードの募集をかけて調べてみましたが、多くのキーワードで通常検索結果からの動線が表示されておりました。

一般的なキーワードでは出現回数はそれなりに期待できるのかもしれません。

「イエベ春」では出ないけど「ブルベ冬」では出る、といった感じでソーシャルと検索の双方で人気の検索ワードでかつ同じカテゴリと思われるケースでも、結果に違いがあるケースもありました。

またソーシャルメディアでの投稿ボリュームが多い場合は、大体検索結果からの動線表示がありましたが、相対的に少なくても表示されているケースもありました。

 

キーワード 表示あり Instagram投稿数 分類
あつ森 あり 138万件 ゲーム
兎田ぺこら あり 2万件 ゲーム
写真好きな人とつながりたい あり 5,543万件 その他
秋葉原ラーメン あり 2.2万件 衣食住
レシピ あり 236万件 衣食住
秋葉原グルメ なし 16.1万件 衣食住
おつまみ あり 249万件 衣食住
インテリア あり 1,432万件 衣食住
収納 あり 135万件 衣食住
Q0010メガ割 あり 927件 企業
zozotown あり 96.9万件 企業
三菱商事 なし 8,075件 企業
法隆寺 なし 11.8万件 場所
国立新美術館 あり 30.4万件 場所
日比谷図書館 なし 1,117件 場所
Aぇ! group あり 3.8万件 人物
渋沢栄一 あり 7.2万件 人物
岡本和真 あり 11.5万件 人物
セルジオメンデス あり 1,948件 人物
レッサーパンダ あり 49.5万件 動物
糸リフト なし 33.9万件 美容・おしゃれ
イエベ春 なし 43.2万件 美容・おしゃれ
骨格ストレート なし 57.1万件 美容・おしゃれ
ブルベ冬 あり 30.4万件 美容・おしゃれ
アクティブキュート あり 1.8万件 美容・おしゃれ
ソフトエレガント なし 2.7万件 美容・おしゃれ
進次郎構文 あり 520万件 流行語
菊池風磨構文 なし 58件 流行語
総裁選 あり 4,971件 流行語

 

ソーシャルメディアのクローラビリティ

検索していて、ふと気づいたことがあります。

ハッシュタグ検索の対象となっているソーシャルメディアプラットフォームによって、ハッシュタグに紐づくコンテンツのインデックスのカバレッジに大きな違いがありそう、ということです。

  • X:全数データ提供している契約(Firehose)に基づいて、クロール以外からコンテンツを確保していそうな気配
  • YouTube:Alphabetの持ち物なので全コンテンツリーチ可能
  • Instagram, TikTok:全コンテンツはリーチ不可。ウェブ版サイトではクロールへの制限かけている

 

#上田と女の吠える夜でハッシュタグ検索したときに一番最初に現れるXの投稿は、Googleの通常検索のインデックスには登録されておらず、コンテンツは別のパイプラインから確保していそう。

こう考えると恩恵を得やすいのは、相対的にはXとYouTubeなのですかね。

 

使いどころはあるか?

以上、Googleハッシュタグ検索を概観してみました。

この機能は、「Googleとしてソーシャルメディアユーザーを取り込みたい」という意図は凄く感じる機能です。

一方、多くのユーザーにとっては「どう使うと良いのだろう?」が見えていないサービスのように現段階では思えたりします。

このようなバーチカルな検索機能は、画像検索や動画検索などが既にありますが、例えば多くの人が「画像検索を使うと服の検索に便利」と感じるようになったのは、それこそ画像を介したコミュニケーションという形をInstagramというGoogleとは別の場所から生まれたムーブメントによる変化だったりしました。

その意味で、私たちがまだ見つけていないこの検索機能の「ハマリどころ」を理解するようになった時が今よりも話題になって、利用が活発になるときなのかもしれないです。

現在は、検索結果についてはまだまだ改善の余地はあるように個人的には思います(2024年9月段階で接近中の台風14号について、飲食店の宣伝投稿が一番最初に出るのは、んー)。

ただ、日本限定の機能だとクオリティレイターによる品質チェックってどれぐらい期待できるものでしょうか。そういった運用面も考えると、一筋縄ではいかない気もしますが、今後も検索結果をウォッチし続けていきたいと思います。

きっと、ここで特集もやってくれることでしょう。