JADEの広告運用フレームワーク TCBD-VCLA

JADEがWeb広告の運用や現状把握などを行うときのフレームワークを紹介します。広告の課題の抽出をしやすく、改善するために何をすればいいか判断する手助けとなります。

おはようございますあるいはこんにちは、JADE取締役の小西一星です。

Web広告にはたくさんの設定できる項目や運用方法などがあります。成果を上げるために何をどうすればいいのか、できることは数限りなくあります。ですがやれる限りのことをなんでもかんでもやればいいというものではないわけで、広告プロモーションの目標を定めてその目指すところに向かっているかをしっかり見極めて、課題を見つけて改善策を考えて一つひとつ対応していくことになります。

Web広告運用フレームワーク TCBD-VCLA

JADEが提唱するWeb広告運用フレームワーク

そんなWeb広告の運用業務において、できるだけ的確かつ効率的に対応していくためのフレームワークを、JADEでは提唱しています。

おおまかには次の2つの観点から考え、確認し、対応をしていく、というものです。

  • 広告システムにどのような情報を入力するか
    • Target - Creative - Bid - Data
  • ユーザーの広告体験はどのようなものになったか
    • View - Click - Land - Acquisition

基本的にはGoogle 広告をベースに考えたものですが、今の多くのWeb広告プラットフォームにおいても共通して使えるフレームワークかと思います。

フレームワークがすべてを解決するわけではありませんが、課題の発見をしやすくしたり、こうしたほうがいいと聞いたからなんとなくやっているということもそれは何のためにやっているのかを意識しやすくしたりすることに役立ちます。

広告運用を専門にされている方はもちろんのこと、広告運用に慣れていない方や専門ではないけれど広告の状況を良くしないといけない立場の方にとっては、このフレームワークを活用することで課題を見つけやすくなると思います。

広告システムに与える情報(TCBD)

Target

ターゲティングの設定のことです。

いつどこで誰に広告を届けたいかと考えて設定します。

どんな広告表示機会のときに広告オークションに参加することになるか、この情報が大きく影響します。

主な項目としては、キーワード、地域、曜日と時間、年齢と性別、デバイス、広告掲載面、サイト訪問履歴のデータ、興味関心ごとに応じたオーディンスリストなどがあります。

完全あるいは部分的なオートマチックのターゲティング設定もあり、それでなければ得られない結果もあるのであまりに細かなマニュアル設定にこだわりすぎずに取り組みましょう。

Creative

ユーザーが直接目にすることになる広告クリエイティブのことです。

テキスト広告や画像広告、動画広告などがあります。リンク先のURLの情報とランディングページの内容もここに含めることとします。

広告を見ることになるユーザーが何を求めるか、何に興味があるか、どういう気持ちになってもらいたいかと考えて作ります。

この内容次第で広告オークションに勝てるか勝てないか、低いクリック単価で広告を配信できるかということに大きく影響します。

また、広告クリエイティブの内容次第ではどんな広告表示機会で広告オークションに参加するか影響があることがあります。つまり、ターゲティングの一部の機能を持ち合わせます。

Bid ( & Budget)

入札単価設定と予算設定のことです。

広告オークションに参加できるかどうか、勝てるか勝てないかということに大きな影響を与えます。また、日々のクリック単価、CPA、ROASなどの費用対効果をコントロールするための重要な設定項目です。

意図通りの入札と予算の管理をするには、様々な入札方式の違いを理解して適切に選択して扱うことと、適切にキャンペーンと広告グループを組むことが必要です。

自動入札を使用すると入札単価を意識しづらくなりますが、自動入札も入札単価を調整しているものであるということを忘れずに取り組みましょう。

Data

広告システムに計測させたり、インポートしたりするデータです。

コンバージョンデータ、サイト訪問者のデータ、顧客のメールアドレスなどがあります。

Google 広告の場合はYouTubeチャンネルのデータ、Google Playのデータといったように、その広告プラットフォームが利用可能な別のプラットフォームのデータもあります。

これらのデータは、広告システムの学習や配信の最適化などに影響を与えます。

コンバージョンデータは特に重要で、広告システムが何が成果であるかを認識するための情報となります。このコンバージョンデータのポイントやデータの中身によって自動入札の結果が大きく変わります。費用対効果を把握するためだけでなく、広告システムを上手く動かすために重要なデータです。

ユーザーの広告体験の確認(VCLA)

View

広告が配信されたのか、いつどこで誰に見られたのかを確認します。

実際には「見られた」ことまで確認するのは難しいですが、広告が表示されただけでなく「目には触れているであろう」掲載位置かどうかはできるだけ意識しながらレポートを確認します。

レポート項目としては検索クエリ、地域、デバイス、時間、年齢性別、広告掲載面、オーディエンスリストなどを確認します。

指標としてはインプレッション関連のすべて、インプレッションシェア関連のすべて、動画広告であれば視聴回数などが参考にできます。

意図した相手に広告が表示されていなければ Target と Bid を見直します。Creaitve も関係することがあります。

Click

広告がクリックされたのか、どの広告がクリックされたのか、そのクリックにいくらの費用がかかったのかを確認します。また、Viewと同様にいつどこで誰がクリックしたのかを確認します。

レポート項目としては「広告」のレポート、指標としてはクリック率やクリック数、平均クリック単価などが参考になります。その広告を誰がクリックしたかは、広告と合わせて検索クエリやユーザー属性などを確認したいところですが、掛け合わせて確認できる項目には限りがあります。アクセス解析ツールを併用すれば確認できる情報が増えます。

広告があまりクリックされない場合は Creative を見直しましょう。クリック単価が高すぎる場合は Bid と合わせて Creative も見直してみましょう。

どの広告がクリックされたのかを確認するためには、どの広告がクリックされなかったのかも知る必要があるので、予め様々なパターンの広告を作成して入稿しておきましょう。

Land

広告をクリックしてランディングされたページはよく見られたのか、その後の何かしらの行動につながったのかを確認します。

アクセス解析ツールを利用してページ上での行動を解析します。

Google 広告であれば「ランディングページの利便性」の指標も一つの参考になります。

ランディングページでのユーザー体験が悪いようであれば、 Creative を見直しましょう。ランディングページへ誘導する広告テキストや画像などが適切かどうか、ランディングページの中身そのものが適切かどうかを検討します。

Acquisition

広告をクリックしてランディングページを見たユーザーがコンバージョンに至ったかどうかを確認します。そのコンバージョンのCPAやROASなども確認します。

費用対効果が悪ければまず Bid を見直してみましょう。しかし入札単価を抑えてCPAかROASを良くしたときはコンバージョン数が下がることが多いので、コンバージョン数を下げずにCPAかROASを良くするには、Creative と Target も見直しましょう。

コンバージョンが複数あり、重要ではないコンバージョンばかり多く獲得できる場合は Data を見直しましょう。自動入札の判断に使うコンバージョンを制限したり、コンバージョンの価値を設定して重み付けを変えたりしてみましょう。

広告の本質的な問題に向き合ってほしい

冒頭にも書きましたがWeb広告は設定できる項目と運用方法とがたくさんあり、触ったほうがいいだろうと思えるけれども何のためにやっているか迷い、よくわからなくなることもあると思います。例えば、既存のキャンペーンあるいは広告グループを分けて増やそうということになったとき、それは何のためにやるのか、Target のためなのか、Bid のためなのか、こういったことを意識することで、ついなんとなく作業して特に意味のないことをしてしまったということを避けやすくなります。

このフレームワークだけですべてを解決できるわけではありませんが、広告管理画面で操作することのほとんどはこのTCBDのいずれかに集約されて解決すべき課題はVCLAのいずれかから見えてくると考えていただいて、「誰に何を伝えるべきか」という広告の本質的な問題に向き合いやすくなれば幸いです。